著者
成瀬 厚 杉山 和明 香川 雄一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.567-590, 2007-09-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
85
被引用文献数
3 3 1

近年, 日本の人文地理学において, 言語資料を分析する研究が増加しつつある. 本稿では, そのような論文を方法論的な観点から批判的に検討することを目的とする. まずは日本の地理学における言語資料分析を概観し, 言説概念の英語圏地理学への導入・批判を紹介することを通じて, 地理学研究で言語の分析をすることの意義を探求した. 人文地理学における言語の分析は, 単に新たな研究の素材の発掘や量的分析を補完する質的分析にとどまらない可能性を有している. それは, 社会を根源的に見直す概念となり得る. 現在の研究に不足しているのは, 言語資料の分析方法に関する詳細な検討, 関係する主体のアイデンティティの問題, そしてその言葉の生産過程における政治性への認識, である. 地理学的言説分析とは, 生産された言葉が発散するように地理空間に流通し, それを人々が消費し, 解読することによって, 意味的に収束させていく過程を分析し, また同時に, その意味的収束において発信者と受信者のアイデンティティと記述要素としての地理的要素との関係を論じていくことである.

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

Twitter (3 users, 4 posts, 5 favorites)

こちらの共著論文を一緒に書いています。 https://t.co/DwU0z8DY94 いただいた論文は,鹿沼市史に関わる形で執筆したようですね。昭和期の続編があり,また読みたいと思います。 最近は日本の地方自治体制にも興味があるので,今読むと,学ぶことが多いです。
この悩み。 「人類学者による調査・研究という営為自体が,他者を表象する近代の知の言説をまさに追認し再生産する作業なのであり,その営みは根源的批判の対象とならざるを得なかったのである。」 日本の地理学における言語資料分析の現状と課題(成瀬厚,杉山和明,香川雄一)https://t.co/rWriaUWn02
最終的に変更されてしまった論文タイトル。 元のタイトルは「発散する言葉,収束する――日本の地理学における言説分析の現状と課題」でした。 けっこう気に入ってたんだけどな。 https://t.co/DwU0z8DY94
【地理学評論掲載論文】成瀬 厚・杉山和明・香川雄一 2007.日本の地理学における言語資料分析の現状と課題-地理空間における言葉の発散と収束-,地理学評論80,567-590.http://t.co/uWJjhFfkty

収集済み URL リスト