著者
岡 孝和 松岡 洋一 小牧 元 三島 徳雄 中川 哲也
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.405-409, 1991-06-01
被引用文献数
2

A case of Akatsuki disease was reported. Akatsuki disease which was named and reported first by Dr. Sakamoto in 1964 is defined as the skin lesions that are induced by neglect of skin hygiene and based upon certain psychological mechanisms. A 58 year-old female diagnosed as Akatsuki disease was referred to our department by a bermatologist. She had not been able to bathe for more than seven years because she felt burning sesations on her face when she took a bath. When she was admitted to our hospital, her cheeks looked red. When she put her hands into hot water, her face became more red and that state lasted over ten hours. However, endocrinological studies could not explain her complaints. As she was in a hypochondriacal state and also suspected to be in a hypersensitive state of the vasomotion of her face, Autogenic Training as well as the image therapy called "Nanso no Hou" were introduced in addition to supportive psychotherapy and congnitive, behavioral modification. As the result, the redness of her cheeks disappeared and she became able to take a hot shower in two months, and was discharged from the hospital.
著者
三島 徳雄 久保田 進也 永田 碩史
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.919-927, 2004-12-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

専門家が高い立場から管理監督者を指導するリスナー研修はニーズに合わなくなりつつある. われわれは, 管理監督者が自ら傾聴の方法を発見する発見的体験学習法を開発した. ここでは背後にある発想を紹介し, 研修効果も報告する. この方法では最初は聴き方を説明しない. グループ練習で, 話し手が長く話すように聴き手が聴き万を工夫することを通して, 聴き方を発見するように促す. その後に参加者の発見を共有する際に指導者が参加者を傾聴する. この方法により某自治体職員を対象にリスナー研修を行い, 研修前, 1ヵ月後, 3ヵ月後に積極的傾聴態度評価尺度で効果を評価した. その結果, 傾聴態度の改善を認め, リスナー研修の有効性が示された. 本稿では, 職場のメンタルヘルス対策の1つとしてわれわれが行ってきた管理監督者を対象とする職場のリスナー研修について, その概要を報告する. これまでわれわれは, 独自に開発した方法を中心としてリスナー研修を進めてきた.
著者
三島 徳雄 久保田 進也
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.27-31, 2001-03-20 (Released:2017-08-04)
参考文献数
17

産業医学では,リスナー教育は一次予防として行われるのが普通である.ここでは積極的傾聴法を中心とする研修という点から,リスナー教育の現状について報告した.傾聴は,Rogersの3条件(共感,無条件の肯定的関心,自己一致)に基づく人間尊重の態度をもって相手の話を聴くことを意味する.このような研修の必要性は幅広く解説されているが,学術的な研究論文は乏しい.このレビューでは,これまでに報告されてきたリスナー教育に関する報告について,一貫して3条件に基づいて行われる狭義のリスナー教育と,Rogersの理論とは異なる技法を組み合わせた広義のリスナー教育に分けて検討した.前者の例としては,池見らによる人間尊重の態度の重要性に関する研究があり,久保田ら,三島ら,および宮城は実際の研修について報告している.後者の例としては,森崎および浜口らは,交流分析等を含む彼等の研修を報告している.最後に,今後はリスナー教育の評価に関する研究が必要であるだけでなく,人材育成の視点から傾聴を考える必要があることも指摘した.
著者
三島 徳雄 藤井 潤 入江 正洋 久保田 進也 永田 頌史
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-9, 1995-03-01
被引用文献数
1

「心とからだの健康づくり(THP)」における健康測定の項目にストレス度チェックの質問項目(THP-SC)が含まれているが,十分に活用されているとは言い難い。そこで,GHQとの比較により有用性を検討した。THP-SCと60項目版GHQを含む質問票を作成し,某製造業事務系従業員261名(全員男性,平均43.7歳)を対象に検討した。GHQはGoldberg法により判定し,THP-SCでは全21項目中ストレス傾向を示す回答数を求め,度数分布の75パーセント点および90パーセント点を含む幾つかの仮の判定基準を設定した。GHQでカットオフ点以上の回答者は60項目版では有効回答243名中48名,12項目版では256名中77名であった。THP-SCの回答数は平均5.67±3.19であった。GHQとの比較では,THP-SCのA項目に含まれる質問で有意の関連を示した項目が多かった。GHQとの比較の結果,THP-SCのA項目単独では4以上,全項目では7以上がストレス状態を示す指標になると考えられた。
著者
岡 孝和 松浦 達雄 三島 徳雄
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-108, 1989-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

