著者
東 園子 Azuma Sonoko アズマ ソノコ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.27, pp.71-85, 2006-03-31

本稿は、もっぱら男性に対してのみ用いられている「ホモソーシャリティ」という用語を女性にも適用する意義を提示することを通して、「女性のホモソーシャリティ」概念の確立を目指すものである。イヴ・コゾフスキー・セジウィックは、同性間の社会的絆であるホモソーシャル関係を、ホモセクシュアルとの類似と区別という観点から考察することで、近代欧米社会において男性の同性関係を「性的」/「非性的」で区分する認識枠組みを明らかにし、「非性的」な関係から社会を分析する有効性を示した。このような同性間の「非性的」な関係性を表す「ホモソーシャリテイ」概念を女性にも用いることで、女性間の「非性的」な絆が認識困難になっている現状を可視化し、女性や女性が取り結ぶ関係性に強固に結び付けられている「性的なもの」との関係を問い直すことが可能になる。また、フェミニズムにおいては「シスターフッド」や「レズビアン連続体」という女同士の絆を表す用語が存在しているが、「女性のホモソーシャリティ」は、分析慨念としてこの両者とは異なる意義を有している。「女性のホモソーシャリティ」概念は、現在の強制的異性愛を伴う男性中心的な社会を分析する際に有効なだけでなく、そのような社会に枠付けられた女性の関係性のあり方を超えて、新しい女同士の関係を想像する端緒になると考える。

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“女同士の絆の認識論 : 「女性のホモソーシャリティ」概念の可能性”

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東園子「女同士の絆の認識論――「女性のホモソーシャリティ」概念の可能性」、『年報人間科学』、大阪大学大学院人間科学研究科、2006。これはウェブで読めるよ。https://t.co/to4sI5qtSb
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メモ:以前フォロワーの方が「お前らがそれぞれが考えてるホモソーシャルやホモソ的って何だ?から始めないと、同じ言葉で全く違う事柄の話をするということになる…」と酔いながら言ってた。 東園子『女同士の絆の認識論 : 「女性のホモソーシャリティ」概念の可能性』2006 https://t.co/J7GN4a5deJ https://t.co/UpV0nSW2rt
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