- 著者
-
三好 俊三
光本 孝次
- 出版者
- Japan Poultry Science Association
- 雑誌
- 日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.4, pp.287-299, 1994-07-25 (Released:2008-11-12)
- 参考文献数
- 28
- 被引用文献数
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鶏卵を食品加工原材料あるいは食卵として考える場合,その目的に適した卵を多く生産する鶏種の造成が望まれる。一方,鶏卵構成に関する統計的推定値は過去,多く報告され,品種間はもとより系統および鶏種間にも差異が認められる。このことは用途に応じた構成の卵を生産する鶏種を選定することができることを示唆するものである。本研究では市販鶏種(以下,系種と略す)における卵質および卵構成の差異を検討した。また,過去の調査結果と比較し,系種としての特徴を推察した。北海道内で市販されている13系種について,孵化後7ヶ月以上の鶏より,ランダムに約50卵を生産者から直接購入した。24の卵形質の測定は,産卵後3日以内に行った。白色卵系種(8系種)と褐色卵系種(5系種)に分類し,平均卵重の大きい順に,WA~WHおよびBI~BM系種とした。測定および算出した卵形質の平均値間には,いずれも有意差(P<0.05)が認められた。平均卵重は白色卵系種で59.8gから65.6g,褐色卵系種で62.3gから70.2gが推定された。各系種の日齢は異なったが,系種間の卵重の差異に関連するものではなかった。平均卵白重および平均卵殻重は平均卵重と同様な順位にあったが,平均卵黄重は白色卵系種において,平均卵重の中位の系種が大きい平均値を示した。卵黄•卵重比は褐色卵系種で平均卵重の小さい系種が大きく,白色卵系種では平均卵重の中位の系種が大きい平均値を示した。WG系種は卵黄•卵重比が最も低く推定されたが,卵白•卵重比は卵重が小さいにもかかわらず,比較的高い比率を示した。卵白高およびハウユニットは,相対的に卵白量(卵白•卵重比)の高い系種が大きい平均値を示した。卵殻厚および卵殻強度には卵殻色のちがいによる明確な差異が認められなかった。系種内での卵形質間の単純相関係数には系種間による大きな相異が認められなかった。逐次バリマックス法によって,計算された合成変量に対し,分析に用いた変量が大別して5~6つの小グループに別れる構造を示した。卵形質間の関連性において,系種によって若干の相違が認められた。過去の調査結果と比較した場合,全般的に卵重および卵白重の増加が顕著であったが,WE系種では卵黄重が減少し,ハウユニットの著しい増加が認められた。また,WF系種における卵形係数の増加など,系種によって卵質あるいは卵構成に関する改良の方向が異なることが推察された。