著者
遠藤 伸彦 伍 培明 松本 淳
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北ボルネオにおける降水特性と豪雨発現に関係する大気循環場の記述を行った.マレーシア国サラワク州の雨量計網データから,気候学的な降水量・降水強度・降水頻度の時空間分布を記述し,豪雨を定義した.またマレーシア国気象局のレーダーを用いて,冬季における北ボルネオで降水活動の日変化を解析した.北ボルネオに激しい豪雨事例をもたらす大気下層の循環場の特徴を明らかにした.
著者
入江 仁士
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本課題で開発したグリオキサール(CHOCHO)の高度分布導出法でMAX-DOASのスペクトルデータを再解析したところ、北京市・泰安市・横須賀市では大気境界層中のCHOCHO濃度が平均で約200pptvと高濃度であったことが分かった。つくば市と辺戸岬では80pptv程度であった。衛星データを組み合わせたところ、横須賀周辺では高濃度域は数十km以内、中国では数百kmの空間スケールで拡がっていたことが示唆された。
著者
茂木 耕作
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

東シナ海、西部熱帯太平洋、インド洋に注目して、夏季モンスーン期の降水系について内部構造、維持過程、その周囲への影響などを調べた。1.東シナ海上における梅雨前線降水系の停滞機構、2.西部熱帯太平洋域における陸風前線降水系の北進メカニズム、3.東シナ海、西部熱帯太平洋、インド洋の降水系周辺における観測データが周囲に及ぼす影響の評価、という主な3項目について解析を進め、領域毎の降水系の特性を明かにした。
著者
小木 雅世
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

北半球の気候変動を支配する大気現象として、北極振動(AO)が存在する。これまでAOに関する研究は冬季に限られており、夏季AOに関する研究はほとんど存在しない。そこで、本研究では夏季AOの存在と、冬季AOと夏季AOや夏季の大気循環の関係を研究することを目的とした。本年度は、大気大循環モデルや大気海洋結合モデルにより再現された、夏季AOのモデルでの統計的再現性を調べた。その結果、モデルの中でも夏季AOが存在することがわかった。さらに、今後地球温暖化した場合の夏季AOはどのように変化していくのかも解析するために、温暖化実験結果における夏季AOの存在を調べた結果、温暖化実験においても夏季AOが再現されていることがわかった。また、データ解析の中でも、2003年にヨーロッパを襲った猛暑や日本の冷夏について解析し、夏季AOが卓越したことによりヨーロッパの猛暑と日本の冷夏が同時に起こっていたという事実を明らかにすることができた。さらに、冬季AOと夏季大気循環との関係を調べた結果、冬季AOの変動が積雪や海氷などに影響し、その影響が春から夏へと待続し、夏季の大気循環と関係があることもわかった。特に日本に関していえば、日本の気候に影響を与える夏季オホーツク海高気圧と冬季AOが関係していることがわかった。なお、上記の研究結果を効率的に行うために、AOを発見した気候変動研究の世界の第一人者であるワシントン大学のProf.Wallace氏と議論するためにWallace氏の所へ訪問することができ、これまでの夏季AOの存在についての研究結果報告と今後の研究についての打ち合わせもすることができた。
著者
田角 栄二 井町 寛之 高井 研 川口 慎介
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

南海トラフの深海底表層堆積物を植種源とするバッチ集積培養から分離したMethanosarcina sp. NT-MS1株を圧力培養した。増殖は15 MPaで最も良好であり、分離源と同じ圧力(25 MPa)下でも、高い増殖能を有していることが確認された。生成されたメタンは、炭素同位体比(Δ^<13>C-CH_4)が-81~-63‰の「同位体的に軽い」メタンであり、NT-MS1株は高井らにより報告されたMethanopyrus kandleri 116株のように「同位体的に重い」メタンを生成しなかった。
著者
阿部 なつ江 馬場 聖至 荒井 章司 富士原 敏也 杉岡 裕子 鈴木 勝彦 山野 誠 平野 直人 中西 正男 道林 克禎 石川 正弘 町田 嗣樹 志藤 あずさ 伊藤 亜妃 仙田 量子 水上 知之 清水 健二 森下 知晃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海洋プレートの非活動域に発見された新種の火山「プチスポット火山」海域において、地球物理学的・地質学的調査および岩石試料採取を実施してきた。同試料・データは、東北沖日本海溝に沈み込む前の海洋プレートそのものであり、陸側プレートに与える影響や島弧における火山および地震活動を評価する上で、重要な試料・データをもとに、海洋プレートとその下のマントル構造について総合的な研究・調査を行った。
著者
大西 領
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

様々な大きさの液滴が衝突成長する場合,どの大きさの液滴とどの大きさの液滴とが衝突したのかを特定できないため,衝突頻度(もしくは衝突頻度因子)を直接求めることは困難である.この困難を乗り越えるためには何らかの特別な方法が必要である.本研究では,逆解析という解析手法を用いることによりこの困難を乗り越えることを目的とする.本年度は,測定によって得られる液滴径分布の変化から液滴間の衝突頻度因子を推定するための"非線形"逆解析手法を開発した.これは昨年度に開発した"線形"逆解析手法をさらに発展させたものである.また,直接数値計算(Direct Numerical Simulation, DNS)を用いて小型風洞を想定した数値実験を行うことにより,開発した逆解析手法の有効性を検証した.具体的にはDNSによって得られた液滴径分布の変化から本逆解析手法によって衝突頻度因子を導出し,その導出結果とDNSによる衝突頻度因子データとを比較した.ただし,最も理想的な場合を想定し,液滴は定常な乱流中で衝突のみによって成長すると考えた.なお,凝縮成長を伴う場合や減衰乱流中での試計算を行った結果,凝縮成長や流れ場の非定常性は無視しうると考えた.検証の結果,本研究で開発した線形および非線形逆解析手法を用いれば,最も重要である最頻半径付近の衝突頻度因子を高い精度で推定可能であることがわかった.ただし,線形逆解析手法は,高レイノルズ数流れの場合には導出誤差が大きくなることが明らかになった.つまり,大型風洞を使った実験のような高レイノルズ数流れにおいて測定を行う場合には,今年度開発した非線形逆解析を用いる必要があることが明らかになった.