著者
小林 正人 岩佐 豪 高 敏 高木 牧人 前田 理 武次 徹也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

金属ナノクラスター触媒の反応性は、構成元素だけでなく、サイズや環境、構造など様々なファクターに依存するため、触媒活性の決定的因子の解明は困難であった。本研究では、銅クラスター触媒によるNO解離反応を例に、反応経路自動探索法を用いた系統的量子化学計算とスパースモデリングの手法を併用した触媒活性因子の抽出を試みた。具体的には、LASSO推定、SCAD推定、MC+推定の3つの手法を使い、軌道エネルギーや局所的な指標などの説明変数を用いて、Cu13クラスター上でのNO解離の遷移状態エネルギーを回帰した。その結果、遷移状態のエネルギーはLUMOの軌道エネルギーと負の相関があること、SCAD推定やMC+推定ではLASSO推定よりもコンパクトで相関係数の高いモデルが得られることがわかった。
著者
大野 公一 前田 理
出版者
分子科学会
雑誌
Molecular Science (ISSN:18818404)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.A0042, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
83
被引用文献数
2 2

It has been a long standing problem to answer the following fundamental questions in chemistry; (1) what kinds of chemical compounds (isomers) can be produced from a set of atoms given by a chemical formula, such as H4C2O2, (2) how the isomers can be converted to one another, (3) how they are decomposed into smaller species, or conversely (4) how they are made of smaller species. Although this problem can be solved theoretically if all minima and pathways among them via saddles could be searched on the potential energy hypersurface, it has been believed to be impossible, when the number of atoms exceeds four in the target chemical formula. A very simple tool like a compass for voyage could be discovered for global reaction route mapping (GRRM) in the chemical world. That is the anharmonic downward distortion (ADD) which enables one to follow all reaction pathways from an equilibrium (EQ) point toward structures of transition states (TS) surrounding the EQ point. Subsequent downward followings from already found TSs can easily be made as conventional intrinsic reaction coordinate (IRC) followings to reach some EQ points and dissociation channels (DC). Further quests around newly found EQs will yield many more reaction pathways via many other TSs. Such one-after-another procedures will continue until no new EQ could be found, and finally one can obtain a global reaction route map of the chemical formula as well as the answers to the fundamental questions in chemistry. Now, one should step into the new era of chemical problems to perform a perfect microscopic control of chemistry involved in the stereo reaction dynamics of atoms and molecules, based on leading information on typical trajectories searched by the automated exploration of chemical reaction pathways.
著者
今井 長兵衛 前田 理
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-372, 1976
被引用文献数
3 11

京都産ヒトスジシマカを用いて卵期に発育を休止する現象を実験的に検討した。1)卵をDO高濃度の水や蒸留水, くみおき水に浸すと孵化率が低いが, DO低濃度の水やクロレラを含む水に浸すと高率に孵化した。2)短日(8時間日長)で飼育した成虫からの卵は長日(16時間日長)で飼育した成虫からの卵と比較すると低い孵化率を示した。また親成虫の吸血時期をおくらせると孵化率の低下がみられた。3)うまれた卵を24時間以上の保湿の後に7日間乾燥させると, くみおき水やDO高濃度の水での孵化率が著しく低下したが, その後にクロレラを含む水やDO低濃度の水に浸すと大部分が孵化した, 6時間以下の保湿の後に乾燥させた卵は大部分が死亡した。4)長日飼育の成虫と短日飼育の成虫とからの2卵群をそれぞれ二分して7日間乾燥させた場合と浸水放置した場合とを設定し, おのおのを高低3段階のDO濃度の水につけて孵化率を調べた。いずれのDO濃度においても長日浸水放置区に比較して他の3区での孵化率の低下がみられ, 最も低かった短日乾燥区では中濃度以上のDOに対する孵化率は0%であった。以上の結果にもとづいて, ヒトスジシマカの孵化反応性とその適応的意義について考察を行なった。
著者
浜岡 克伺 前田 理奈 岡林 碧 杉元 歩実 山川 卓伸 山中 伸 橋本 豊年 吉本 好延
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.933-937, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
18
被引用文献数
13 9

〔目的〕本研究は,FIMを運動項目および認知項目別に分類しcut-off値を明らかにすることであった.〔対象〕対象は脳卒中患者215人とした.〔方法〕方法は,過去5年間の診療録を後向きに調査した.退院後の転帰先を在宅復帰と施設入所・転院の2群に分類し,cut-off値はROC曲線から算出した.〔結果〕FIM運動項目のcut-off値57.5点では,感度78.7%,特異度89.7%であり,FIM認知項目のcut-off値23.5点では,感度73.7%,特異度80.6%であった.〔結語〕脳卒中患者の在宅復帰には,FIM運動項目57.5点,FIM認知項目23.5点以上の能力が必要であることが示唆された.
著者
佐藤 和之 菅原 若奈 前田 理佳子 松田 陽子 水野 義道 米田 正人
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.85-86, 2001-03-31

