著者
津田 朗子 木村 留美子 水野 真希
出版者
金沢大学つるま保健学会 = Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University
雑誌
金沢大学つるま保健学会誌 = Journal of the Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University (ISSN:13468502)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.81-86, 2015-07-28

本研究は、小中学生のインターネット使用状況から、その依存傾向と生活習慣を調査した。 対象は1 自治体の全小中学校に通う小学4 ~ 6 年生849 名、中学1 ~ 3 年生896 名で、自記 式質問紙調査を実施した。 その結果、インターネットに「依存傾向」の子どもは小学生7.5%、中学生22.0%、全体 で15.9%にみられ、その割合は中学2 年生、中学3 年生に高く、また女子に高かった。依存 傾向の者は、インターネットを使用する時間が長く、複数の機器を使用している者、持ち運 び可能な機器を使用している者、自分専用の機器を所持している者、使用目的が多岐にわた る者、使用の際のルールがない者に多かった。 依存傾向者は、依存のない者やインターネットを使用しない者に比べ、就寝時刻が遅かっ た。また、小学生では学習時間が短く、中学生では運動時間が短く、インターネットへの依 存傾向が生活習慣に影響を及ぼしていることが示唆された。
著者
木原 深雪 北岡 和代
出版者
金沢大学つるま保健学会 = Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University
雑誌
金沢大学つるま保健学会誌 = Journal of the Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University (ISSN:13468502)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.1-10, 2014-12-26

本研究は、アルコール依存症の治療過程で重要な課題であるアルコール依存症者の感情体 験を明らかにし、看護ケアの方向性を検討することを目的とした。断酒期間1 年から15 年 までのアルコール依存症者20 名に半構造的面接を行い、断酒期間別に質的帰納的に分析した。 その結果、断酒期間5 年未満群の参加者は周囲の状況を被害的に感じていたために孤立を深 めていたが、自助組織に通っているうちに仲間と心が通じるようになっていた。断酒期間5 - 10 年未満群の参加者は客観的に自己を見つめながら、酒を飲まない生活習慣を形成して いた。断酒期間10 - 15 年群の参加者は長期間断酒していてもまだ自己の復興の途上である ことを自覚しながら、断酒継続の努力を続けていた。以上、断酒期間別の感情体験に応じた 看護ケアを考えていくことが重要となることが示唆された。また、参加者は孤立しがちな気 質に加え、防衛手段として飲酒を続けたために孤独を深めていた。アルコール依存症者に関 心を持ち続け、必要な他者とつないでいく支援を行っていくことが看護職に求められている と考えられた。
著者
津田 朗子 木村 留美子 水野 真希 喜多 亜希子
出版者
金沢大学つるま保健学会 = Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University
雑誌
金沢大学つるま保健学会誌 (ISSN:13468502)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.73-79, 2015

本研究は、小中学生のインターネット使用状況とそれに対する親の把握状況、親子間の使 用に対する認識の違いを調査した。対象は1 自治体の全小中学校に通う小学4 ~ 6 年生849 名、 中学1 ~ 3 年生896 名とその保護者であり、自記式質問紙調査を実施した。 その結果、インターネット使用率は小学生70.8%、中学生84.4%で、使用時間は学年が上 がるほど長くなっていた。使用機器は家族のパソコンが最も多かったが、中学生ではiPod touch、自分のパソコン、自分のスマートフォンを使う者、複数の機器を用いている者が多く、 使用目的も多様であった。また、その傾向は女子の方が強くSNS の利用も多かった。SNS 利用者の約半数は、SNS を通じて他者と個人的に関わった経験があり、不快な体験をした者 もいた。しかし、小学生と中学1 年生では、子どものオンラインゲーム使用の有無において 親と子どもの回答割合に差がみられ、親は子どものインターネットの使用目的を正確に把握 できていなかった。また、使用ルールに関しても親子間で認識の相違がみられ、その傾向は 子どもの学年が上がるほど顕著であった。 また、インターネットのフィルタリング機能の利用率は、携帯電話に比べ低かった。
著者
李 剣 木村 留美子 津田 朗子
出版者
金沢大学つるま保健学会 = Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University
雑誌
金沢大学つるま保健学会誌 = Journal of the Tsuruma Health Science Society (ISSN:13468502)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.171-179, 2015

本研究の目的は、在日中国人母親が妊娠や出産、子育てを行う際に経験した困難感や支援の実態及びそれに対する母親の思いを調査し、今後の在日外国人母親の支援のあり方を検討することである。対象は就学前の乳幼児を持つ母親20名であり、インタビューガイドに基づく聞き取り調査を実施した。調査内容は、在日中国人母親が妊娠や出産、子育て期に関連機関を利用した際の困難な経験や文化的背景の相違から生じた問題など母親の体験談である。結果として、中国人母親は日本の病院は中国の病院より患者数が少なく、環境面が清潔であり、日本政府は外国人の母子に対しても差別なく出産一時金、児童手当、子どもの医療費の補助を行っていることに対して非常に良い社会福祉制度であると認識していた。しかし、その反面、≪言葉・風習の相違による困惑≫、≪家族からの子育て支援のバリア≫、≪母親への精神的な影響≫などの問題が挙げられた。母親が様々な施設を利用する時、言葉の問題だけではなく、文化や習慣の相違からストレスを抱いていた。このような問題は在日中国人母親だけの問題ではなく、異文化の中で育った他の外国人母親にとっても同様のことであり、国籍の異なる人々と関わる際の専門家は異文化に対する認識を前題とした関わり方や母親の心理面の支援を考慮した支援の必要性が示唆された。また、出産や子育て支援を目的に、本国から両親が訪問する際には国によってはビザ申請条件が厳しく、夫の育児休暇も確実に取れない状況にあるため、各自治体が外国人母親向けに利用可能な子育て支援情報を提供する必要性が示唆された。