いわゆる心臓神経症患者にみられる胸背部過敏点の臨床的意義を検討し, 以下の結論を得た。心臓神経症患者では, 第4, 5, 6胸椎棘突起上, 左第4, 5胸肋関節上に高頻度に過敏点を認めた。同部位は健常人においても出現頻度が高かったが, 患者群では有意に高頻度であった。また, 過敏点の出現頻度と神経症傾向, 顕在性不安との間に有意な相関関係は見出せなかった。胸部過敏点では, 圧迫により過敏性疼痛を示したにすぎなかったが, 背部過敏点では, 圧迫により胸痛, 動悸, 胸部圧迫感等の自覚症状を訴えた者が多く, 背部過敏点を検索することは, 患者の愁訴を理解する上で有用な身体所見であると考えられた。第4, 5, 6胸椎棘突起レベルには厥陰兪, 心兪, 督兪が配されていることと比較すると興味深い結果と考えられた。
著者
岡 孝和 松岡 洋一 三島 徳雄 中川 哲也
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.293-300, 1993-04-01
被引用文献数
6

The effects of conducting Autogenic Training (AT) on autonomic nervous functions were studied by using non-invasive autonomic nervous function tests. We used the coefficient values of the R-R intervals of ECG (CVR-R) as a parameter of the parasympathetic nervous function, while the coefficient values of the wave heights of digital plethysmograph (CVwH100) were used as a parameter of α-adrenergic sympathetic nervous function. In addition, β waves of thenar microvibration (MV) were used as a parameter of parasympathetic and θ waves of MV were used as a parameter of sympathetic nervous function. Forty healthy volunteers underwent AT for 5 minutes in the supine position after a sufficient observation period. Blood pressure (BP), pulse rate (PR), CVR-R. CVWH1OO and MV were all checked before, during and after undergoing AT. Results : (1) The well trained group (n=10) showed a significant increase of α2 waves of MV both during and after the AT. CVR-R and CVWH100 did not show any significant change. The beginners group (n=30) showed a significant decrease of θ waves of MV but CVR-R and CVWH1OO did not show any significant change. BP and PR did not show any alteration in either group. (2) The group whose trait anxiety (STAI) increased (n=6) did not show any significant change in CVR-R, CVWH100,MV, BP and PR. On the other hand, the group whose trait anxiety (STAI) decreased (n=34) showed a tendency of increased CVR-R as well as CVWH1OO by practicing AT, a significant increase in α2 waves and a tendency of decrease in θ waves of MV after undergoing AT although no significant change was observed in either BP or PR. (3) A dominant waxing and waning phenomenon of the digital plethysmograph was also observed during the sessions in those whose skin temperature was increased by AT. These results indicate that sympathetic nervous function as well as parasympathetic nervous function are both activated and the vasomotion of peripheral vessels is also activated when AT can be successfully administered.
著者
清水 隆司 森田 汐生 竹沢 昌子 赤築 綾子 久保田 進也 三島 徳雄 永田 頌史
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-42, 2003-03-01
被引用文献数
3

職場のメンタルヘルスと自己表現スキルの関係を調べる準備調査として,自己表現スキルの1つであるアサーティブネスを測定するRathus Assertiveness Schedule (RAS)の日本語版を作成し信頼性・妥当性を検討した.対象は,某製造業A社の従業員364名とアサーティブネストレーニング(AT)を受講した社会人73名とした.方法は,AT受講者が受講前に回答した結果とATのトレーナーが客観的に受講者の自己表現を評価した結果を比較し,日本語版RASの妥当性を検討した.また,A社従業員の回答結果から内部一貫信頼性を調べた.次に,同意を得られたA社社員98名に対して再度調査を行い,再テストの信頼性を調査した.調査結果から,30項目全てよりも3-7,9,13,19,20,25,28を除く19項日の日本語版RASの方が,トレーナーの客観的評価と相関が高く,妥当性が高いと思われた.また,クロンバッハのα係数や,初回と2回目の結果の相関も共に0.80以上と高く,30項日及び19項日の日本語版RASの内部一貫信頼性と再テストの信頼性は高いと考えられた.今回の結果から,日本人のアサーティブネスを測定するには30項日全てよりも19項日の日本語版RASの方が好ましいと考えられた.