著者
山極 和佳 門前 進
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.27-35, 2008

本研究の目的は,主観的経験を指標として,異なる意識状態操作によって形成される催眠の意識状態の特徴を比較検討することであった。主観的経験は,変性意識状態検査(斉藤,1981)を用いて測定した。異なる意識状態操作には,運動暗示,イメージ暗示,リラックス暗示の三つの催眠暗示と,それらとの比較のためのジェイコブソンのリラクセーション簡略版教示(門前,1995a,b)を用いた。また,統制条件として,意識状態操作を行わない覚醒の意識状態を設定した。実験の結果,意識状態間の違いは,変性意識状態検査の総点および七つの下位因子で見いだされた。また,覚醒の意識状態との間に違いがみられた下位因子の組み合わせパターンも,意識状態間では異なることが明らかとなった。これらの主観的経験の違いは,本研究で形成した三つの催眠の意識状態間における質的な違いを示唆するものであった。
著者
岸本 肇
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-32, 2009-03-20

第一次世界大戦中、日本に囚われていたドイツ兵捕虜のスポーツ活動の中でも、特にサッカー交流を取り上げ、その事実・背景と教育遺産について論じた。その内容は、おおむね、下記のごとくである。 1.似島、青野原および名古屋の捕虜収容所にいたドイツ兵のサッカー交流が、史料により確認されている。 2.交流相手は、主として、中学校、師範学校・高等師範学校であった。 3.サッカー試合を含む文化・スポーツ交流は、彼らの解放が近くなった1919 年に集中している。 4.ドイツ兵捕虜収容所があった自治体における、コンサート、スポーツ行事、展覧会の催行により彼らの諸活動を再現するとりくみ、および学校でドイツ兵捕虜の足跡を題材にした教材づくりや授業をする実践は、地域教育や平和教育、国際交流教育の観点から評価できる。
著者
岸本 肇
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、中国の山東半島・青島(チンタオ)における敗戦の結果、第一次世界大戦中に日本に抑留されていたドイツ兵捕虜のスポーツ・レクリエーション活動の全体構造を明らかにしようとした。インターネット時代に相応した迅速かつ確実な史料収集と、それではできない現地調査の両面から研究を推進した。主たる新たな知見は、以下の4点である。(1)ドイツ兵捕虜のスポーツ活動の素地は、青島(チンタオ)時代にすでにあった。(2)ドイツ兵捕虜の日本到着直後、スポーツ施設が不十分だった時期においては、スポーツに代わる体力づくりや「格闘遊戯」が、運動不足解消のために工夫されていた。(2)ドイツ兵捕虜の学校(主として中学校、師範学校)・地域とのスポーツ交流には、俘虜収容所見学やスポーツ行事の際だけでなく、実際に、学校で体操を示範したり、地域のチームとサッカーの試合をしたりもあった。(3)戦争の長期化が確定的になってからの各俘虜収容所における「スポーツ管理の軟化」から見ると、板東俘虜収容所だけが際立った優遇であったかどうかは疑問である。
著者
坂元 昴 大西 文行 大橋 功 小田桐 忍 カレイラ松崎 順子 岸本 肇 光野 公司郎 近藤 俊明 末藤 美津子 出口 保行 藤後 悦子 馬場 伊美子 伴 浩美 福崎 淳子 益井 洋子 坂元 章 堀田 博史 松田 稔樹 磯 友輝子 岩崎 智史 高田 隆 高梨 珪子 坪井 寿子 鈴木 光男 田中 真奈美 竹内 貞一 山村 雅宏 齋藤 長行
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、21世紀に生き、開拓する21世紀型能力を中核に、幼児・児童における未来型能力、幼児・児童における未来型能力の育成、未来型能力を指導できる指導者の育成の3段階にわたる研究を、既存研究の検討整理、独自の調査、研究を踏まえて、社会貢献する成果としてまとめた。初年度から2年度にかけて21世紀型の幼児像を様々な能力領域で明らかにし、2年度から3年度にかけて、各領域で、これらの能力を育成するシステムを設計試行評価し、さらに、能力育成を指導する指導者の教育システムを検討、整理、設計、試行実施した。
著者
藤後 悦子 大橋 恵 井梅 由美子 川田 裕次郎
出版者
東京未来大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、スポーツに関わるいやがらせを「スポーツハラスメント」ととらえ、親要因を含めたスポーツハラスメントモデルを構築し検証した。1年目は、スポーツペアレンティングや親同士の人間関係に関するレビューを行い、続いて質的調査として親インタビューとコーチインタビューを実施した。2年目は、量的調査として親および親を対象としたオンライン調査を実施した。3年目の最終年度は、アメリカ人の地域スポーツのコーチを交え、アメリカの現状と日本の現状の比較を行った。最後に1年目、2年目の調査結果とアメリカでの現状を踏まえスポーツハラスメント防止のためのオンライン教材を開発し社会的還元を行った。
著者
末藤 美津子
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-50, 2009-03-20

