著者
池田 志斈 真鍋 求 小川 秀興 稲葉 裕
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, 1990

全国アンケート調査から得られた単純型およおび劣性栄養障害型表皮水疱症患者の身長・体重の値を統計学的に処理し,全国平均の値と比較した.その結果,1)単純型では女性の身長が全国平均値より有意(1%以下の危険率)に低い.しかし女性の体重,男性の身長・体重には有意の差を認めない.2)劣性栄養障害型では,男女とも身長・体重が全国平均値より有意(1%以下の危険率)に低い,などが示された.本疾患々者の成長発育状態及び栄養状態を把握し,十分な栄養を補給を行うことがなされるならば,本疾患々者の予後が比較的良好となることが期待できるものと思われる.
著者
奥山 泰裕 山田 裕道 池田 志斈
出版者
日本アフェレシス学会
雑誌
日本アフェレシス学会雑誌 (ISSN:13405888)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.139-144, 2008-05-31
被引用文献数
1

Toxic epidermal necrolysis (TEN) is one of the serious drug eruptions with a high mortality rate. TEN also may cause severe consequences such as visual or respiratory disorders. Therefore, immediate diagnosis and initiation of correct therapy are most important. Apheresis therapy including plasma exchange for the treatment of TEN has been approved by the National Health Insurance System in Japan from 2006, due to the accumulation of successfully treated TEN patients with apheresis. In this study, we summarized the TEN patients treated with apheresis in our country, and discussed the timing to recruit the apheresis, as well as the mechanisms of apheresis. These examinations will provide an insight into a more appropriate treatment modality for the patients with TEN.
著者
丹羽 祐介 長谷川 敏男 宿谷 涼子 大熊 慶湖 平澤 祐輔 池田 志斈
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin cancer : official organ of the Japanese Society for Skin Cancer = 皮膚悪性腫瘍研究会機関誌 (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.90-93, 2010-05-15

73歳,女。約半年前より外陰部の腫瘤に気付いた。徐々に腫瘤が増大したので近医を受診し,皮膚生検にて有棘細胞癌の診断を受け,当科に紹介受診した。初診時,左大陰唇に5cm大の広基性隆起性腫瘤が存在した。また,外陰部全体が紅白色の萎縮性局面を呈し,陰核の消失,膣口の狭小化を伴っていた。腫瘍の周囲から2cm離し,肛門周囲と尿道周囲では1cm離して,腫瘍拡大切除術,および分層植皮術を施行した。同時に施行したセンチネルリンパ節生検術にて,両鼠径リンパ節に転移が検出されたため,両側鼠径リンパ節郭清術を併せて施行した。病理組織検査では,腫瘍部は角化傾向の強い異型細胞が増殖しており有棘細胞癌と診断した。腫瘍辺縁部では液状変性や真皮上層の帯状リンパ球浸潤,透明帯がみられたため,臨床所見と併せ硬化性萎縮性苔癬と診断した。外陰部に生じた硬化性萎縮性苔癬は有棘細胞癌の発生母地となり得るので,注意深く経過観察する必要がある。
著者
ニヨンサバ フランソワ 秋山 俊洋 キアツラヤノン チャニサ 梅原 芳恵 スミスリッティ リッティ 池田 志斈 奥村 康 小川 秀興
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

LL-37のタイトジャンクション(TJ)バリア機能に及ぼす影響を調べた結果,LL-37がケラチノサイトの分化マーカーとTJ構成タンパクの発現を増加し,さらに,TJバリア機能を強化した.また,β-デフェンシン-3がLL-37同様にRac1,非定型的PKC,グリコーゲン合成酵素キナーゼ3とPI3Kの経路を介して,TJバリア機能を調整することが分かった.また,LL-37等の抗菌ペプチドがバリア機能の調節だけではなく,痒みの抑制と抗炎症作用にも関与することを確認した.これらの結果は,LL-37等が皮膚の感染防御とアトピー性皮膚炎等の病変形成のメカニズムと治療法に大きなインパクトを与えると考えられる.
著者
菅波 盛雄 廣瀬 伸良 白木 祐美 比留間 政太郎 池田 志斈
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.319-324, 2006-10-31
被引用文献数
11 17

<i>Trichophyton tonsurans</i> 感染症は, 高校, 大学生の柔道・レスリング選手を中心に拡大していることは知られているが, 中学校柔道選手へも感染が拡大しているか否かは不明である. 本研究では, 平成17年度の全国中学校柔道大会において調査を行った. 対象は全参加1,039名のうち, 本調査の検査に同意した男子218名, 女子278名の計496名であった. 調査は質問紙法とhairbrush法を用いた. 結果は, 496例中45例 (9.1%) がhairbrush法陽性で, 1陽性例あたりの陽性ブラシ棘の集落数は1~126集落 (平均36.1±48.9) であった. 陽性例が多いのは, (1) 男子選手, (2) 他校および高校, 近隣の道場などで頻繁に練習を行う者, (3) 友人に体部白癬「有り」との回答をした者, (4) 体部白癬既往「有り」との回答をした者であった. また, (1) 体重の軽いクラスの者, (2) 戦績上位入賞者, (3) 関東と九州地区在住者に陽性例が多い傾向があった. 次にhairbrush法で陽性であった45名に検査結果を通知し, 治療を受けるように指示した. 3ヶ月後のhairbrush法再検査では, ブラシを返却した者は45例中33例 (ブラシは返却してきたが未治療9例を含む) であった. 治療による菌の陰性化率は, ミコナゾールシャンプー治療群では12例中12例 (100%) で, 経口抗真菌剤治療群では12例中6例 (50.0%) であった. 以上より, 中学生柔道選手における<i>T. tonsurans</i> 感染者が確認された (9.1%) ことより, 本症の感染拡大の阻止が急務であると考えられた.