著者
Kimiaki SUZUKI Sachiko MIYAGAWA
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
Journal of the Science of Design (ISSN:24242217)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.2_21-2_30, 2022-11-30 (Released:2022-12-25)
参考文献数
41

This paper intends to analyze the characteristics of product development management that gained and maintained a competitive advantage in the Internet service industry from the perspective of design thinking. We conducted a case study of the QQ business of the Chinese company Tencent in order to derive a hypothesis. The original findings of the case study in this paper are as follows: Tencent built into the QQ a mechanism for visualizing and enhancing "Guanxi," a user characteristic unique to the Chinese market, in a virtual space through product development from the Human-Centered Perspective (HCP). The hypothesis derived from the case study is as follows: Behind Tencent's rapid growth in China's emerging Internet service market were the visualization and enhancement of "Guanxi" in the virtual space, which raised certain unique psychological switching cost.
著者
盛 穎魁 植田 憲
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.213, 2013 (Released:2013-06-20)

黄酒は、中国における伝統的米を原料とする最も古い醸造酒である。中華文明の発展とともに形成された黄酒文化が、中国の伝統的生活文化のひとつとして極めて巨大な社会的、文化的価値がある。一方、1978年に始められた「改革開放」政策以降、中国は著しい経済発展を遂げてきた。しかしながら、人々が豊富、便利な物質的生活を享受した時に、伝統的生活飲食習慣、先人から伝承された習俗、自然に対する理念など伝統生活文化が30年間で急激に変化した。伝統的黄酒文化も例外ではない。 本研究は、中国江南地域における黄酒文化に関する多面的な調査に基づき、改革開放以来の農村地区の伝統生活文化と地域のアイデンティティが失われた現状を把握し、中国黄酒文化の意味と黄酒づくりの意味を探求することを目的とする。中国江南地域における湖北省房県の黄酒の事例を通して、古来から記録に残っていない黄酒文化の価値と「黄酒づくり」の文化的意味を再確認するとともに、中国農村地域における伝統的生活文化の多様性と重要性を再認識し、共有文化を守る思いを確かめ、このような伝統文化をこれからの世代へ伝えていくことを望む。
著者
藤松 裕士 山崎 和彦
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.290, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究では実際の通勤、通学での移動方法などを同行による調査を行い、その結果に基づいたコンセプトを設定したうえでそのコンセプトに沿ったパーソナルモビリティツールを提案することを目的とする。複数人でしようするための自動車や自動二輪車、公共のモビリティツールとして利用できる電車やバス、モビリティツールとしての有用性より娯楽性を際立たせたスケートボードやローラースケートなど。様々なモビリティツールが存在する。その中でもセグウェイをはじめとした新たなパーソナルモビリティツールが多くなっている。その一方で、日本で実際に乗っている光景を目にする事は無いので、その理由について調査を行った。セグウェイを例に挙げれば、現在の日本の法律ではセグウェイは原動機付自転車などの自動二輪車、あるいは電動車椅子に該当するが、自動二輪車としても電動車椅子としても、それぞれ異なる理由から日本の公道を走れる規格の中におさまっていないことが原因である。これらのような背景から、日本の公道を走ることができるモビリティーツールをテーマと設定した。
著者
大串 智美 金 尚泰
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.92, 2012 (Released:2012-06-11)

近年の地下鉄路線図の多くは,駅や路線の物理的な位置情報を取り払い,限られた角度の線で乗換駅を強調している.この手法は1933年にBeckによって考案され,世界中の路線図に浸透した.しかし,その発展形であるロンドン地下鉄路線図を対象とした調査研究では,利用者の約30%が路線図のデザインのために遠回りとなる経路を選んでいたことが示された.同様の問題はその他の路線図でも発生していると考えられる.そこで本研究では,東京の公式地下鉄路線図を対象とし,利用実態調査に基づいて選出した区間について経路選択の傾向を調査する実験を行った.その結果,実験を行った23区間中12区間において,遠回り経路の選択が30%を超えた.さらに,路線図上の駅間距離が実際の距離と比べどの程度変更されているか,基準となる指標を定義して考察を行った.その結果,遠回りの傾向がみられた12区間のうち7区間において,最短経路の路線図上の距離が比較的長く伸ばされていた.これらのことから,路線図上の距離が経路ごとに異なった比率で伸縮されていることが誤った経路選択行動の原因となっていることが分かった.
著者
野口 尚孝
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.136, 2012 (Released:2012-06-11)

