- 著者
-
カレイラ松崎 順子
- 出版者
- 公益財団法人 アジア成長研究所
- 雑誌
- 東アジアへの視点 (ISSN:1348091X)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.1, pp.17-25, 2014 (Released:2020-04-03)
- 参考文献数
- 19
韓国は日本以上の学歴社会であり,親の子どもに対する教育熱は高く,教育費の増大が社会問題となっている。英語教育に関しては,1997 年に英語が小学校に導入され,それに伴い早期英語教育が過熱化し,所得による教育格差,即ち所得が多い家庭の児童は英語塾に通い,また,早期留学に行くことができるなど親の所得が子どもたちの学校以外での英語学習への参与,さらには英語力に影響を与えるなどの問題が生じてきた。そのため韓国政府では,所得による格差から生まれる英語力の格差を軽減するために,様々な政策を行っており,近年ではその格
差も徐々に軽減されつつある。
一方,日本においても,近年不景気が続き,子どもの教育に十分投資できない家庭も増えており(小林,2008),教育格差ということが徐々に問題になりつつある。ゆえに教育格差を軽減するために様々な対策を講じている韓国の事例から日本は多くのことを学ぶことができると思われる。よって,本稿では最初に韓国の英語教育を所得による格差の観点から考察し,次に韓国政府や自治体がそのような格差をなくすためにどのような対策を行ってきたのかを論じていく。