- 著者
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末永 斂
- 出版者
- 長崎大学風土病研究所
- 雑誌
- 長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.2, pp.186-191, 1959-06
1) 1954年4月からの約2ケ年間,大村市,諌早市及び長崎市で犬,描,馬,豚,牛,人の野糞,バタリー式鶏舎で7-10日間放置された鶏糞及び山羊舎内の山羊糞の堆積等から発生するハエ類と寄生蜂を調査した. 2)この期間に採集した各種動物の糞塊167塊の中, 120塊からハエが, 7糞塊から寄生蜂が夫々羽化した. 3) 120糞塊からのハエの羽化総数は24種, 5742個体で,イエバエ科に属する種類が特に多い.各種類についてみると,トゲハネバエは鶏糞に,クロオビハナバエは猫と人の野糞に,ノイエバエ,コイエバエ,ノサシバエは牛糞に,ミドリハナバエは豚糞と牛糞に夫々特有であるように思われる.キアシフンバエ,チヤバネヒメクロバエ,オオイエバエ,イエバエ,サシバエ等の主な発生源は畜舎,ゴミ箱,動物の死体等であると思われるが,野糞からもかなり発生することは注目される.牛舎から大量発生するイエバエとサシバエが同じ家畜の野糞からは殆んど全く発生せず,逆に牛舎からは殆んど発生しないノイエバエ,コイエバエ,ノサシバエが牛の野糞からはかなりに発生すること,鶏,山羊の糞が相当量集積すると多数のイエバエやサシバエを発生させること等は興味のあることである. 4) 1糞塊から発生するハエの種類は1~2種の場合が最も普通で, 3種のハエが発生することは比較的少なく, 4種以上の場合は極めて稀である. 5)鶏糞及び牛糞について,月別のハエの羽化数をみると,トゲハネバエ,ヒメフンバエ,キアシフンバエは寒冷期に多いようであるが,他の多くの種類は普通4月から11月迄の長い期間に亘つて発生しているように思われる. 6)寄生蜂の羽化してきた糞塊は僅かに7塊であるが,鶏,犬,豚及び人の野糞から5種の蜂が採集され,その中,犬糞から得られたヒメバチ科の1種は未記録種である.1) The number of flies and their parasites breeding out from animal dungs collected in the field were examined during from April, 1954 to August, 1956 in Isahaya, Omura and Nagasaki areas. The dungs treated in this experiment include that of dog, cat, hor