著者
河村 壮一郎
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.76, pp.9-17, 2018-01-12

青年期における自己肯定意識の形成は教育における重要な課題であり,その向上には多様な要因が関わっていると考えられる.本論では自己のパーソナリティの諸要因に対する意識度が自己肯定意識の高さと関連しているとの仮説を立て,ビッグファイブ尺度に基づいて調査を行った.相関分析の結果,自己肯定意識の高さは情緒不安定性に関する意識度と負の関係,外向性に関する意識度と正の関係があることが示された.この結果は自己肯定感が自己の肯定的あるいは否定的な側面への意識によって影響されるという仮説からの予測と一致していた.
著者
荒井 優
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = Memoirs of Tottori College of Nursing and Tottori College (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.74, pp.15-28, 2017

日本の正月やお盆,祭りの日など,ハレの日に食べる食べものはなぜか丸いものが多い.神へ奉げる食べものが丸いのはなぜか.折口信夫の民俗学を通して,説明する.その背後には,日本人独自の霊魂観があり,日本人独自の神信仰と結びついた食事作法がある.
著者
石賀 安枝
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898333)
巻号頁・発行日
no.86, pp.31-44, 2023-01-16

日本人の最大の死亡原因である生活習慣病の予防が国民的課題となっている.幼児期は食を営む力の基礎を養う重要な時期であるといわれており,この時期からの望ましい食生活の形成に対する取り組みが保育所においても実施されている.未就学児に対する栄養教育として広く使われている教材「三色食品群」について,その使用の際に発生する不都合を「管理栄養士・栄養士,保育士,子ども」の立場で考察し,「三色食品群」の利点を活かしつつ,これに代わる新しい栄養教育教材の提案を行った.
著者
渡邊 太
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.85, pp.15-27, 2022-07-01

本稿では,近代民主主義における直接行動の意義を確認する.近代の代議制民主主義では「民主主義イコール選挙」のイメージが強いが,デモや集会などの直接行動は議会に対する圧力として重要である.2010 年代日本の直接行動では「普通の人たち」の参加が強調されたが,1960 年代の直接行動を見ると大衆のラディカリズムが強烈だった.既存の秩序を打破するラディカリズムが宿る直接行動には,代議制民主主義に緊張感を与える役割が期待される.
著者
菅田 理一 鈴木 崇之
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898335)
巻号頁・発行日
no.86, pp.57-64, 2023-01-16

本稿は市区町村要保護児童対策地域協議会(以下,「要対協」とする)の課題を探ることを目的とし,2017 年から2021 年までの先行研究のレビューを行った.その結果,「要対協調整機関の職員の体制強化と専門性確保」「支援対象の定義の曖昧さ」などの課題が抽出できた.要対協は今後,子ども家庭総合支援拠点,子育て世代包括支援センター,児童相談所と連携する必要があり,連携効果の向上に資するような研究がさらに求められている.
著者
長岡 絵里佳 河﨑 和穂 中島 久美子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898334)
巻号頁・発行日
no.86, pp.45-56, 2023-01-16

鳥取県内の公立の小学校,中学校,義務教育学校,特別支援学校で働く学校司書や学校図書指導員等の実態について無記名の調査票による調査を行い,郵送とweb アンケートで回答を集計した.単純集計とクロス集計の結果,給与や保障が少なく情報共有の機会が少ない不安定な立場であることや情報技術の進展に対応しきれない状況にあることがわかった.
著者
藤本 直子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.86, pp.23-29, 2023-01-16

新型コロナウイルス感染症の拡大によって,全国の大学で面接授業(対面授業)が難しい状況に陥っており,コロナ禍でも対応可能な授業内容や学習システムの構築が求められている.鳥取短期大学生活学科情報・経営専攻においても,Google Workspace for Education を活用した授業を行っており,その実施過程でICT を活用した授業の成果と課題が出てきている.本稿では,特にGoogle Classroom を利用した授業実践を通して浮き彫りになった,授業指示・課題提出・管理の在り方や成績データの蓄積などの成果と,学生自身が抱えるPC スペック問題やWi-Fi 環境整備などの課題を明らかにする.
著者
羽根田 真弓
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.86, pp.11-21, 2023-01-16

