著者
高木 潤野 梶 正義
出版者
長野大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「場面緘黙」を対象とした大規模な実証的研究である。場面緘黙は話す力があるにも関わらず学校等で話せなくなってしまう状態である。適切な治療によって症状の改善が可能であるが、学校や医療現場において認知度が低く適切な対応が得られていないケースが多い。本研究では、縦断的調査によって場面緘黙の実態を解明し効果的な介入手法を確立することを目的とする。幼児期から中学生までの場面緘黙児200名を対象に、心理検査及び半構造化面接によって不安症や発達障害の併存、学校への適応状態、発症要因等を評価する。また5年間の縦断研究により心理療法等の介入の効果を比較することで、より効果的な介入方法を明らかにする。
著者
井原 久光 東田 晋三
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.253-268, 2001-12

福武書店(現・ベネッセコーポレーション)の進研模試が、旺文社模試を追撃していった過程を競争戦略の理論に基づいて分析した。福武は、競合製品(旺文社模試)の特性をしっかりとらえ、限られた経営資源を最も効率的な顧客(有力高校)や地域(旺文社模試の手薄な地域)やセグメント(低学年)に集中し、独自の製品差異化(試験内容、データ提供、充実した母集団、独自情報の提供)をはかり、環境変化(学園紛争、入試改革、新カリキュラム)を有利に活用して、最終的には旺文社をこの市場から撤退させた。
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.40-69, 1999-09-30

アメリカの州立大学の歴史的変遷を入植地大学から要約した。入植地大学は、英国スタイルの神学校であったが、ニューイングランドでは、半ば公的教育機関として機能した。入植地大学をもたなかった南部、中西部、西部では州立大学が州立神学校として設立された。19世紀の州立大学の重要性を明確にするため、本論では社会的指導者を育成する大学の基本的なアプローチを二つのモデルとして提示している。第一は、社会的エリートを全寮制に囲い込んで全人教育する「トップダウン方式」であり、第二は、全ての若者に比較的低額で教育を与える「ボトムアップ方式」で、これにより、大学は「社会階層のエレベータ」の役割を担っている。州立大学と私立大学の特徴を示すために、これらのモデルとともに、ジェファーソン民主主義とジャクソン民主主義の違いに照らして説明がある。また、ダートマス訴訟(1816)、ランド・グラント法(1862)や男女共学についても触れている。後半は、インディアナ大学の概要を、キャンパス親模、財政、教職員、理事会その他の観点からまとめているが、こうした概要とデータは、日米の大学を比較するためである。日米の比較では、独立性、競争、環境適応性の三つの点について議論している。
著者
ル-クス スティ-ヴン 中島 吉弘
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.p507-521, 1994-03
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.57-82, 2003-09

本論の目的は3つある。第1に、レビットやエーベルなど、ドメインの基本的な理論をあらためて紹介して整理した上で、ドメイン論の問題点と現実的応用について筆者なりに考察することである。第2には、シナノケンシ株式会社(以下、シナノケンシ)の歴史的な発展の過程を振り返って、繊維→モーター→電子機器とドメインを変えながら成長を続けている同社の事例を紹介することである。第3には、シナノケンシ成功の理由と同社の課題を筆者なりに分析して、戦略的な提案を試みることである。
著者
内藤 哲雄
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.p53-60, 1986-11

言語障害者は、障害自体だけでなく、障害に対する他者の反応を意識することにより、障害が重くなったり、パーソナリティや対人行動に問題を生じやすい。こうした影響は、自我意識が昂揚し、自己や社会への関心がめはえる青年期においてはとくに問題となる。このような特徴をもつ言語障害者に対しては集団心理療法が有効であるが、中学・高校の教育現場の実情から、症状や発生機序別に同質集団を構成することは困難である。また異質な集団であっても、軽度な言語障害の場合かなりの効果が予測できる。このような背景から、本研究では、中学生や高校生で異質な症状や発生機序をもつ、比較的軽度な言語障害者集団を対象として、集団心理療法の効果を検討することが目的とされた。治療は2泊3日の合宿方式とし、対話法、レクリェーション活動、役割活動などの複数の療法を採用した。それらの効果は、レクリェーションでのエピソード、ミーティングでの発言、係活動に関する自己評定、対人行動の自己評定などによって分析された。治療効果は心因性の障害において著明であったが、軽度な障害者を対象としたことによろうが、多彩な言語障害のいずれにも有効であることが確認された。