著者
道場 親信
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.240-258, 2006-09-30 (Released:2010-04-23)
参考文献数
61
被引用文献数
2 3

本稿では, 社会運動史の視点から1960-70年代の「市民運動」「住民運動」がもっている歴史的な意味を再検証するとともに, それが近年の「市民社会」論に対して不可欠の問題提起を含んでいることを明らかにする.その際, 近年の社会運動研究の一部に存在する, 運動史の誤った「段階論」的理解を批判的に取り上げるとともに, 同時代の論議の場に差し戻して検証することで, その “誤り” が, 「公共性」「市民社会」を論じるあり方にもバイアスを与えていることを論じていきたい.その上で, これらの誤解の背後には, 社会運動理解の文脈の歴史的な断絶, 論議の中断が存在することを論じる.1960-70年代の社会運動がもっていた運動主体をめぐる論議の蓄積は, 今日の社会運動, また「市民社会」や「公共性」のあり方をめぐる論議の中で正当な評価を得ているとは必ずしも言い難い.この点につき本稿では, 当時の議論の水準を, とりわけ「住民運動」と呼ばれる運動の展開に即して再確認するとともに, 「地域エゴイズム」というキーワードを手がかりに, 運動文脈の適切な理解を妨げる認識論的な問題が当時と今日を貫いて存在していることを明らかにしたい.

言及状況

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1960-70年 代 「市民運動」「住民運動」の歴史的位置 https://t.co/jyn1nkcML2
当該論文は以下のものですね。 道場親信 「1960-70年代「市民運動」「住民運動」の歴史的位置 中断された「公共性」論議と運動史的文脈をつなぎ直すために」 (2006) https://t.co/oLLBcdNKN3
「「古い」という烙印(らくいん)を押された社会運動は、その時点で有意義な試みをしているにもかかわらず劣位に置かれるだけでなく、社会運動の「新しさ」「古さ」の認識に重きが置かれるために、運動の問題意識が十分に継承されなくなってしまう(「社会学評論」57号)」 https://t.co/GfaqI5isun
講義の準備で読み直した、道場親信 2006「1960-70年代『市民運動』『住民運動』の歴史的位置」『社会学評論』57巻2号、やっぱい良い論文だった。同世代でもあり、ずっと気になっていた研究者だったけれど、お会いする機会のないまま2016年、49歳の若さでお亡くなりに…。 https://t.co/SzLc8aByav
来週の院ゼミの論文。道場親信さんのもの。早世が惜しまれる。「行政側にも市民運動側にも目配りをした調査」という話を学部3年生の時の似田貝香門先生の講義で聴いていたな、などと思い出す。/J-STAGE Articles - 1960-70年代「市民運動」「住民運動」の歴史的位置 https://t.co/W9T5mPZSxz
Towards a Historical Reassessment of 'Citizens' Movements' and 'Residents' Movements' in 1960s-70s Era https://t.co/FoNPVEHIaa (道場親信「1960-70年代「市民運動」「住民運動」の歴史的位置 中断された「公共性」論議と運動史的文脈をつなぎ直すために」『社会学評論』 2006年 57巻 2号)
J-STAGE Articles - 1960-70年代「市民運動」「住民運動」の歴史的位置 https://t.co/pkOnMNUJa3
先日亡くなった和光大 道場先生の社会運動史。「反権力の階級闘争から、非政党・非労組の市民運動へ」「抵抗・告発から、自治・参加の運動へ」など、良くまとまってます。>道場親信「1960-70年代 "市民運動" "住民運動"の歴史的位置」 https://t.co/i6LrMF03Ay
「1960-70年代「市民運動」「住民運動」の歴史的位置 中断された『公共性』論議と運動史的文脈をつなぎ直すために」 道場 親信 https://t.co/INAdk69QLy

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