- 著者
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入江 正洋
- 出版者
- 一般社団法人日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.5, pp.385-396, 2011-05-01
近年,組織の再編や人員削減,職場での人間関係の希薄化などによって,労働者のメンタルヘルスが概して悪化している.厚生労働省の調査によれば,約6割の労働者が仕事でストレスを感じており,職場の人間関係の問題,仕事の質の問題,仕事の量の問題などが主な要因である.約8%の事業場で,メンタルヘルスに関する理由で連続1ヵ月以上休業あるいは退職した労働者がみられる.職業性ストレスは,メンタルヘルスだけでなく,身体や仕事のパフォーマンスなどにも悪影響を及ぼし,過労死などの脳・心臓疾患や精神障害の労働災害・民事訴訟の事例が増加している.なかでも,職場でのいじめや嫌がらせが注目される.このような問題は,心療内科医や精神科医にとって重要であり,健康障害などを未然に防ぐためには,心身両面から早期にストレスを把握することが望まれる.その一手段として,唾液アミラーゼ活性について検討しているが,個人差が大きく,個体差も少なくないことが問題である.