- 著者
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山根 繁
- 出版者
- 関西大学外国語学部
- 雑誌
- 関西大学外国語学部紀要 (ISSN:18839355)
- 巻号頁・発行日
- no.17, pp.17-33, 2017-10
テレビニュース英語は,その言語表現の丁寧さの観点から,パブリック・スピーチなどと同様,一般的に,フォーマル (formal) なスピーチスタイル (speech style) の範疇に分類される。特に,政治に関するニュースでは,より丁寧な言語表現が使用される(井上, 2017, p. 67)。テレビニュース英語は,原稿の段階では「書きことば」で,ニューズライターが推敲を重ねてニュース原稿として出来上がる。それをプロのニューズキャスターが読み上げた瞬間から「話しことば」へと変換される。また,ニュース内容は正確に視聴者に伝達されなければならないため,ニューズキャスターには発音の明瞭性が要求されるが,フォーマルなニュース英語の中にも,会話などカジュアルな英語に見られる発音と共通した特徴が現れる。本論では,アメリカテレビニュース英語の音声特性を,一般的な会話などの話しことばに現れる音声現象に言及しながら,音響音声学の手法を用いて分析する。また,本論ではニュース英語の音声特性を 1) 分節音素と,2) プロソディーおよびその他の二つに大別して検討する。