著者
村田 英明 村上 恒二 宗重 博 浜田 宣和 天野 幹三 山本 健之 生田 義和
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本リウマチ・関節外科学会雑誌 (ISSN:02873214)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.273-282, 1993-12-20 (Released:2010-10-07)
参考文献数
13

To study the effectiveness of bone peg graft from the ulna for osteochondritis dissecans of the elbow joint, we analyzed 16 patients with bone peg graft who had various types of preoperative and postoperative findings. All the cases were baseball players except for one volleyball player. The onset ages ranged from 10 to 16 years (mean 11.2), and the periods from then to the operation from 5 to 72 months (mean 2.6 years) . The follow-up periods were from 12 to 29 months (mean 20 months) . Based on Minami's X-P classification, 8 cases were categorized into the stage of fragmentation and 8 into the stage of isolation. Patients were also classified with respect to the osteochondral lesion found during operation; 9 were without abrasion of the lesion or, if with it, without invasion of fibrocartilage into the lesion and were classified into Type 1. The 7 in which the osteochondral lesion was unstable due to the invasion of fibrocartilage were classified as Type 2. The results with regard to postoperative X-P were classified as excellent when the osteochondral lesion was repaired anatomically, as ‘good’ when the lesion was under repair and the osteosclerotic halo of the capitulum had disappeared, and as ‘poor’ when the halo remained. As a result, 7 Type 1 cases (78%) were excellent and 2 cases (22%) good, while one Type 2 case (14%) was excellent, 4 (57%) were good and 2 (29%) were poor. All patients were clinically not symptomatic and were satisfied with the surgery. We emphasized that bone peg graft could be indicated in all cases of osteochondral dissecans of the elbow joint and that there were difficulties in repairing osteochondral lesion in Type 2 (unstable) cases.
著者
山崎 和博 村上 恒二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1555, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】足底感覚は加齢により低下しバランス機能に影響を与える。このため高齢者の転倒との関連も報告されており、臨床上足底感覚の検査は重要である。しかし、足底全体を詳細に調査した報告は少なく健常者の基礎的情報は少ない状況である。そこで、本研究では客観的で糖尿病性神経障害のスクリーニング検査でもその有用性が報告されているSemmes-Weinstein Monofilament(以下SWM)を用い、健常者の足底全体の詳細な触圧覚閾値と加齢による閾値の変化を検討し基礎的情報を得ることを目的とした。【対象】対象は中枢および下肢末梢の神経障害がなく、足部に変形のない健常女性57名であり、若年者15名(23.9±2.2歳)、中高年者18名(49.7±6.7歳)、高齢者24名(80.6±4.7歳)の3群とした。なお、対象者には本研究の内容を説明し、書面にて同意を得た。【方法】測定にはSW知覚テスター(酒井医療株式会社)を用いた。SWMの構成はNo1.65~6.65の20本とした。測定部位は、両足底の第1~5趾、第1~5中足骨頭部、中足部の内側・中部・外側、踵の28ヵ所とした。各部位は3回刺激し、3回とも知覚可能な触圧覚閾値を調べた。SWMにより得られた閾値は、SWM値(Log10 Force)で比較を行った。各部位で左右の比較にはWilcoxon符号付順位和検定、SWM値と年齢との関係にはSpearmanの順位和相関分析、3群の比較にはKruskal-Wallis検定を用いた。有意水準は5%とした。【結果】各群で各部位の左右差は認められなかった。年齢とSWM値の間には全ての部位で正の相関が得られた(p <0.0001,r = 0.617~0.843)。各部位で若年者、中高年者、高齢者の3群に優位な差が認められた(p <0.01)。 SWM値の中央値は、若年者の最低値が3.22(第2~5趾、中足部の内側部・中部)、最高値は4.08(踵)であった。中高年者の最低値が3.61(中足部の内側部・中部)、最高値は4.31(踵)であった。高齢者の最低値は4.17(第2~5趾。中足部の内側部)、最高値は4.74(踵)であった。 各群で足趾は第1趾、中足骨頭部は第1中足骨頭部、中足部は外側部の閾値が高い傾向にあった。【考察】触圧覚閾値が最も高い部位は踵であった。足趾、中足部も含め閾値の高い傾向にある部位は、歩行時などに荷重を受け皮膚が肥厚しやすい部位である。閾値が最も低い部位は中足部の内側であった。この部位は土踏まずといわれ、荷重の影響が少ない。足底の触圧覚閾値には荷重による皮膚の影響が考えられた。また加齢により閾値は上昇し、高齢者では若年者の最も高い閾値のSWMを感知できないほどの著しい感覚機能の低下が示された。本研究では足底感覚についての有用な基礎的情報を示せたと考える。
著者
梅原 拓也 梯 正之 田中 亮 恒松 美輪子 村中 くるみ 井上 純子 村上 恒二
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-10, 2016 (Released:2017-02-20)
参考文献数
32

