著者
吉井 昌彦
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.2_51-2_57, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
14

中・東欧諸国における政府-企業間関係は,EU 加盟交渉の中で,EU の競争・産業政策に準拠することが求められたため,国家支援,投資優遇措置等はむしろ既加盟国を下回る水準にまで低下してきた.もちろん,政府と企業の間に汚職などの非公式な関係が残っていることは否定できないが,これらの非公式な関係は,欧州委員会の政策により矯正され,中・東欧諸国の政府-企業間関係は,旧ソ連諸国と比べて,希薄なものとなるであろう.
著者
山田鋭夫
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, 2007-01
著者
小山 洋司
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.2_39-2_49, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
32

中東欧の経済危機の諸相を概観したうえで,バルト諸国,とりわけラトビアに焦点を当て,経済危機の原因を考察する.2004年の EU 加盟の前から賃金が急上昇した.金融面では北欧の銀行が進出し,シェア競争をし,消費ブームを煽った.すでに2005年には経済は過熱の兆候を見せていたが,政府の対応が遅れた.2007年春に引き締め政策に転じ,同年12月に経済は不況に陥ったうえに,2008年 9 月のリーマン・ショックが追い打ちをかけた.
著者
高屋 定美
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.2_27-2_37, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
15

本稿では,米国のサブプライム危機から派生した欧州の金融・経済危機の構造的要因を分析している.構造的要因として,経済構造の相違があるままに単一通貨を導入したことや,金融統合によって欧州の金融機関の競争環境が激化したこと,そして中東欧諸国への EU 拡大などが挙げられ,それらを実証的に解明している.さらに欧州中央銀行,欧州委員会ならびに,各国政府が行っている危機対応の経済対策について展望している.
著者
木村 光彦
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1_27-1_38, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
19

戦後北朝鮮は軍事工業化をすすめた。そこでは対外物資調達,技術導入が重要な役割を果した。国民は貧しく,1960年ごろの米穀消費水準は韓国より低かった。
著者
奥田 宏司
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.2_15-2_26, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
17

小論ではドル体制とはどのような体制であるかを規定したうえで,ドル体制の現局面を明らかにしたい.オイルマネーの米への還流,EU,日本等の対米投資の「復活」も厳しいとすれば米経常赤字のファイナンスは厳しく,ドル体制は不安定さが増していくだろう.また,「ドル離れの兆候」がいくつかみられる.ロシアも含め全欧州においてユーロの地位が高まってきており,湾岸諸国においてドル・ペッグ制が継続されるか予断を許さない.
著者
横川 和穂
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.2_1-2_14, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

本稿では,ロシアで2003年に制定された新地方自治法とそれに基づく改革が,地方自治体財政に如何なる影響をもたらしたのか,とくに政府間機能配分および税源配分という側面に注目して考察した.財政学で標準的とされる理論に照らした評価,および諸外国との国際比較を通して,ロシアではより標準的なルールの形成と中央集権化の強まりというプロセスが並行して進んでいる点に,現在の制度構築の特徴があることが確認された.