著者
小峰 優佳 岩田 祐佳梨 貝島 桃代 五十嵐 浩也
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.114, 2013 (Released:2013-06-20)

筑波大学では、病院との協力でQOLの向上に向けたアートデザイン活動を行っている。本稿では平成25年2月より筑波メディカルセンター病院を対象として実施している「はるまちポケット」という企画について報告する。この企画は、芸術系の学生団体が主体となり、病院外来の待ち合い(時間)をデザインする目的に実施した。5ヶ月の期間を経てリサーチやヒアリングを行い、待ち時間の利用方法について病院スタッフと協議を重ね、企画の実施に至った。待ち時間を有効に活用し、患者とススタッフ間のコミュニケーションの向上を図るため、椅子の背もたれを利用してポケットを設置し、そこにカードを入れた。カードの片面はスタッフ紹介になっており、もう片面は外来に上手にかかるためのメモ欄を設けた。その結果, カードの使用枚数は徐々に増加してきている。まだコミュニケーションに対する効果は不明であるが、患者教育としての効果が期待できると考える。また椅子の背もたれを利用したことで、患者が情報を手に取りやすくなり、情報発信の場として椅子のデザインの可能性もあると考える。
著者
佐々 牧雄
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.9-18, 2012-07-31

本研究は,筆者らの先行研究である「サービス申込フォームにおけるデザイン・ガイドラインの構築」と「予測手法によるデザイン評価の研究」を応用,発展させたものであり,ユーザビリティ評価法における課題である「実施コスト」「実施期間」「評価者スキルの定量的把握」「ユーザビリティ問題の解決の優先度把握」などの解決を目指したものである。実験では,「群衆の叡智」で既に得られている知見を応用し,情報デザイナーやユーザビリティ・コンサルタントからなるエキスパート集団に,一般的なユーザーを対象に行ったユーザビリティ評価法のパフォーマンス測定の結果を予測してもらった。実験の結果良好な結果が得られたので,エキスパート集団の予測結果を用いることで,大規模なパフォーマンス測定をしなくとも,ほぼ同等な結果が得られることがわかった。それとともに,ユーザビリティ評価者を「どれだけユーザーの行動を予測できるか」という視点により,そのスキルを定量的に測ることができた。
著者
田丸 恵理子 廣瀬 吉嗣 蓮池 公威 大山 努
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.F18, 2004 (Released:2005-06-15)

インターネットの普及によって、仮想スペース上での商品の売買がさかんになる一方、物理的な店舗空間の意味の再考が求められている。店舗は単に商品を売るという場所から、新しいサービスを提供する場へと変化が求められている。このような背景から考えると、店舗を評価する際、「ユーザ体験」という観点からの捉えなおしが必要となってくるであろう。店舗という空間は、単に建造物そのものとして成り立っているのではなく、むしろ、人と空間とのインタラクションで構築されていると言える。それゆえに、空間のデザインや評価は、物理的な空間を評価することではなく、そこでのユーザの体験を評価することである。このような観点から、われわれは感性評価、視線分析、インタラクション分析を融合し、店舗のような空間でのユーザ体験を評価・分析するフレームワークを提案する。さらに、本フレームワークを、新しいコンセプトに基づいて構築された銀行の試験店舗に適用し、この店舗空間がどのような顧客の新しい体験を創出できるのかを評価した。この結果から、本フレームの有効性を確認した。