著者
柴田 徳太郎
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-14, 2011

2007年にアメリカで始まったサブプライム金融危機は,2008年秋のリーマン・ブラザーズ経営破綻を契機にドル流動性危機へと発展し,この流動性危機はエマージング・エコノミーへと波及した.アメリカで発生した金融危機がドル暴落ではなくドル流動性不足を引き起こした原因は,ヨーロッパ系銀行による「ドル・ドル」取引にあった.彼らの短期ドル資金調達困難がドル流動性危機を引き起こしたメカニズムを分析する.
著者
渡邉 真理子
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.51-57, 2010
被引用文献数
1

2007年に始まったサブプライム危機は,マクロ経済の成長鈍化を通じて中国に伝播した。銀行部門の海外取引は規制され,利益追求インセンティブも弱かったため,サブプライム証券への投資がわずかであったことが幸いした。しかし,中国政府は,大規模な財政拡大,金融緩和政策を打ち出し,急速に銀行与信が拡大した。中国経済は,高度成長期を終える前に,バブル期に一気に突入してしまった感がある。
著者
柴田 徳太郎
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1_1-1_14, 2011 (Released:2011-03-14)
参考文献数
33

2007年にアメリカで始まったサブプライム金融危機は,2008年秋のリーマン・ブラザーズ経営破綻を契機にドル流動性危機へと発展し,この流動性危機はエマージング・エコノミーへと波及した.アメリカで発生した金融危機がドル暴落ではなくドル流動性不足を引き起こした原因は,ヨーロッパ系銀行による「ドル・ドル」取引にあった.彼らの短期ドル資金調達困難がドル流動性危機を引き起こしたメカニズムを分析する.
著者
渡邉 真理子
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1_51-1_57, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

2007年に始まったサブプライム危機は,マクロ経済の成長鈍化を通じて中国に伝播した。銀行部門の海外取引は規制され,利益追求インセンティブも弱かったため,サブプライム証券への投資がわずかであったことが幸いした。しかし,中国政府は,大規模な財政拡大,金融緩和政策を打ち出し,急速に銀行与信が拡大した。中国経済は,高度成長期を終える前に,バブル期に一気に突入してしまった感がある。
著者
仙石 学
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.2_15-2_24, 2020 (Released:2020-09-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1

東欧のヴィシェグラード4カ国では,2019年12月の段階でポピュリスト的な政党が与党の座にあるが,その経済政策にはポーランドの法と正義のばらまき型,ハンガリーのフィデスの擬似ネオリベラル型,およびチェコのアノの折衷型という相違がある.この政策の相違は,主として各国の政党間の経済政策をめぐる対立の形の違い,並びに各政党の支持を求めるターゲットの違いから説明することが可能である.
著者
堀江 典生
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1_81-1_95, 2009 (Released:2011-01-21)
参考文献数
50
被引用文献数
1

テイラー主義の導入と労賃制度近代化とともに発展した旧ソ連型職業分類は,現代ロシアにおいても,いまだに広く利用されている。旧ソ連型職業分類は,旧ソ連の仕事の世界の特徴を表すものである。本稿では,旧ソ連型職業分類の生成・発展を追い,市場経済化以後においても労働の現場,そして労務管理において機能している現状とその問題点を分析し,現代ロシア企業に根強く残る旧ソ連的な職務構造の転換の必要性を論じている。
著者
五十嵐 徳子
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.17-34, 2009
被引用文献数
1

本稿では,約70年間同じソビエト社会にあった,ロシア,グルジア,ウズベキスタン,そしてロシア国内のタタルスタンのジェンダーの状況を明らかにするとともに,今後のジェンダーの動向を予測している。分析に際しては,女性の就労と役割分担,そしてそれらに影響を与えているであろう各社会の有する規範に焦点を当て,「旧ソ連の共和国で大量の専業主婦は誕生するのか」という課題について考察を行っている。
著者
中兼 和津次
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.2_85-2_98, 2018

<p>現代中国政治・社会の統治構造の柱が,1)権力主義(権力の維持,拡大を最高目的とする思想と政策),2)エリート主義(意思決定は少数の選ばれた人間・集団によってなされるべきだとする思想と政策),そして3)実用主義(目的のためには手段を択ばないという思想と政策)という3つの大きな原理だと私は考えるが,それは空想から現実へと社会主義像が変転する中で生まれ,確立してきた原理であった.そのことを立証するために,1)ロシア革命とマルクス・エンゲルス,レーニンの空想的社会主義構想,2)スターリンによって実施されたソ連型社会主義経済の実態,3)中国に輸入されたソ連型モデルと毛沢東による修正,4)毛沢東の空想的社会主義理念とそれがもたらした結末,5)鄧小平による現実的経済体制の選択といった,社会主義像が空想から現実へと転換していく一連の過程とその結果について考察する.</p>
著者
吉原 直毅
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1_49-1_61, 2017 (Released:2017-05-17)
参考文献数
21

資本主義経済システムの原理的安定性は,拡大的資本循環の長期的継起性に関わり,「利潤率低下法則」問題として論じられる.本論では,マルクスの利潤率低下法則論への置塩定理(1961)による批判,及び同定理への近年の批判的議論を概観しつつ,今後の資本主義経済システムの継起性は,新たな資本の拡大的循環を確立させる技術革新に依拠すると同時に,それは人類の持続可能な福祉的自由の発展の方向性とは相容れない可能性を指摘する.