著者
荻原 成騎
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.180, 2006 (Released:2007-11-01)

近年ハーキマー型の透明で両錐の水晶が、アルゼンチン、中国、パキスタン、アフガニスタン、などから我が国へ輸入されている。このうちパキスタン、アフガニスタン産の結晶は炭化水素を包有物として含むことが特徴である。一般に有機物は水晶の成長を阻害する物質である。本研究ではこれら水晶の包有物の有機組成を分析し報告する。また、ハーキマー産水晶の黒色包有物と比較し、高純度水晶の成長と炭化水素包有物との関係について議論する。
著者
中村 俊夫
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.225, 2006 (Released:2007-11-01)

環境中の14Cは、宇宙線により継続的に作られているが、1950年代の後半から60年代の前半にかけての大気圏内核実験により多量に作られた。この核実験起源14Cの濃度の経年変動は、樹木年輪などを用いて詳しく調べられている。また、核実験起源14Cは食物などを介して人体にも含まれている。こうした核実験起源14Cの濃度を犯罪の遺体などについて調べることで法医学的科学捜査に利用する例を紹介する。遺体の毛髪、歯、骨から死亡年の推定法を議論する。
著者
三浦 弥生
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.182, 2006 (Released:2007-11-01)

分化隕石の多くは始源的希ガス成分含有量が少ないため、宇宙線照射起源や核分裂起源希ガス成分を研究するのに適している。講演者がこれまでに多数分析を行ったユークライトやオーブライト隕石(いずれも分化隕石の一種)について、(i) 測定値から宇宙線照射起源や核分裂起源希ガス成分を算出する手法、(ii) 得られた各成分の同位体組成、(iii) 宇宙線照射起源希ガスの生成率(81Kr-Kr法に必要なP81/P83の見積もり法を含む)、(iv) 地球大気起源希ガスの影響、等について検討を行った。これらについて報告する。
著者
大場 武 平林 順一 野上 健治
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.247, 2006 (Released:2007-11-01)

草津白根山の火口湖湯釜の化学組成経年変化からマグマの脱ガスモデルを提案する.1966年から1981年までは,マグマを取り囲むように形成された熱水二次鉱物からなるシーリングゾーンが成長し,マグマから放出されるSやClの流量は漸減しつつあった.1982,83年の噴火の際は,シーリングゾーンが破壊し,一部は熱水に再溶解し,火口湖に供給され,湖水の硫酸イオン濃度が上昇した.1990年には破壊されたシーリングゾーンを貫いて地下水が冷却しつつあるマグマに浸入し,マグマに残存していたClを熱水に抽出した.このためにClに富んだ熱水が発生し,火口湖に供給され,塩化物イオン濃度の上昇を引き起こした.
著者
佐野 有司 高畑 直人 堀口 桂香 植木 貞夫 中島 淳一 長谷川 昭
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.250, 2006 (Released:2007-11-01)

日本列島においても温泉や火山、天然ガスなどを通じて固体地球から揮発性元素が定常的に脱ガスされている。これらの中でマントル起源であることが明らかなヘリウムー3と地殻起源のヘリウムー4の比のマッピングをすることで、日本列島におけるテクトニックな場をヘリウム同位体比がどのように反映するか1980年代から研究されてきた。一方、地震波の高精度データが蓄積し、その解析法に進歩があり、地下の構造を示す地震波トモグラフィーの詳細な研究が行われつつある。本研究では、これまでに蓄積されたヘリウム同位体比のデータをコンパイルし、そのマッピングと地震波トモグラフィーのデータを比較検討し、日本列島における脱ガス過程と地下構造の関係について発表する。