1995年1月の阪神・淡路大震災以来,私たちは被災した外国人や外国人対応機関からの聞き取りを行ってきた。一連の研究から明らかになったことは,(1)多言語での情報提供より,彼らにも理解できる程度の日本語で情報を伝える方が現実的ということであった。そしてまた,一人でも多くの外国人を情報弱者という立場から救うためには,(2)身の安全と当座の生活確保のための緊急性の高い情報をいかに厳選し,(3)いかにわかりやすい表現で伝えるかということであった。このような言語的対策の研究成果として,私たちは1999年3月に『災害時に使う外国人のための日本語案文-ラジオや掲示物などに使うやさしい日本語表現-』と『災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル(弘前版)』を作成し,初・中級程度のやさしい日本語表現を使っての情報提供が有益であるとの提案を行った。やさしい日本語表現を用いて,外国人被験者(日本語能力が初級から中級程度)へ聴解実験を行ったところ,通常の文では約30%であった理解率が,やさしい日本語の文では90%以上になるなど,理解率は著しく向上した。発表では,72時間情報の意味(もっとも混乱した時間帯での情報とは何か),伝えるべき情報の種類と発信時間(災害発生時に外国人にも伝えるべき情報,緊急性の高い情報の種類と発信時間),やさしい日本語の構文(わかりやすく伝えるための構文の提案),使用できる語彙(買い物やバスの利用ができる程度の日本語語彙の選定と言い替えの方法),音声情報の読み方(ポーズの効用やスピード),使用すべき文字種(漢字仮名交じり文かローマ字文か),シンボルマークの使用(雑多な掲示物の中で外国人の目をひくための表現方法),コミュニティ版(弘前市を実例としたマニュアルの構成と内容)といったことについての試論を報告した。
著者
近藤 有輔 高原 里奈 毛利 広野 高木 牧人 前田 理 岩佐 豪 武次 徹也
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.64-69, 2019
被引用文献数
2

<p>原子クラスターは自由度が高いために多くの構造異性体を持つ.通常の理論研究では,その最安定構造の探索と続く電子物性解析が主であったが,近年の理論化学的手法の発展により,安定構造間の異性化反応や,異性体を含めた触媒活性の研究が可能になってきた.本研究では,金,銀,銅のクラスターを対象として安定構造および異性化反応経路,およびNO解離の触媒反応経路の探索を行いその比較を行った.異性化反応の計算からは,金と銀に比べると銅は異性化反応の障壁が高く,これはバルクのモース硬度と同様の傾向を示していた.NO解離反応の触媒作用に関しては,金と銀は障壁が高い一方で,銅は障壁が低く,安価で豊富な元素による触媒の可能性があることが分かった.</p>
著者
前田 理
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.i, 1998-12-15 (Released:2016-08-18)
著者
鈴木 浩史 中野 裕太 住谷 陽輔 湊 真一 前田 理
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:21888566)
巻号頁・発行日
vol.2018-AL-169, no.7, pp.1-6, 2018-08-27

化合物にはひとつの組成に対して様々な分子構造が存在し,それぞれで異なる性質を有する.化学反応における反応経路ネットワークとは,分子構造を頂点とし,遷移可能な分子構造の間に辺を引いたグラフ構造を指す.反応経路ネットワークの解析は,反応設計に携わる化学者の助けとなる重要なタスクである.本稿では,分子構造間の遷移に必要なエネルギーに着目し,エネルギーを制限した反応経路ネットワークの上で,特定の分子構造を始点とする単純経路を列挙する.ただし,経路の総数は組合せ爆発を起こすため,明示的な列挙は避けなければならない.そこで,SIMPATH アルゴリズムにより,暗黙的に全経路を格納したゼロサプレス型二分決定グラフ (ZDD) という圧縮データ構造を構築する.さらに,ZDD が持つ効率的な絞込み機能を応用することで,エネルギーの上限に対する可能な経路の抽出を行う.
著者
小林 正人 岩佐 豪 高 敏 高木 牧人 前田 理 武次 徹也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.O18, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
5