デザイン論においては、経済的価値と個人的価値観とを区別することが少ない。しかし、付加価値とは何かを分析するためには、この区別が必要である。マルクスの労働価値説によれば、ある生産物の価値とは、それを作るために要した、社会的に平均的な労働時間で示される。しかし、商品経済社会においては、商品の価格は直接価値に基づいて設定されるのではなく、需要と供給の関係で決まる。したがって市場価格は買い手の主観的価値観に依拠して売り手が決めるといえる。付加価値とは、実際の価値より遥かに高い価格を買い手の主観的価値観に訴えて設定することを可能にする方法であるといえる。 現在の資本主義経済体制では、経済恐慌の要因である過剰資本の蓄積を過剰消費によって処理するシステムが確立されており、デザインによる付加価値もそのための消費拡大の手段として用いられている。しかし、消費を拡大させないと成り立たない現在の資本主義経済体制は、その必然的帰結として他方で資源エネルギーの無駄遣いや深刻な環境破壊を起こしている。今後こうした事実を直視した新たなデザイン論が必要であろう。
著者
陳 郁佳
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.49, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究では、デザイン過程において指導式創造思考教育行うと、学生の創造力における天賦の才能を促進し、更に豊かなデザイン表現を導くと先ず仮定している。そして、中学生を実験グループと比較対照グループの各14人に分け、両グループに「トーランスの創造的思考テスト」 (Torrance tests of Creative Thinking、 TTCT)の実験前テストを実施した。これは両グループの学生の元々の創造力を知ることを目的としている。その後、創造思考教育実験を行い、創造力心理過程の四段階を基礎として、その変化を創造思考教育のための手順に使用する。 実験グループと比較対照グループの両者は4週間の創作時間をかけて「個人形象デザイン」作品の創作実験を分かれて行った。実験グループには創造思考教育手順に従って創作指導を行い、 比較対照グループには自由に創作させた。続いて再度TTCTの実験後テストを実施し、両グループの学生の創造力の流暢性・独創性・綿密性・柔軟性等の能力について実験前後で違いがあるか比較した。同時に両グループ作品に対する中学校の教師と学生の評価を調査した。 最後に、以上の実験と調査の結果を基に、デザイン表現に対して創造思考教育は良い影響を与えるのか検討した。
著者
Warrunthorn Kittiwongsunthorn Katsuhiko Kushi Aleksandar Kovac
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.3_7-3_14, 2014-09-30 (Released:2015-01-23)
参考文献数
38

Both internal and external factors are contributing to the complexity of the driving environment. Traffic conditions, sophisticated car management systems, ubiquitous communication devices, and so on demand increased levels of visual and cognitive attention from drivers. Despite this, modern in-car information displays increasingly more and more information. As a result, the displays are cluttered and distracting, negatively influencing the driving performance. To address these distractions, this research investigates the potential of displaying and delivering information in driver's peripheral vision via peripheral vision interface in a driving environment. Experimental findings suggest some benefits of implementation of such an information interface. However, the driver's perception of information presented by a peripheral vision interface is reduced due to cognitive load and optic flow generated while driving. The driver's perception varies depending on type of visual stimuli used to display information. The results are discussed and possible further developments are proposed.
著者
Sonya S. KWAK Myung Suk KIM
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.91-100, 2008-05-31 (Released:2017-07-19)

