- 著者
-
上條 菜美子
湯川 進太郎
- 出版者
- 日本カウンセリング学会
- 雑誌
- カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.1, pp.11-21, 2016 (Released:2018-05-31)
- 参考文献数
- 50
本研究では,ストレスフルな出来事に遭遇したときに生じるネガティブ感情がその後の意味づけ過程に及ぼす影響と,その意味づけ過程がストレスフルな出来事の種類によって異なるかどうかを検討することを目的とし,場面想定法による質問紙調査を実施した。大学生351名を対象に,原因の所在を操作した仮想場面(自己原因場面・他者原因場面・曖昧原因場面)を提示し,仮想場面に対する原因帰属の対象,ネガティブ感情,脅威評価,反すう(侵入的熟考と意図的熟考),意味づけを測定した。多母集団同時分析の結果,出来事の種類によって諸変数間の関連の強さが異なることが示されたが,全出来事に共通して,自己帰属から悔恨,悔恨から意図的熟考,そして意図的熟考から意味づけに,それぞれ正のパスが示された。また,落胆から脅威評価,脅威評価から侵入的熟考にも,全出来事においてそれぞれ正のパスが示された。考察では,本研究で得られた結果に関する基礎的知見,および本研究の限界と今後の展望について議論した。