アメリカにおいて英語を合衆国の公用語と定めようとする運動は、1980 年代に台頭した。この英語公用語化運動の成果として、いくつかの州では英語公用語化法案が成立し、2008 年現在では、25 の州が英語を公用語と宣言している。それぞれの州における英語公用語化法案は一様ではなく、英語以外の言語への許容度に濃淡がある。本稿では、英語以外の言語を使用することへの制限が最も厳しいと言われた、アリゾナ州の英語公用語化法案に注目し、その法案の成立をめぐる経緯を整理する。そのなかで、英語公用語化運動の推進者の側と、それを阻止しようとする人々の側とで、少数言語者の言語権がどのように考えられていたのかを明らかにする。
著者
近藤 俊明 出口 保行 VALENTI Stavros COX Brian
出版者
東京未来大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

不登校の予兆行動を検証するため、計6校の、小学1~3年、小学4~6年、中学1~3年の3グループを、3年間、継時的に追跡調査した。不登校査定尺度(Kearney, 2002)を用い、(1)嫌な刺激を避ける、(2)社会的評価を避ける、(3)他者の注意を引く、(4)楽しいことが出来る、の4つの機能を持つ行動群を、学年ごとに分析した。4つの行動群のうち、(1)嫌な刺激を避ける、(2)社会的評価を避ける機能を持った行動群が、小学1年から多くの学年において不登校に影響を与えていることが明らかになった。さらに、早期からの、上記行動群に焦点を当てた介入が、不登校の予防に有効であることが考察された。
著者
所澤 潤 中田 敏夫 入澤 充 小川 早百合 古屋 健 江原 裕美 澤野 由紀子 志賀 幹郎 山口 陽弘 田中 麻里 YOFFE LEONID G 服部 美奈 山崎 瑞紀 日暮 トモ子 猪股 剛 小池 亜子 小室 広佐子 近藤 孝弘 三輪 千明 市川 誠 音山 若穂 前田 亜紀子 徳江 基行 モラレス松原 礼子 佐藤 久恵 林 恵 清水 真紀 福田 えり (石司 えり) 白石 淳子
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

ドイツ、イタリア、チェコ、ブラジルは、学齢児の就学義務を設定している。ドイツとイタリアでは子供は社会の責任で国籍に拠らずに最低限の教育を受けさせねばならないという考えがあり、また、4国には、居住する子供を国籍で判別することが技術的に困難であるという共通の事情がある。それに対して、中国、韓国、台湾、タイでは、日本と同様、国家は自国民の子供に対してだけ就学/教育義務を課すという考えが主流である。いずれの国でも教授言語を習得させる特別な教育が設定されているが、並行して母語保持教育を実施する点についてはいずれの国もほとんど制度化が進行していない。
著者
鈴木 光男
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.19-28, 2010-03-20

The purpose of this study was to show the educational significance of children's "performance" activities observed in aschool's focal events, i.e., graduation ceremony and school musical performance. Using ethnographic method, performancequality in children's learning activities in such occasions was observed, and especially self-expressions were recorded for later analysis. Result of the analysis showed that the educational meaning of "performance" in learning activities is to exhibit self-propelling actions and to establish relationship with their communities. Through the on-going process of interaction with others, a child performs actions to bridge himself and the society in continuously reflecting manner. To facilitate children's social-self interactive qualities improvement, performance activities should be highly advocated as a child-based integrated learning/teaching process.