The objective of this study is to develop a triad problem-solving model of design with a controllable determinization level which satisfies both analytic and synthetic aspects of design activities. Rooted on the problem-solution duality model, a goal-oriented triad problem-solving model, which is based on the triad relationship among a problem, a solution, and a goal, is constructed. The goal area is distinguished from the solution area. The concept of determinization which is the process of transforming the indeterminate solution area into the quasi-determinate2 goal area is established. The determinization level controls the portion between discovery and invention. The triad problem-solving model of design with a controllable determinization level is applicable to all types of design activities with diverse conditions.
著者
村井 貴行 山崎 和彦
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.189, 2014 (Released:2014-07-04)

本研究は「若者向け競馬アプリケーションの提案」というテーマで、これから競馬を始める初心者向けの競馬アプリケーションを提案する。本研究では対象とするユーザがアプリケーションを通して魅力的な競馬体験ができることを目標とする。本研究の背景は、競馬はイギリス発祥の紳士のスポーツであるが、日本の競馬は人気が落ちてきている。特に若い人の競馬離れが競馬の売り上げの減少に影響している。現在、競馬を行うにあたり使用するツールは主に競馬新聞で、これから競馬を始める競馬初心者も競馬経験者と同様に競馬新聞を使用するケースが多い。競馬新聞は競馬情報の多くを文字で表している。また、競馬新聞は内容の多くを競馬の専門用語で表している。このため競馬初心者は競馬新聞の内容を読み取ることができず、競馬を楽しむことができないことが現状である。競馬を始めることが難しいことが現在の若い人の競馬離れに繋がり、競馬の売り上げ減少の原因になっている。本研究の目的は競馬初心者の若者のための、競馬情報をわかりやすく視覚表現したアプリケーションを提案し、競馬初心者が競馬経験者と同様に競馬を楽しむことで多くの人に競馬の魅力を伝えることである。
著者
三河 美幸 田邉 里奈 大谷 義智 近藤 邦雄
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.199, 2013 (Released:2013-06-20)

デジタルメディアを介したコミュニケーションの多くはテキストコミュニケーションである。対面コミュニケーションや電話と異なり、テキストコミュニケーションは非言語の情報を伝えるということが難しく、対面コミュニケーションや音声会話でのコミュニケーションに比べて、相手の感情が読み取りにくいといえる。非言語の情報が無く、線の幅などが統一され、素っ気ない印象を与えがちなデジタルフォントにおいて、手書き文字のように書いた時の感情が留められているような表現を、デジタル媒体でもうまく表現する事はできないだろうかと考えた。 本研究では光のゆらぎと色を用いて新たな文字の表現をすることを目的とする。文字に光の点滅を加えた文字で印象評価調査を行い、色の要素を加えて書き手の視点と読み手の視点の両方からの感情表現方法について調査を行う。光の点滅速度と感情との関係性を明らかにし、文字自身が感情情報を持つようなテキストの表現方法を提案する。
著者
小室 友理奈 岡崎 あかね 髙野 ルリ子 大久保 紀子 桐谷 佳惠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.93, 2014 (Released:2014-07-04)

メーキャップにおいて肌色と同系色のメーキャップの色が肌なじみがよいとされる。しかし肌色と反対色のメイクをすると肌色がきれいに見える場合がある。本研究の目的は,メーキャップを施すことによって女性の肌色が元の肌色とどのように違った色味に見えるのか標準刺激と比較刺激の肌色を比較してもらうことで検証することである。実験刺激は標準刺激の顔刺激21個,比較刺激は楕円27個を用いた。またアイシャドウを施していない状態の標準刺激の肌色の見えを測定した。実験は経時比較実験と同時比較実験を行い,実験参加者16人が選択した比較刺激をa*,b*,Lvで表しアイシャドウを施していない標準刺激から差分を求めた。経時比較実験において,黄肌かつアイシャドウ橙のとき,対比現象が起きていた。同時比較実験において,黄肌かつアイシャドウ紫の時,同化現象が起きていた。新提案のメーキャップで,肌色とアイシャドウの同化現象が特に起きている組み合わせは,経時比較実験の赤肌にアイシャドウ黄,黄肌にアイシャドウ赤だった。これらから経時比較実験と同時比較実験ともにアイシャドウを施すことによって肌色の見えが違ってみえるということがわかった。
著者
宮田 佳美 禹 在勇
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.70, 2015 (Released:2015-06-11)