「唱歌」「童謡」の歴史的変遷を学習した保育学生の「唱歌」「童謡」への継承意思が質問紙調査の結果から明らかに示された.保育者および保護者を対象とした質問紙調査からも同様の意思が認められた.つまり,「唱歌」「童謡」の継承は保育学生および保育現場からその必要性が認識されている.しかし,保育現場において「唱歌」「童謡」として意識的に教材選択がなされているかは不明であり,これらの歌唱教材を継承していくためには,同教材の意義や文化所産であることの見識を深める必要がある.
著者
仙田 真帆
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.86, pp.1-10, 2023-01-16

本研究は,スポーツ活動者におけるスポーツ活動時の音楽利用の実態を詳細に検討するものである.一つ目の,スポーツ活動者を対象とした質問紙調査では,回答者の約半数がスポーツ活動時に音楽を利用していること,特にウォーミングアップ時の音楽利用が多いこと等が明らかになった.二つ目の,アマチュアランナーを対象としたインタビュー調査では,個々の回答者には音楽の選択や聴取の仕方等にこだわりが見られ,パフォーマンス向上のためのツールの一つとして音楽を使いこなそうとする活動者の実態が見られた.
著者
八田 学 御舩 斎紀
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898336)
巻号頁・発行日
no.85, pp.73-79, 2022-07-01

学生の体験を足掛かりに「総合的な学習の時間」を学生に指導してきた.その際,従来からある「特別活動」との違いを「探究」という言葉で,厳格に区別し取り扱ってきたが,それぞれの共通性・違いに鑑みたとき,もっと包括的に「総合的な学習の時間」を捉え,進めていくことの方が多忙を極める現場にとってより有益になるのではないかと考えた.この観点に立って今後の「総合的な学習の時間」のあり方について考えてみた.
著者
村口 孝子 平野 裕美 木村 由里 前田 陽子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898335)
巻号頁・発行日
no.85, pp.61-72, 2022-07-01

本研究では,3 年間の成人看護学実習の前後,実習指導者の実習指導行動がどのように変化したのか,また,実際指導を受けている学生が実習指導をどのように評価しているのか調査した.分析した結果から,指導者は学生の理解に努め指導に当たっていたが,学生は指導者が思っている以上に緊張が強く,指導者の指導を十分に受け入れていなかった.指導者は指導が十分にできていないと感じていたが,学生は実践家としての役割モデルとして指導を受け止めていたことが考えられた.
著者
藤原 美智子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898334)
巻号頁・発行日
no.85, pp.47-60, 2022-07-01

JICA の看護継続教育プロジェクトの終了後のエルサルバドルの看護師の活動状況および保健統計データを確認した.現地の看護師たちは様々な自立発展的な活動を行っていた.その結果,一次医療施設での看護ケアは大幅に改善された.また,全国レベルでのリプロダクティブヘルス研修が自立運営されている.看護師の思いと行動力,委員会活動が看護ケアの質向上に貢献していていることが示唆された.
著者
板倉 一枝
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898333)
巻号頁・発行日
no.85, pp.37-46, 2022-07-01

鳥取県の家庭料理に関する郷土資料から,料理に使用される醤油の種類について調査を行った.醤油を利用する料理のうち,「濃口」や「淡口」などの具体的な表記は全体の 4 分の 1 程度であり,多くは「醤油」とだけ表記されていることが確認できた.醤油の種類が多様化している現状を踏まえると,より言語化された具体性のあるレシピにすることが必要であるとともに,一方で,何を誰に伝え継ごうとしているのかを意識するなど,多文化共生的視点の必要性も示唆された.
著者
野津 伸治
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.85, pp.29-35, 2022-07-01