【目的】本研究は,脳卒中患者のADL 回復の対策として,PT,OT およびST の介入量の増加が有効であるかどうかを検討することである。【方法】入院時FIM 運動項目により患者を低群,中群,高群に分類した。各群のFIM 利得に影響する因子の検討のために,ロジスティック回帰分析を行い,抽出された因子ごとにカットオフ値や診断性能を算出した。【結果】対象者と抽出因子数は,低群297 名・5 因子,中群190 名・2 因子,高群170 名・3 因子であった。3 群に共通の因子は,PT とOT の総単位数であった。各群におけるこのカットオフ値・陽性尤度比・陰性尤度比・事後確率は,低群で747 単位以上・2.26・0.63・71.0% であり,中群で495 単位以上・1.5・0.67・62.0% であり,高群で277 単位以上・1.86・0.45・65.0% であった。【結論】重症の者ほど回復は予測しやすいが,より多くの因子でなければ精度の高い予測は難しい。
著者
金子 文成 車谷 洋 増田 正 村上 恒二 山根 雅仁
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.115-122, 2005-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

本研究の目的は,一連の投球動作中に変化する筋活動の様相について,先行研究にあるように投球相毎に平均化するのではなく,連続的時系列データとして動的変化を示し,肩関節回旋筋腱板を構成する筋における活動動態の差異について検討することであった。大学生野球部投手1名の投球中(球種は直球)に,肩関節回旋筋腱板を構成する4筋から筋電図を記録した。そのうち棘上筋,小円筋,肩甲下筋にはワイヤ電極を使用した。棘下筋には能動型表面電極を用いた。筋電図は振幅および時間軸共に規格化した(nRMS)。各関節運動の加速度はビデオカメラで記録した画像から算出した。反復した投球間における,nRMSのばらつきである変動係数は,筋によって異なる特徴を示した。筋活動動態の連続時系列的変化として,10球分のnRMSを平均した(nRMSavg)曲線の最大値出現時間は,筋毎に異なっていた。投球において動的機能が重要視される肩関節回旋筋腱板において,nRMSavgが時々刻々と入れ代わる様子が明らかになった。筋間の相関性も筋の組み合わせによって異なり,棘下筋と小円筋が強く相関していた。反復した投球における筋活動動態のばらつき,連続時系列的なnRMSavgの変化,そして筋間の相関性の特徴は,個人内での筋活動動態の特徴を検出するための指標として有効である可能性があると考えた。
著者
金子 文成 車谷 洋 増田 正 村上 恒二 山根 雅仁
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.115-122, 2005-06-20
被引用文献数
3