本研究は大学と地域の関係性と地域振興について明らかにするものである。かつて「信州の学海」と呼ばれた、長野県小県郡塩田町の大学誘致の事例を取り上げる。塩田町は戦後復興のため、地域文化を活かしたコイの養殖を行い、これを町の主産業とすることに成功した。しかしながら、それまで行ってきた農業や観光に対する先行きの見えない不安は大きく、移住する住民も多かった。そこで、「東信学園都市構想」の先駆けとして、大学誘致による、農業と観光の再興を目指すこととなる。この大学誘致と地域の関係性について時代背景と共に研究し、今後の地域振興について考える。
著者
山本 麻子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.E02, 2004 (Released:2005-06-15)

19世紀前半の英国南西部の農村での労働者階級を中心とした衣服の変化に注目した。資料としてT・ハーディとR・ミットフォードの小説の記述を参照した。産業革命の影響によって、英国の紡績は18世紀後半から急速に工業化した。大きな変化の一つに、それまで毛織物や亜麻布が中心だった服地に新しい素材・木綿が加わったことが挙げられる。この新しい素材は少なくとも1820年代には木綿生地が広く普及し、労働着にも白やプリント生地が使われるようになった。特に白生地は清潔感と上品さをあらわすためにエプロンやボンネットなどに好んで使われた。近隣の町には布地の小売店や既製服の店が建ち並び、余裕のある者は豊富な商品から好みの衣類を買い求めることができた。さらに晴着用にロンドンから最新流行の服を注文する者もいた。また農村部の労働者階級でも、既製服や新品に近い衣服を購入できるほど、衣類は手頃な値段になっていた。従来は産業革命の影響が庶民の衣服にまで及ぶのは、ミシンが導入されるなど工業化がより本格化する19世紀後半からと言われていたが、それよりも早期に庶民服をとりまく環境は豊かになりはじめていた。
著者
熊澤 貴之
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.89, 2013 (Released:2013-06-20)

保全地区で定められる保全再生計画の策定と運用方法についてヒアリング調査を行った結果,監視官などの専門家によるアドバスを基に各委員会での協議や市民からの公開意見調査に基づいて,決定していく協議システムが実施されていた.また保全再生計画に示された内容に再生・修復する過程で,劣化の激しい部分については,どのように具現化するか,特に監視官などの専門家との協議の中で決定するプロセスが取り入れられていた.次に,建築ファサードの構成部位について色彩の実測調査を実施した結果,基調色としてはYR系の色相が8割程度使われていることが確認され,木材や土壁,石材,煉瓦などの天然の材料が使われていた.これは,保全再生計画で述べられている内容が着実にデザインとして具現化されており,保全再生計画が高いレベルで実現されていることが確認された.さらに運用においても事業者や市民に十分に浸透していることが考えられた.以上から,保全再生計画を基本としながら,再生や修復を担当する建築家,監視官,自治体が専門知識に基づくアドバイスを市民に行い,周辺環境と調和した街並みに向け,利害関係者が協議するシステムが効果的に運用されていた.
著者
辻合 秀一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.33, 2006 (Released:2006-08-10)

現在バーコードは,情報機器へのデータ入力の際に欠くことのできないものとなっている.しかしながら,その多くは白色と黒色を用いて作成したバーコードを使用しているため,その商品の景観を損なっている場合がある.本研究では,バーコード読み取り機器の特性を用い,目立たなく,かつ的確に読み取ることが可能であるバーコードの作成を試みる.
著者
池田 岳史
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.82, 2005 (Released:2005-07-20)

