著者
木村 昌紀 磯 友輝子 大坊 郁夫
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.69-78, 2011 (Released:2012-03-24)
参考文献数
33
被引用文献数
1 3

本研究の目的は,関係に対する展望が対人コミュニケーションに及ぼす影響を関係継続の予期と関係継続の意思の観点から検討することである。先行研究では,実験操作による外発的な関係継続の予期に注目していた。そこで本研究では,自発的に生起した関係継続の意思に注目して,これらの関係に対する展望が対人コミュニケーションに及ぼす影響の共通点と相違点を調べた。未知関係20組40名と,友人関係25組50名の大学生が実験に参加した。結果は以下のとおりであった。先行研究と一致して,これからも関係が続いていくと思うときは,コミュニケーションの動機づけが促進されて,対人的志向性の個人差が消失した一方で,その場限りの一時的な関係と思うときは,社会的スキルの高い人ほど,積極的にコミュニケーションに取り組んでいた。また,先行研究では,関係継続の予期があるときは相手を知るために視線量が増加したのに対して,本研究では,関係継続の意思があるときは発話量が増加して,対人コミュニケーションをポジティブに認知していた点が異なっていた。そして,関係継続の意思が対人コミュニケーションに及ぼす影響の程度は,友人関係よりも未知関係において大きかった。
著者
大坊 郁夫 高橋 直樹 磯 友輝子 橋本 幸子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.333, pp.17-22, 2001-09-28
被引用文献数
11

顔は個人のパーソナリティや社会的属性などの社会的、心理的なメッセージを伝える。しかも、顔形態自体ととも顔面表情によるコミュニケーションには表示-解読規則が用いられている。また、社会的な脈絡との関連が大きい社会的スキルは、対人関係を展開するために重要な役割を持つ。社会的スキルは対人的な親密さを視座に入れた対人関係や社会的適応を理解するために有効な総合的な概念である。この報告では、動的な顔面表情の表出に記号化スキル(ACT)や社会的活動性(外向性)、心理的安定性(神経症的傾向)を含むパーソナリティ特性が及ぼす効果を検討する。さらに、この表情実験を通じて、解読者の社会的スキルの役割を捉え、記号化と解読の相互関連性を対照して検討することを目的とした。高ACTは、予想通り、快不快の表現力に優れた送り手であり、次いで解読者のACTも解読力に優れることを示している。快不快評定、表出の適切さの両方で、快感情条件において、SPのACTの効果が大きい。男女を問わず、不快表情は、不安定なパーソナリティと結びつけて認知されやすいものでもあった。今後、顔形態特徴と関連させながら、顔面表情の送受信の対応関係について検討する必要がある。
著者
坂元 昴 大西 文行 大橋 功 小田桐 忍 カレイラ松崎 順子 岸本 肇 光野 公司郎 近藤 俊明 末藤 美津子 出口 保行 藤後 悦子 馬場 伊美子 伴 浩美 福崎 淳子 益井 洋子 坂元 章 堀田 博史 松田 稔樹 磯 友輝子 岩崎 智史 高田 隆 高梨 珪子 坪井 寿子 鈴木 光男 田中 真奈美 竹内 貞一 山村 雅宏 齋藤 長行
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、21世紀に生き、開拓する21世紀型能力を中核に、幼児・児童における未来型能力、幼児・児童における未来型能力の育成、未来型能力を指導できる指導者の育成の3段階にわたる研究を、既存研究の検討整理、独自の調査、研究を踏まえて、社会貢献する成果としてまとめた。初年度から2年度にかけて21世紀型の幼児像を様々な能力領域で明らかにし、2年度から3年度にかけて、各領域で、これらの能力を育成するシステムを設計試行評価し、さらに、能力育成を指導する指導者の教育システムを検討、整理、設計、試行実施した。