著者
中尾 淳 武田 晃 塚田 祥文 舟川 晋也 小崎 隆
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.290-297, 2011-08-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
35
被引用文献数
1

^<137>Csの土壌から農作物への移行低減化対策として,K飽和・乾湿処理によって土壌のCs保持能を向上させる手法について検討を行い,以下の結果を得た.(1)スメクタイトが優先して存在する水田土壌(Sm)に対してK飽和と48時間の50℃乾燥を行った結果,Kdが大きく増加し,さらに10回乾湿処理を施すことでKdの値はさらに増加した.(2)アロフェン質黒ボク土(Am)又は純鉱物イライトに対してK飽和・乾湿処理を行った結果,Kdの大きな変化は確認されなかった.(3)K飽和・乾湿処理によりKdが大幅に増加したSm7試料(1D, 10WD)に対してK脱着処理を行った結果,Kdの値は大きく減少したものの,K飽和・乾湿処理を施さなかったSm7試料のKdと比べると高い値が維持された.このように,土壌がスメクタイトを含む場合,K飽和・乾湿処理は土壌の^<137>Cs保持能を高めるために有効であることが分かった.この処理が実際に^<137>Csで汚染された土壌から農作物への^<137>Cs移行低減化に有効かどうかは,K施用方法や乾燥条件を変えて詳しく調べる必要がある.
著者
中尾 淳
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.10_40-10_45, 2012-10-01 (Released:2013-02-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1 2
著者
中尾 淳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.96-109, 2021-12-25 (Released:2021-12-25)
参考文献数
105
被引用文献数
3

Selective adsorption at the frayed edge site (FES) of micaceous minerals is the most important reactions controlling soil-to-plant transfer of radiocesium. In this article, radiocesium adsorption on soils and minerals are reviewed, especially focusing on the wide differences in the amount or effectiveness of the FES between soils. Micaceous mineral contents in parent materials primarily control the FES in soils. Whereas granitoids and shales typically contains biotite and illite, respectively, other rocks may have developed to FES-poor soils unless eolian dusts had been deposited from continental desert areas. Weathering of micaceous minerals into vermiculite increases the FES content. However, large portion of the FES could be inaccessible for radiocesium in soil environments, either through the mineral coverage with humic substances or hydroxy-Al polymers interlayering. Thus, soil formation processes are important to understand how soils obtained the ability to retain radiocesium.
著者
井上 弦 中尾 淳 矢内 純太 佐瀬 隆 小西 茂毅
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.424-432, 2019-12-05 (Released:2019-12-17)
参考文献数
22

茶の覆下栽培(被覆栽培)の発祥時期を明らかにする目的で,京都府宇治市の伝統的茶園,宇治七茗園のうち現存する唯一の茶園(奥の山茶園)において,在来種で古いとされる茶樹直下に試坑を作製し,土壌断面調査とともに,炭素含量,植物珪酸体組成,年代値を調べた.その結果,Bw層(試料no. 8)–AB層(試料no. 7)境界で炭素含量が増加をはじめ,AB層(試料no. 6)–A層境界(試料no. 5)から,土色の黒味が増し,炭素含量も急増した.植物珪酸体組成では,AB層でイネ属起源の植物珪酸体が明瞭に認められるようになり,AB層–A層境界からさらに同植物珪酸体の検出密度が増し,また,自然植生由来の植物珪酸体はAB層からA層への減少が示唆された.加えて,14C年代値は,AB層最上部(no. 6)で較正暦年代(2σ)1341~1396 cal AD(probability=56.9%,中央値AD1369),A層最下部(no. 5)で較正暦年代(2σ)1396~1440 cal AD(probability=90.8%,中央値AD1418)を示した.以上のことから,宇治最古の茶園(奥の山茶園)における覆下栽培は,文献資料が示す16世紀後半からさらに150年は遡り,少なくとも15世紀前半には発生していたと推定された.
著者
山下 芳典 原田 洋明 桑原 正樹 半田 良憲 窪田 真喜子 大河内 友美 宮武 志保 井手 孝 白野 容子 高松 理央 槙田 香子 高濱 みほ 中尾 淳一 道広 博之 峯本 譲
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1339-1345, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高齢者肺がんはサルコぺニア,COPDをはじめさまざまな併存疾患を有する点が課題であり,短い術前の期間をいかに効率的に利用するか,消化管は扱わない手術である利点をいかに活用するかが重要な対策と考えられた.胸腔鏡による内視鏡手術を軸とした術前の包括的リハビリテーションと術後の超早期離床・経口摂取を加えたinterdisciplinary team approachによるA-ERAS法による周術期管理を紹介した.高齢者肺がんに対し,包括的リハビリテーションにより術後合併症が減少し,胸腔鏡手術により術後創部痛の軽減から早期の退院が可能となり,術当日の超早期離床・経口摂取により術後早期のADLが向上した.A-ERAS法は肺がん術後の回復促進の観点から臨床効果と忍容性が確認され,すでに当院では臨床の場で実践されている.
著者
中尾 淳
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.7_40-7_42, 2014-07-01 (Released:2014-11-07)
参考文献数
6