国内においての伝統的建造物群保存地区2地区における住民意識に関する調査との比較を目的とし,海外での伝統的建造物群保存とそれらの建築物での生活に関する実態調査を行うこととした。調査の対象としたドイツ連邦共和国ローテンブルグ市は,12世紀_から_14世紀に築かれた城壁に囲まれた旧市街地を中心にファッハヴェルクと呼ばれる木組みの家屋が数多く残る街である。今回の調査では,現地での街並み景観調査及びローテンブルグ市建設局長ハンス・ミューレック氏への取材を中心に調査を行った。 調査の結果日本国内での調査と異なる印象を受けた点については,観光客との関係であり,住人の生活環境への侵入やトラブルといった面について,エリアが比較的広いという条件はあるもののほとんど聴かれなかった。観光地としての歴史とそれに関連する文化がローテンブルグ市には根付いているものと考えられる。伝統的な建造物やそれによって構成される街自体を文化と捉え保存し,かつ生活空間としていくことは容易な事ではないが,資金や材料,方法といったハード面での支援に加え,ソフト面での充実,つまり文化を育てるという方向での支援や活動が求められるように思われる。
著者
黄 珊
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.207, 2013 (Released:2013-06-20)

製品機能の差別化が困難になった今日、製品のデザインは重要なツールとして消費者の購買行動に影響を与える。グローバル化にあたって、競争優位を築くため、企業はデザインの重要性を認識しなければならず、効率的にこのツールを使うことが非常に大事であると考えられる。また、文化は消費者の価値観、購買行動、および美意識に影響する。各国の消費者は外界の刺激を解釈するときは自らの文化、価値観に左右されるので、ほかの国の消費者と比べると、製品に対する解釈も違うであろう。グローバル環境で、異文化の消費者のニーズを満たすために、異文化の美意識を理解できることは企業には大きな意味があると考えられる。本研究は、具体的に中国人消費者が思う「日本らしさ」の特徴を明らかにする。こういう特徴を明らかにすることで、デザインの動向を把握することを可能にし、より客観的な提案を行うことができる、中国市場むけの「日本らしさ」もった製品の開発マーケティングのための施策を提案する。
著者
杉松 献理 上田 慎治 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.267, 2012 (Released:2012-06-11)

人は物体の形を見た際に様々な感情を抱きます。たとえば不安感や緊張感が感じられる物体からは同時に魅力が感じられます。本研究では,人が全体重をかけて 乗る自転車を不安感や緊張感の感じられる形にすることで日常では味わえない乗り心地が得られると考え,このことからワイヤーの柔軟性を利用したステアリン グ構造およびサスペンション機能を備えた,乗車可能な強度ある自転車フレームについて提案します。
著者
山本 政幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.B21, 2004 (Released:2005-06-15)

本考察は、ニュー・タイポグラフィ運動の中心的人物とされるヤン・チヒョルト(Jan Tschichold, 1902-74)が試みた実験的書体デザインについて、『タイポグラフィ通信』誌の1930年3月号に掲載された論文「もうひとつの新しい書体?書体の経済性の問題への提案」を参照しながら、その実態を把握することを目的としている。新書体は方眼紙の上に極細のペンで製図され、直線と円による幾何学的でシンプルな構造をもっている。小文字の「シングル・アルファベット」と、これを発音記号ともいえる「フォネティック・アルファベット」に変換した二種類の書体が提案されている。ゴシックではなくローマンのかたちを採用し、二つのアルファベットの混植を禁止、小文字の形態を基本とし、不要な文字を削除、表記できなかった音のために新しい文字を追加、母音の長短を補助記号で補い、ピリオドを肩つきで大きく示す、といった独特の改良を経て完成している。計画案は実用化を果たしていないが、アルファベット体系の根本的な改変をうながすという重要な使命を負い、機能主義の効果を書体デザインの領域で実証しようとする、果敢な試みであった。
著者
遠藤 潤一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.169, 2014 (Released:2014-07-04)

本研究では,適切な視覚的抽象化の範囲を明らかにするために,視覚的抽象化を行った映像を対象に,人物の知覚について調査する。これにより,視覚的抽象化の違いが人物の知覚にどのような影響を与えるのか,という点を明らかにする。被験者に視覚的抽象化を行った映像を呈示し,「プライバシーが保護されていると感じるか」「人の動きを感じるか」という点について評価してもらった。実験結果から,プライバシーを感じる抽象化と人の動きを感じる抽象化に差があることがわかった。