著者
鷹野 和美 横山 孝子 古田 睦美 清水 貞夫 鷹野 和美
出版者
長野大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

異なる社会層からなる地域コミュニティの助け合いのしくみづくりにおける、地域通貨の果たす役割を実証的に研究した。具体的には学生および卒業生からなるNPO組織「学生地域暮らしづくり考房こみっと」の交流施設「縁舎」を拠点都市て、長野大学の学生という若い世代の新住民と、長野大学が位置する上田市下之郷地区において住民の主要な構成要素である65歳以上の老人の組織「双葉会」との交流活動が行われたが、そこにおいて、同NPO団体が発行する地域通貨「イクタル」の導入実験が行われた。1.高齢者、地域住民、学生に対するニーズ調査が行われ、その結果に基づいて交流活動および定期的な「御用聞き訪問」、夏野菜の提供による野菜市、脳いきいきテストなどが「イクタル」を媒介として行われた。2.3年間の実験を通して、地域通貨イクタルの周知度、地域通貨の流通量が増大し、これまで交流のなかった異世代間の交流が促進された。交流活動や脳いきいきテスト、かなひろいなどを通じて、高齢者の引き込むりを予防し、助け合いを行うしくみが模索された。3.3年間の実験を終えて、高齢者が、継続的に若い世代と関わる場合の地域通貨のあり方について、利用者調査から考察をいった。異なる社会層が助け合う地域コミニティの形成に、地域通貨の導入が好意的に受け入れられ、威力を発揮することが実証されるとともに、地域通貨システムの改善点や課題も抽出された。
著者
井原 成男
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.p45-60, 1985-08

本論文で我々は子ども一般とりわけ自閉症児に包括的,治療的,発達的サービスを展開しようとする場合,どのような問題があるかを概観した。専門家が特殊化されたことが,現在,サービス機関がバラバラで,歩調が合わず,重複していることが多いことの第一の原因になっていることが確かめられた。疾病分類法が混乱していること,そのために専門家が子どもの問題を特殊な領域へと分割してしまうことが支持をうけていることが分かった。そして最後に,親が専門家のスケープゴート(贖罪のヤギ)として犠牲にされ,「専門化された」親というさらに積極的な役割をもたされること,この体制をどんな役割でもって支えてきたかを調べた。子どもたちに包括的な発達的サービスを行うためのひとつのモデルとして,自閉症児及び自閉症に関連したコミュニケイション障害をもった子どもの治療・教育局(Division)をくわしく検討した。このプログラムの基本的要素は次のようなものである。1.発達システムを効果的なものとするためには単一の理論的見解ないしは単一の専門家の見解を優先させることはできない。このプログラムでは子どもとその家族にたいして責任を負う。2.親は自分の子どもに責任があり,いちばん,心から子どもたちを幸福にしようと思っている人のようである。このために,親が積極的に平等に参加することが必要となる。3.専門家があまりに専門化されすぎると,見通しが狭くなり,また焦点が子どもに方向づけられた関心から専門家の関心に移ってしまう。このことが示唆しているのは,細かく特殊な知識をもつ専門家のいきすぎを,子ども全体に実践的焦点をあてる非専門家と親が均衡化してあげなければならないということである4.官僚機構は直接プログラムの操作・目標そしてプログラムの性格そのものにも影響を与える。ここでそれとなく言いたいのは,官僚機構には以上の要素が精練された形で含まれていなければならないし,何よりも子どもに対して責任をもち,関心を向けなければならないということである。それができれば,様々の分野出身の専門家は親と協力しつつ,プログラムに参加した子すべてに最高のサービスをすることができるようになるのである。このプログラムにより,子どもがどんなものを必要とするにせよ,先入観にみちた定義におし込める代りに子どもたちに調和のとれたサービスをすることができる。このプログラムによって,様々の治療技術を効果的に発展させ,評価を比較することが促進される。そして,我々の子どもへの効果ある援助をすべての子どもに行うことができるよになるのである。
著者
高橋 一秋
出版者
長野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

クマ棚の分布は尾根に集中した。クマ棚形成に伴って形成された小規模林冠ギャップの面積は、尾根において年間1haあたり141.3m2にも達し、この面積は調査地区の尾根に創出した倒木ギャップ面積の約6.6倍であった。林冠層における開空率および液果植物の結実率は閉鎖林冠下より小規模林冠ギャップ下のほうが高い値を示した。センサーカメラによる観察から、鳥類および哺乳類がクマ棚を採餌、貯食、休憩、繁殖の場所として利用していることが明らかになった。
著者
田中 祥貴
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.149-159, 2006-09
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.93-111, 2004-03-31

本稿は、ブランドに関する定義や理論を整理し、その具体的な事例としてハーゲンダッツのブランド構築についてまとめたものである。前半では、ブランド識別の主体を、売り手(企業)、買い手(消費者)、第三者(法的機関)に区分し、ブランド機能を①識別機能、②品質保証機能、③意味づけ機能に分けて整理した。さらに、ブランドカを「知名度」→「信頼度」→「魅力度」というランクで示したモデルも提示した。情報化社会の進展にともなって「企業」が示す「識別機能」や「品質保証機能」に加えて、「消費者」のいだく「意味づけ」が重要になりつつある。そのため単に「知名度」や「信頼度」を上げることより「魅力度」を向上させる必要性が高まっている。また、個別の製品ブランド管理よりも企業全体のイメージを向上させる全社的戦略が求められており、そのためのヒントも提供した。後半は、日本におけるハーゲンダッツの成功事例を通じてブランド構築の過程を具体的に検証した。
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.313-331, 2004-03

本稿は、ブランドに関する定義や理論を整理し、その具体的な事例としてハーゲンダッツのブランド構築についてまとめたものである。前半では、ブランド識別の主体を、売り手(企業)、買い手(消費者)、第三者(法的機関)に区分し、ブランド機能を①識別機能、②品質保証機能、③意味づけ機能に分けて整理した。さらに、ブランドカを「知名度」→「信頼度」→「魅力度」というランクで示したモデルも提示した。情報化社会の進展にともなって「企業」が示す「識別機能」や「品質保証機能」に加えて、「消費者」のいだく「意味づけ」が重要になりつつある。そのため単に「知名度」や「信頼度」を上げることより「魅力度」を向上させる必要性が高まっている。また、個別の製品ブランド管理よりも企業全体のイメージを向上させる全社的戦略が求められており、そのためのヒントも提供した。後半は、日本におけるハーゲンダッツの成功事例を通じてブランド構築の過程を具体的に検証した。