著者
中尾 篤典
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.9-15, 2017-04-03 (Released:2017-05-01)
参考文献数
46
被引用文献数
1 1
著者
中尾 篤典 小谷 穣治
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.59-68, 2013-02-15 (Released:2013-04-05)
参考文献数
45

医学ガス(メディカルガス)とは,医学領域において薬理作用をもち,治療および診断に用いられるガス分子の総称で,酸素や笑気などが代表的である。そのなかでも,生体内で恒常的に産生され,シグナル伝達などの様々な生理活性をもつシグナルガス分子と呼ばれるガス分子があり,その代表として,一酸化窒素(NO),一酸化炭素(CO),硫化水素(H2S),および水素(H2)についての研究が急速に進んでいる。急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome: ARDS)は心原性の肺水腫を除く様々な原因で惹起される急性の低酸素血症であり,致死率が高く,臨床上重篤な病態の一つである。ARDSの病態には,炎症や酸化ストレスなどが複雑に関係するが,これらガス分子は抗炎症作用や抗酸化作用をもち,肺組織を保護する作用を有することがわかってきた。これらのシグナルガス分子は,気管を経由しての吸入という非常に直接的な方法で患者に投与することができる。ARDS患者の多くは機械的人工呼吸を要することなどを考慮すれば,濃度などを安全に管理したうえでの経気道的吸入療法は臨床応用しやすく,今後有効な治療となる可能性がある。本稿では,最近注目されている代表的なシグナルガス分子について最近の知見を解説し,救命救急,集中治療領域において重要なARDSへの応用について述べる。
著者
西村 健 岡本 彩那 藤崎 宣友 白井 邦博 山田 勇 中尾 篤典 小谷 穣治
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.17-23, 2017-01-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
18

心肺停止患者における胸骨圧迫は有効である一方,肋骨骨折や胸骨骨折,臓器障害などをきたしうる侵襲的処置である.我々は肺動脈塞栓症による心肺停止患者2症例を経験した.両例とも胸骨圧迫を含めた心肺蘇生法とveno-arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation(VA-ECMO)を導入した後に撮像した造影CTにて横隔膜下肝損傷を認めた.1例は開腹止血術にて救命できたが,保存的加療を行った1例は出血により死亡した. 抗凝固薬を使用した患者では胸骨圧迫による合併症リスクが高まる.ダメージコントロール手術を含めた積極的加療が有効である可能性が示唆された.
著者
中尾 篤典
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.9-15, 2017
被引用文献数
1
著者
川村 知裕 桃實 徹 舟木 壮一郎 別所 俊哉 新谷 康 井上 匡美 南 正人 中尾 篤典 奥村 明之進
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.117-120, 2015-07-10 (Released:2016-04-01)
参考文献数
8

Because hydrogen provides potent antioxidative eff ects against acute lung injury, we hypothesized that treatment of organ donors with hydrogen during mechanical ventilation would reduce graft injury after lung transplant. Orthotopic left lung transplants were performed using an allogeneic rat model. Donors were exposed to mechanical ventilation with 98% oxygen plus 2% nitrogen or 2% hydrogen for 3 hours prior to harvest and the lung grafts underwent 4 hours of cold storage. The combination of mechanical ventilation and cold ischemia resulted in marked deterioration of gas exchange when the donors were ventilated with nitrogen, which was accompanied by upregulation of proinfl ammatory cytokines. These lung injuries were significantly attenuated by ventilation with hydrogen. Hydrogen induced heme oxygenase (HO)-1 in the grafts prior to implantation, which may contribute to protective eff ects aff orded by hydrogen. Hydrogen inhalation during ventilation prior to organ procurement eff ectively protected lung grafts from ischemia/reperfusion injury.
著者
青景 聡之 平山 隆浩 塚原 紘平 高 寛 清水 一好 中川 晃志 岩崎 達雄 笠原 真悟 内藤 宏道 中尾 篤典
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景・目的】ECMOには抗凝固療法が必須であり、出血や貧血を代償するため輸血が用いられる。輸血需要に関連した患者の臨床的特徴、凝固管理、予後については十分に解明されていない。本研究では輸血需要が増加しやすい患者の特徴を明らかにし、リスクに応じて異なる抗凝固戦略の必要性について考察する。【方法】2013年1月から2018年8月までの成人ECMO症例 67例のうち、96時間以上のECMO使用例、30例を研究対象とした。導入前後に開胸手術、Central ECMOを要した症例は除外した。入院時の臨床的特徴および、導入から7日目まで(離脱・回路交換を行ったものはその時点まで)の輸血量と凝固パラメータを評価した。1日あたりの平均赤血球輸血量の中央値は240 ml/dayであったため、少量輸血群(<240ml/day)13例と多量輸血群(≧240ml/day)17例の2群に分類し、臨床的特徴と凝固パラメータ、予後について解析した。【結果・考察】臨床的特徴・予後を表に示す。多量輸血群ではVA ECMOの頻度が高かった。年齢・性別・APACHE/SOFAスコアは両群間で差はなかった。管理面では、多量輸血群で、血小板値が低く、ヘパリン使用量が少ない反面、APTTは延長していた。ACTとECMO期間に差はなかった。VA ECMOでは、VVよりも出血が生じやすい可能性があり、輸血量に反映された可能性がある。【結語】輸血量が多い群ではVA ECMOの割合が多かった。VAではVVと異なる抗凝固戦略の必要性が示唆された。今後はさらに解析をすすめ、VAとVVの患者背景と管理法の違いを明らかにしていく。