- 著者
-
永井 将弘
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.104, no.1, pp.75-80, 2015-01-10 (Released:2016-01-10)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
-
2
腸内細菌と脳神経疾患は一見すると関係ないようにみえるが,近年,免疫性神経疾患を中心としてその関連性が明らかになってきている.多発性硬化症の発症機序にTh17細胞の関与が注目されているが,Th17細胞の腸管での誘導のためには腸内細菌叢構成細菌の1つであるセグメント細菌が必要である.Guillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome:GBS)の中で軸索障害型であるacute motor axonal neuropathy(AMAN)の発症機序はカンピロバクター腸炎の原因菌であるCampylobacter jejuni菌体表面のリポオリゴ糖と神経構成成分のガングリオシドの分子相同性が関与している.Parkinson病(Parkinson’s disease:PD)患者においては小腸内細菌異常増殖が症状のオフ時間を延長し,経口抗生物質による治療で症状の改善が認められている.