著者
大矢知 浩司
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

簿記・会計教育のマルチメディア化された教材として,わが国の代表的な財務データベースである日経NEEDSを利用するMicrosoft Visual BASICによる財務分析システムNDjを開発した。ノートパソコンを前提とした開発であるためコンパクトである。マウスクリックのみで実行可能である。青山学院大学の「コンピュータ会計論」では,サーバーを介して70台のパソコンと接続して一斉授業の教材として利用している。システムの利用には何らかの説明を必要としないが,財務分析式,データの意味するところを説明するマニュアルを『財務分析ツール・アンド・データ』と題して白桃書房より公刊している。本研究の成果である。しかし,教育目的からは完全自動化は問題があった。有価証券報告書から自らのニーズに応じたデータを選択して入力し,Excelなどの表計算ソフトを用いて分析する。さらにグラフ化してレポートにする。この手間暇がなければ学生の身につかないように思われる。余りにも簡単に指標を入手できるので指標を理解できないようである。先ずVisual BASICでの簡単なプログラム作成,有価証券報告書の理解が必要であろう。それにもまして企業に対する理解が基本であろう。本年度は,多少のデバッグと報告書作成の作業を追加的に行った。
著者
濱野 耕一郎
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

フランス第三共和政が経験した、ドレフュス事件以来の内政危機である「2月6日事件」は、作家たちにどのような反応を引き起こしたのか。本研究はまず、事件が文学者全般に「政治回帰」を強いた事実を明らかにし、その後、ジョルジュ・バタイユ、アンドレ・シャンソン、ピエール・ドリュ・ラ・ロシェルらが、それぞれどのように事件を受け止め、いかなる政治的選択を行い、またそれが彼らの作家活動にどのような形で反映されているか考察した。
著者
鈴木 宏昭 薬師神 玲子
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

人は意識的に把握できる情報以外の情報を積極的に活用して認知活動を行っている。しかしながらこの知見は主に知覚レベルの実験から得られたものであり、問題解決における潜在的情報の利用についての知見は少ない。本研究では、問題解決などの高次認知における無意識的な情報の利用についての検討を行った。2006年度は問題解決中にサブリミナル画像を提示し、それによる行為の変化を分析したが、実験群、統制群の間に有意な差が見られなかった。そこで2007年度はサブリミナル画像を視野のどの部分提示するかをコントロールした実験を行った。中心視野に収まる範囲、それを越える範囲、の2条件でサブリミナル画像を提示した。しかしながら双方の群ともに問題解決の促進は見られなかった。またサブリミナル画像の提示が被験者の意識しない眼球運動に現れる可能性を検討するため研究を行った。しかしながら実験群、統制群間に有意な差を検出することはできなかった。洞察問題とは異なる認知活動における潜在的な情報の利用を検討するために、ジェスチャーを用いた問題解決の分析も行った。その結果、問題解決者は問題解決の初期と後期に半ば無意識的にジェスチャーのタイプを変化させ、有用な情報を生み出していることがわかった。さらにスキル学習に無意識的な行為の変化を分析した。その結果、半ば自動的に生じる行為の熟達において、環境のセッティングの変化が重要な役割を果たすことが明らかにされた。
著者
尾形 こづえ
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では意味概念「変化」を表す他動詞のうち,特に頻度の高いchanger の他動構文をコーパスの検証に基づいて検討した。その結果,changer のN_0-changer-de-N_1 構文における間接目的は限定を受け容れない点で他の動詞の間接目的とは区別されること,また,統辞・意味の観点からN_0-changer-de-N_1 構文は均質でなく,N_1 のタイプにより,間接目的として分析される場合と状況補語と捉えられる場合が認められることが明らかになった