著者
飯島 渉 橋本 雄太 市川 智生 五月女 賢司 中澤 港 井上 弘樹 高橋 そよ 後藤 真
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

COVID-19のパンデミックの歴史化をめぐっては、個人的な記録や記憶など、感染症対策への反応を示す資料群の整理・保全が必要である。そのための仕組みとして、国立歴史民俗博物館が運用しているクラウドソーシング・デジタル・プラットフォームを援用し、「コロナ関係資料アーカイブズ」(仮称)を構築・運用する。COVID-19のパンデミックの感染状況などの基本的な状況を示すデータを組み込む。中澤港(神戸大学)が整理・公表してきた時系列的な感染の推移データを基本とし、国別の状況も組み込む。持田誠(浦幌町立博物館)、五月女賢司(大阪国際大学)、高橋そよ(琉球大学)の収集資料などを、デジタル化して組み込む。
著者
白尾 恒吉 木村 勇 仲根 孝 井上 政久 岩堀 信子 本間 龍雄
出版者
青山学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

数学の各分野において近年国際的発展のはなはだしい研究を見る組合せ論的な扱いを主として、我が数学教室においては、代表者白尾は、マルコフ過程の從来の解析的思考を組合せ論的な立場から見直すべく出来るだけ夛くの知識と概念を導入して来年度への研究の活力とした。分担者岩堀は、組合せ論properな未解決問題をプログラムし、計算実験をくりかえし、いくつかの部分的な成果および予想を得た。分担者本間,井上は或る種の非代数的曲面の変形の研究から新しい非代数的低次元複素夛様体を構成することを試みた。分担者小池は、昨年夏の日米合同セミナー"可換群と組合せ論"(バークレイ)において、Littlewood's公式に基き、(対称な有理関数のShier関数への展開公式)偶数次の対称群とワイル群の間の既約表現に関連する分解公式を得た。以上、いくつかの方面からの研究をひろく行ったが、いづれもコンピューターによる補助計算、実験計算等に夛くの時間をかけているので、結果を得られたものもあるが、未だその途上に研究をつづけているものが夛数あるのでこれらを来年度の課題としたい。
著者
小針 誠
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究課題は、国立・私立小学校を志望する家族の社会階層、教育意識・志望理由の変容が学校組織や学校経営に与えた影響を、この20年の定点観察を通じて明らかにする。申請者が2000年に実施した国立・私立小学校を志望する保護者対象の質問紙調査に新規の項目を追加した質問紙調査を2020年に追施、両者を時系列的に比較し、小学校受験層の社会階層や教育意識の変化を捉える。この20年の間、学校を取り巻く環境は大きく変容し、学校に対する保護者の教育期待や要望は著しく多様化した。私立小学校のなかには、志願者がほとんど減少しない学校の一方、存亡の危機に直面する学校も少なくない。
著者
平田 雅博
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

日本におけるイギリス史の研究史は、国内史それも事実上イングランド中心であり、民族的にはアングロサクソン民族中心、人種的には白人中心にイギリスの歴史が叙述されてきたが、植民地を含んだ帝国史、ケルト地域(ウェールズ、スコットランド、アイルランド)なり、ケルト民族、非白人を含んだ枠組みがなかなか提示されてこなかった。近年、帝国史の枠組みの提示によって、強固だった国内史の狭い枠組みもようやく本格的に再検討されつつあるし、ケルト周辺を含み込んだ枠組みの提示によってイングランド中心の枠組みも克服されつつある。しかし、残された「非白人」を包摂した枠組みの提示はいまだ不十分でしかない。本研究は、研究代表者が従来から取り組んでいる「帝国史」の枠組みを設定した上で、「非白人」の観点を取り入れて、一次史料によって、イギリスにおける黒人史研究に取り組んできたことの成果である。研究全体としては、在英黒人の存在や実態を扱った面と在英黒人をめぐる意識の問題として人種差別主義の歴史を扱った面に分けた。前者では、時期的は一八世紀末を限定しながらも、空間的にはイギリス国内にとどまることなく、アメリカとアフリカを含めた分析をしている。後者では複雑きわまりない人種差別主義の歴史を捉えるの有効な「長期的展望」を取り入れて、黒人に対する意識の歴史的変遷を検討した。17世紀から20世紀まで、人種の悪魔学、プランター利害に立つ人種差別主義、疑似科学的人種差別主義、二〇世紀の「文化のレイシズム」と区分して、順次検討した。
著者
秦 邦生
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

この研究課題では、従来の文学史・文化史の修正を目指して、1930年代から50年代のイギリス文学・文化を「後期モダニズム」ならびに「後期帝国主義」の観点から研究した。その具体的な研究対象は、ジョージ・オーウェルのディストピア小説、ディケンズ小説翻案、スパイ小説と映画など、多岐にわたった。この研究課題はこれらの文学・映画テクストを、(1)戦後福祉国家体制の成立、ならびに(2)第二次世界大戦から冷戦へと至る、イギリスをとりまく国際関係の変容、という文脈に置くことで、それらが現実との葛藤のなかで形成されるプロセス、ならびに、社会批判やユートピア的な可能性がそれらの作品に記録される過程を浮き彫りにした。
著者
小林 和幸 奈良岡 聰智 大石 眞 森山 優 小宮 京 原口 大輔
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、「河井弥八関係文書」を中心として帝国議会・国会関係者の資料を総合的に分析・検討しようとするものである。本年度は、下記の通り、研究を進めた。まず、「河井弥八関係文書」の調査分析ならびに河井日記の刊行であるが、本年度は、河井日記中の昭和30年から32年について、翻刻と内容分析を行い『河井弥八日記 戦後篇4』を刊行した。また、河井日記の内、未刊行の明治、大正期の河井が貴族院書記官を務めた時期の日記についても翻刻作業を行った。なお、河井日記の昭和16年分についても研究分担者の森山優にグループが中心となって静岡県立大学の「Working Paper Series」により翻刻公開を行った。次に、「河井弥八関係文書」をより総合的立体的に分析するため、議会官僚や政治家の個人資料の調査・分析を行った。これでは、河井の女婿で、戦前の内務官僚で戦後衆議院議員を務めた舘林三喜男の日記の一部について、舘林家所蔵史料を複製収集した。さらに帝国議会貴族院関係では、貴族院議員多額納税者関係資料について長野県選出の「山田荘左衛門関係文書」につき調査し、初期の貴族院の政治会派に関する研究を進めた。また研究分担者の原口大輔は、河井弥八日記を利用した貴族院議長に関する研究書を刊行した。そのほか、研究分担者・協力者は、議会史に関する研究を進めている。なお、研究分担者間での連携を深めるために、2018年9月青山学院大学において研究会を行い、貴族院事務局に勤務し初代の参議院事務総長を務めた小林次郎の史料に関して、研究協力者の今津敏晃からの報告を聴取し知見を深めるなどの研究活動を進めた。さらに年度末の2019年3月には、静岡県掛川市の河井弥八記念館にて公開講演会と意見交換会を行い、河井弥八研究の進展を図った。