金属ナノクラスター触媒の反応性は、構成元素だけでなく、サイズや環境、構造など様々なファクターに依存するため、触媒活性の決定的因子の解明は困難であった。本研究では、銅クラスター触媒によるNO解離反応を例に、反応経路自動探索法を用いた系統的量子化学計算とスパースモデリングの手法を併用した触媒活性因子の抽出を試みた。具体的には、LASSO推定、SCAD推定、MC+推定の3つの手法を使い、軌道エネルギーや局所的な指標などの説明変数を用いて、Cu13クラスター上でのNO解離の遷移状態エネルギーを回帰した。その結果、遷移状態のエネルギーはLUMOの軌道エネルギーと負の相関があること、SCAD推定やMC+推定ではLASSO推定よりもコンパクトで相関係数の高いモデルが得られることがわかった。
著者
田口 精一 平石 知裕 高瀬 和真 前田 理久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

バイオオポリエステル生合成酵素の質的改変をとおして、ポリエステルの生産性・物性を積極的に改善する研究を展開している。今年度は、3HBをベースとしたPHA共重合体を合成できるPseudomonas sp.61-3重合酵素(PhaC_<Ps>)を対象に、望みの共重合組成(3HBとそれ以外のモノマーユニットとのモル比)を有するPHAの合成を実現する進化酵素をさらに多数創成すると同時に変異解析に基づく本酵素の構造と機能の相関について総括的考察をおこなった。対象酵素PhaC_<Ps>は、3BベースのPHA共重合体を合成できるが、3HB基質取り込み能力が微弱であるという課題があった。そこで、この性質を利用することによって、3HBだけから成るPHBホモポリマーの蓄積能力が向上する(PhaC_<Ps>の3HBに対する基質特異性向上あるいは全活性の向上)ということを指標としたスクリーニング系を構築した。この人工進化実験の特徴は、野生型酵素だと微量のポリマーしか蓄積できない組換え大腸菌(JM109株使用)との比較で、より多くポリマー蓄積する進化酵素保有大腸菌株を精度高く識別できる(ポジティブセレクション)という点にある。すでに確立した人工進化システムから得られた複数の優良変異点のうち、477番目のSerと130番目のGlyに着目し、これらのサイトにおいて総アミノ酸置換を実施した。全変異酵素を保有する組換え大腸菌(β酸化系変異株LS5218使用)によって生成されるポリマーの含量およびモノマー組成は、HPLCおよびGCにて分析した。その結果、JM109株でのPHBホモポリマー蓄積量において野生型を上回る変異体酵素が得られた。さらに、LS5218株にC4からC12までのモノマー基質を供給できる酵素遺伝子(phaA<Re>B_<Re>J_<Pa>)を補強した状態で、各変異酵素遺伝子を導入した。その結果、PHA共重合体の生産性が向上すると同時に、モノマー組成の多様性が生じていた。このインビボでのPHA含量の向上あるいはモノマー組成変化から、477番目のポジションが酵特に基質特異性決定に関与することが、130番目のポジションが特に比活性向上に関与することが推定された。これらの結果は、一部インビトロでの活性測定結果とよい一致を示し、立体構造情報が無くてもPHA重合酵素の機能マッピングができることを始めて示すことができた。
著者
前田 理
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.67-72, 1960-03

センチニクバエの大量増殖ならびに殺虫試験を進めるのに必要なこの虫の生態をよりはつきりさせるために,幼虫期間の密度が発育におよぼす影響,成虫の生存期間ならびに産仔数などについて調べた.魚粉10,ふすま10,エビオス3の混合物100gに水を200cc加えて,その中へ産まれたばかりの初令幼虫を10,20,50,100,200匹ずつ入れて,幼虫,蛹期の長さ,死亡率,蛹の大きさなどについて調べた. 10から100の飼育密度の範囲では,幼虫期の長さ,蛹の大きさには大差はないが, 200匹になると幼虫期間が長くなり,蛹の大きさが小さくなつた.しかしこのような飼育密度の範囲内では死亡率には大きな影響はみられなかつた.また飼育密度が高くなるにつれて,蛹化曲線および羽化曲線に2つの山ができる傾向がみとめられた.次に同じ日に羽化した雌雄50匹ずつの成虫を,30cm立方のサラン網籠に5つに分けて入れ,蝿成虫用配合飼料とミルクをあたえて,毎日の死虫数と産仔数を調べた.その結果約6日間の産仔前期間があり,その後6日の週期をもつて産仔数に大きな山ができる.成虫の生存期間は平均約1ヶ月で,雌雄の間に有意な差はみられなかつた.In Japan, Sarcophaga peregrina is one of the most important species of the flies breeding out in the privy of the usual dipping-out-night-soil type, where the maggots are unavoidably to be controlled by insecticides because of the difficulty of converting