著者
米田 守宏 大石 正 村松 加奈子 若村 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

(1)屋外において、被験者を用いて背中を太陽光(紫外線)曝露する場合と衣服により紫外線防護する場合を比較することにより、紫外線の影響について検討した。3時間の紫外線曝露グループでは、NK細胞の活性が低下しIL-6が増加するなど免疫系への影響が認められた。太陽光曝露中では、交感神経を優位にさせ、曝露終了後には体温の放熱がより高くなり、紅斑が有意に高くなった。同様の実験を香港において香港人を被験者として実施し、日本人と香港人の結果を比較検討した。(2)人工的条件による紫外線の影響を知ることを目的として、被験者実験を行った。バイタライトを光源としてUVカットフイルムの有無による効果について免疫機能、自律神経系、主観的評価に関して計測した。本実験では、免疫系や自律神経活動には有意な差は認められなかったが、夜間の睡眠構造の分断化が認められ、生体への影響が伺われた。(3)ヘアレスマウスを用いて紫外線が動物の活動や体温リズム、免疫器官、内分泌器官へ与える影響について検討を行った。光強度が小さいため免疫器官や内分泌器官への影響は明瞭ではなかったが、活動リズムに関しては、紫外線が活動を抑制し、リズムが明瞭になる傾向が認められた。(4)日本(奈良)と香港において屋外の紫外線(UVB,UVA)量、全天日射量の経時的観測を行ない、取得データからその季節変動を調べた。UVB、UVA,全天日射量は1.7〜4,1.1〜1.7,1.2〜2.1倍だけ香港が高かった。これら放射量と緯度、オゾン量等との関係を調べた。(5)UV強度法測定装置を用いて衣料用布の紫外線防護性を評価した。UV透過率に及ぼす測定条件の検討、および、布構造の影響(厚さ、重さ、空隙率)に関する検討を行った。光ファイバ型紫外/可視分光器を用いた装置を試作し、各種繊維素材からなる白色布および染色布の分光透過率および分光反射率を測定した。