著者
上山 恵子 坂本 裕子 三好 正満
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.65, 2003

【目的】我が国では高齢化と共に、女性に加え男性においても骨粗鬆症が増加するといわれている。そこで、男性高齢者を対象に骨強度の2年間の変化と生活状況を調査し、骨強度の変化に影響を与える要因について検討した。【方法】1999年~2002年にN市内に在住する60歳~86歳の健常な男性68名を対象に、超音波測定による踵骨の骨強度(stiffness)および体脂肪率の測定と、身体状況、食生活・運動を含む日常生活習慣、社会活動状況などについて聞き取り調査を行った。解析には同性・同年齢健常者におけるstiffness の平均比較値であるAM値を用いて、初年度値を100とした時の2年後の変化値を求めた。変化値97~103の者を除く前期高齢者(60~74歳)26名、後期高齢者(75~86歳)22名の計48名で生活習慣等との関連について検討した。パラメトリック項目については得点を与え、t検定を行い比較した。【結果】初年度及び2年目の対象者全員のAM値および変化値の平均は、それぞれ94.8±11.0、96.4±18.0および101.7±7.7であった。また、前期及び後期高齢者の各変化率はそれぞれ101.4±6.9、102.1±8.8で両者に有意な差はみられなかったが、体脂肪率、牛乳量および乳・乳製品や卵の摂取頻度などの食事に関する項目で後期高齢者が、一方、速足歩行時間や趣味活動量などの活動量に関する項目で前期高齢者が有意に高かった。また、前・後期高齢者をそれぞれ上・下位群にわけ、生活習慣の差異を比較した結果、後期では両群に明確な違いが得られなかったが、前期では牛乳量および乳製品摂取頻度などの食事に関する項目や、地域活動・友人交際時間および趣味代謝量で上位群の得点が高い傾向にあり、適切な生活習慣による骨強度の維持が示唆された。