著者
佐藤 久美子 梶川 祥世
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、外国語学習において歌を通して単語を一定期間反復聴取することは、音声言語発達を促進し、第二言語習得に効果的であるという仮説を立てこれを検証した。2 歳-3 歳の幼児と6 歳~11 歳の児童を対象として一定期間英語歌を聴取させ、英語反復力及び発音力を測定した。これにより母語と非母語の音声処理の関係が8 歳頃を境に変化することを明らかにし、幼児においては歌聴取による非母語反復能力の促進を確認した。
著者
堀田 龍也
出版者
玉川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では,初等中等教育の学校の情報化を先進諸国並に推進するために,国が示した教育の情報化の目標を都道府県や市区町村の地方自治体が達成するために必要な「組織的コンサルティング機能」を運用する体制の開発を目指した。英国のBECTA,韓国のKERISでは,(1) 政策解説支援機能:国が示した目標等の政策をわかりやすく解説する機能,(2) 要因調査支援機能:阻害要因を調査し,目標達成のための重点を明らかにする機能,(3) 実施手順支援機能:下位目標に分解し,目標達成のための手順として提示する機能,(4) 研修啓発支援機能:リーダーとなる者への研修・啓発を行う機能,(5) 年次運用支援機能:年次進行を意識した予算策定や人事配置等の運用モデルを開発する機能,(6) 中間評価支援機能:目標の中間的達成度を評価する機能を備えており,政権交代等によって再編を繰り返しながらも,教育の情報化の主導権を担う地方自治体を支援する安定的な基盤組織となっていた。上記の6つの機能が明らかになったことから,研究代表者および分担者の所属する独立行政法人メディア教育開発センター内に,日本版の組織的コンサルティング機能を持たせる体制を検討したが,同センターが独立行政法人として廃止されることとなり,この体制は実現させることができなかった。また,関連財団等も法人改革の最中であり,新機能を担うことは容易ではない状況であった。今後の我が国の体制としては,(1) 政策解説支援機能は国の広報機能として持つこと,(2) 要因調査支援機能は学会等の役割として持つこと,(3) 実施手順支援機能/(4) 研修啓発支援機能は研究者等が強くこれを意識して実践研究を進めること,(5) 年次運用支援機能/(6) 中間評価支援機能は各自治体が自律的に備えていくことが期待される。しかし根本的には,BECTAやKERISのような組織を持たない我が国の教育の情報化の推進は極めて困難であることが指摘された。
著者
木村 實 松本 直幸
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ドーパミン細胞が長期的な報酬予測を表現するかどうかを調べた。3択によって3回の報酬を得る課題を日本ザルに行わせた。予測的な舌の運動から、動物は各試行での報酬価値ではなく、長期的報酬(強化学習の価値関数)を予測していることが判明した。ドーパミン細胞は、動物の行動と同様に長期的報酬予測を表現することが分かった。将来のゴールに向けて長期的な予測と誤差を表現し、線条体などの標的部位での価値のアップデートや意志決定に必須の役割を担うと考えられる。
著者
出馬 圭世
出版者
玉川大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

申請者は平成20年度から行っていた実際の社会的意思決定時(e.g.,人前での寄付をするかどうかの判断)における線条体の役割を検討した研究、他者が自分に対してどのような印象を抱いているかという評判の処理における脳活動を検討した研究をそれぞれ海外学術雑誌に発表した(Izuma,Saito,&Sadato,2010;in press)。単純なギャンブル課題を用いた意思決定中の脳活動を報告した研究は過去にいくつもあるが、申請者の研究は我々が日常的に体験するような実際の社会的意思決定場面中の脳活動を検討し、その際の特に線条体といわれる脳部位の役割を明らかにした世界初の研究と考えられる。また平成21年度より玉川大学脳科学研究所に異動したのち、社会的報酬の処理に関するfMRI実験を新たに立ち上げた。我々ヒトの日常における行動も多くの場合報酬に基づいて行動の選択が行われていると考えられるが、ヒトの場合は食べ物やお金などの物質的報酬だけでなく、他者からの賞賛や良い評判といった抽象的・社会的な報酬も重要な役割を果たしていると考えられる。申請者はfMRIというヒトの脳活動を非侵襲的に計測できる装置を用い、ヒト特有の社会的報酬に対する脳活動をより詳細に検討し、さらにそれが社会的態度の形成にどのような役割を果たしているかを検討した。我々がある特定の他者に対してどのように振舞うかを決定する場合には、その他者に対してどのような印象・態度をもっているかは重要な要因のひとつであり、ヒトの社会性の神経基盤の解明に向けて重要なステップであると考えられる。既に25名ほどの被験者からデータを取得した。現在それぞれデータ解析を終え、論文を執筆中である。
著者
有泉 高史 高橋 秀治
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ツメガエル胚の未分化細胞塊(アニマルキャップ)を個々の細胞に解離し、アクチビンとレチノイン酸で処理してできた再集合体は膵臓に分化する。これを他の胚に移植して成体まで育てると、正常な膵臓と同じ構造をもつ第二の膵臓(異所性膵臓)が作られた。異所性膵臓の機能を摘出実験や糖負荷試験を通して解析した結果、異所性膵臓は形態だけでなく、血糖調節能力においても正常な膵臓と同等であることが確認された。