本研究の目的は, 一連の投球動作中に変化する筋活動の様相について, 先行研究にあるように投球相毎に平均化するのではなく, 連続的時系列データとして動的変化を示し, 肩関節回旋筋腱板を構成する筋における活動動態の差異について検討することであった。大学生野球部投手1名の投球中(球種は直球)に, 肩関節回旋筋腱板を構成する4筋から筋電図を記録した。そのうち棘上筋, 小円筋, 肩甲下筋にはワイヤ電極を使用した。棘下筋には能動型表面電極を用いた。筋電図は振幅および時間軸共に規格化した(nRMS)。各関節運動の加速度はビデオカメラで記録した画像から算出した。反復した投球間における, nRMSのばらつきである変動係数は, 筋によって異なる特徴を示した。筋活動動態の連続時系列的変化として, 10球分のnRMSを平均した(nRMSavg)曲線の最大値出現時間は, 筋毎に異なっていた。投球において動的機能が重要視される肩関節回旋筋腱板において, nRMSavgが時々刻々と入れ代わる様子が明らかになった。筋間の相関性も筋の組み合わせによって異なり, 棘下筋と小円筋が強く相関していた。反復した投球における筋活動動態のばらつき, 連続時系列的なnRMSavgの変化, そして筋間の相関性の特徴は, 個人内での筋活動動態の特徴を検出するための指標として有効である可能性があると考えた。
著者
松原 麻子 車谷 洋 村上 恒二 青山 信一
出版者
広島大学保健学出版会
雑誌
広島大学保健学ジャーナル (ISSN:13477323)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.27-34, 2004-03
被引用文献数
1

頸髄損傷者の食事動作に関して,スプーンの使用方法を替えることにより,上肢各関節(肩・肘・前腕・手関節)の角度と運動の範囲がどのように変化するかを明らかにするために,三次元動作解析を行った.対象はC6レベルの頸髄損傷者5人で,「ヨーグルトを食べる」という課題を2種類の自助具(自助具1:母指側使用,自助具2:手掌側使用)を用い実施した.撮影された画像から時間と上肢各関節角度を求め,自助具1,自助具2使用時で比較検討した.結果,自助具1使用時には自助具2使用時と比べ,1回の食事動作におけるすくう動作が占める割合が多い傾向にあった.また,食物をすくう際に肩関節屈曲,肩関節外転の運動が多く必要とされ,一連の動作を通じて前腕が回内方向に移行し,肩関節が屈曲・外転方向に移行することが明らかとなった.以上より,前腕の回外運動が十分可能である場合には手掌側使用の自助具の導入が望ましく,また母指側使用で食事を行う場合には,食物を口へ運ぶ動作だけでなく,すくう動作においても肩関節の運動が必要になることを十分に考慮した上で,自助具の提供やセッティングを行うことが重要であることが示唆された.The purpose of the present experiment was to examine how the upper limb movements (shoulder, elbow, forearm, wrist) of patients with spinal cord injury (C6 level) were affected while using two types (type 1: pronation type, type 2: supination type) of self-helping device. Five subjects were required to eat 5 spoonfuls of yoghurt. We recorded the position of 11 light reflecting markers attached to the subjects' body with three cameras. We divided the eating action into three phases, the scoop phase, reach-to-mouth phase, and reach-to-plate phase. These kinematic landmarks were used to define the dependent variables. We calculated five joint angles (shoulder flexion, shoulder abduction, elbow flexion, forearm supination, wrist extension) with a three-dimensional video-based motion analysis system (APAS System, Ariel Dynamics), and analyzed how they changed at each phase. We compared them while using type 1 and type 2. While using type 1, the scoop phase played a larger part than other phases, and shoulder flexion, shoulder abduction and elbow flexion angles increased, not only in the reach-to-mouth phase but also in the scoop phase, and the supination angle decreased. This result suggests that patients who can supinate their forearm had better use type 2, and also that it is important to consider upper limb movements in the scoop phase when we provide patients with a self-helping device. In this study, however, we focused only on upper limb movements. We also have to analyze head, neck and trunk movements and examine the relationship among upper limb, head, neck and trunk.