任意のコースを搭載するカメラで取得した映像から自律走行する AI カーの画像認識を深層学習の畳み込みニューラルネットワークの一つ Residual Network の実装のための理論的なまとめを行った.
著者
細田 武伸 稲田 千明 矢倉 紀子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.85, pp.1-13, 2022-07-01

A 市 B 地区の 7 名の男性住民を対象に特定健診・特定保健指導の受診に関連する要因等をグループインタビュー方式で尋ね,録音記録を KJ 法で分析した.その結果,特定健診の受診に関する要因として,【特定健診の受診には,意識改革,指導効果の実感,初回受診がポイントになる】,【特定健診の目的が達成されていない状況がある】,【健診受診率を高めるためには小地域単位での地域への働きかけが効果的である】,【特定健診を受けない理由として健診体制の不備がある】,【特定健診で病気がみつかることへの不安があるため受診しない】,【かかりつけ医を頼っていれば十分である】,【老いや健康などに対する価値観の違いがある】の 7 つの島が抽出された.これらより,受診しなければいけないという意識と受診し良かったという体験が,受診の動機に繋がっていることが考えられた.その一方で,老いや健康に関する価値観は受診を阻む要因ともなることが考えられた.
著者
田中 美菜江 奥田 玲子 深田 美香
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.84, pp.13-23, 2022-01-14

食支援において大切にしていることおよび課題について,鳥取県内の特別養護老人ホームで勤務する多職種を対象にアンケート調査を行った.現場では,誤嚥や窒息のリスクを考慮するとともに利用者一人ひとりが安全に食べることができ,食事が楽しく豊かな時間となるよう支援していた.よりよい支援にむけて,利用者の摂食嚥下状態の把握に努め安全に食べられるための環境調整や食事介助のスキル向上,専門職の配置と多職種連携の強化を課題としていた.
著者
藤本 直子 野津 伸治
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.83, pp.45-49, 2021-07-01

鳥取短期大学では,2020 年12 月よりGoogle Workspace for Education を導入し2021 年4 月よりその本格的な運用が始まる.本稿では,Google Workspace for Education 導入までの学内のICT 環境整備が図られた経緯とGoogle Meet を用いた遠隔授業やGoogle Jamboard を利用したグループワークの実践について述べるとともに,Google Classroom を活用した他大学の活用事例の紹介および情報・経営専攻の授業(2021 年「資格情報処理A」)での導入計画などについて述べる.
著者
前田 舞子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.80, pp.35-43, 2020-01-10

本研究は,現代ドイツの教育学者モレンハウアーの思想を中心として,陶冶=人間形成論と「美的経験」との関係を検討するものである.彼の思想の背景を,「美的経験」と「陶冶=人間形成」の点から概観し,彼が子どもの陶冶過程の現実に目を向け,その解明に乗り出した経過を整理する.その上で,彼が実際に行った分析や考察を検討することにより,その理論の教育学的意義に迫る.
著者
岡野 幸夫 土居 裕美子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.82, pp.13-29, 2021-01-12

鳥取県方言を収録した文献資料に基づいて,傷病・症状を意味する方言語彙を収集し,全体像の把握と記述的考察を試みた.量的には病気語彙が最も多く,症状語彙,感覚語彙がそれに次ぎ,怪我語彙は少なかった.この他に関連するものとして,生理現象や体質,性向などを意味する語彙も比較的多く収集できた.また,病気語彙では漢語由来の語形が多くみられること,症状語彙ではニュアンスの違いに応じて語彙を多彩に分化させていることなどが明らかになった.
著者
板倉 一枝 松島 文子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = Memoirs of Tottori College of Nursing and Tottori College (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.75, pp.21-28, 2017

日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の一環として,鳥取県を調査地域とした聞き書き調査を行った.主食の特徴として,麦飯中心から白米中心に変わってきたこと,米の補食として芋類や雑穀を食する食文化が認められたこと,山陰地域特有の「小豆雑煮」を正月に食する文化が多くの調査地域で認められたことなどが挙げられる.また米を節約しながらもいくつか特定の具材を用いて何種類もの変わりご飯にし,ごちそうとして楽しむ工夫なども確認できた.