著者
中島 和子 佐野 愛子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.164, pp.17-33, 2016 (Released:2018-08-26)
参考文献数
29

多言語環境で育つ年少者の作文力の分析には,モノリンガル児とは異なり,4大要因(年齢,滞在年数,入国年齢,母語力)を踏まえる必要がある。本研究は,英語圏で収集した日・英バイリンガル作文(「補習校データ(2010)」)336名から選出した小学校6年生から中学校3年生(82名)を滞在年数と入国年齢によって短期・中期・長期の学習者グループに細分化し,各グループの特徴を把握すると同時に,日本語指導のあり方について考察した。分析の対象は,作文の構想を練る段階であるプレライティングと本文の文章構成力である。文章構成力の指標としたのは導入部分とまとめの部分,単文を使用する割合である。またバイリンガル児特有のトランスランゲージングと2言語の関係にも留意した。これら4大要因による学習者の細分化は,国を越えて移動する国内外の年少者一般の言語能力を把握する上で,また実態に即した指導への示唆を得る上で,極めて有用である。
著者
真嶋 潤子 中島 和子 カミンズ ジム Majima Junko Nakajima Kazuko Cummins Jim
出版者
大阪大学世界言語研究センター
雑誌
大阪大学世界言語研究センター論集 (ISSN:18835139)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.185-223, 2011-09-28

「カミンズ教授との出会い-日本の年少者教育と母語の重要性」講演録, 中島, 和子
著者
中島 和子
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-31, 2006

グローバル化とともに幼児期から一つ以上の言語に接触しながら育つ子どもの数は増加の一途を辿っている。このような環境で育つ子どもたちの読みの力はどのように獲得され、その獲得過程はモノリンガルの子どもとどのように異なるのであろうか。またその過程で、それぞれの言語の読みの力が互いにどのように関わり合うのであろうか。さらに、学校教育の中で多言語を育てる場合、テスト・評価は避けられないが、多言語にわたる読書力はどのように評価したらよいのであろうか。特に日本語が一言語であるバイリンガル読書力テストの場合は、どのような特殊な問題が生じるのであろうか。これら一連の課題に対して、New International School(以下NewIS)の取り組みを通して、先行研究を踏まえながら模索してみたい。
著者
中島 和子 西原 鈴子 石井 恵理子 岡崎 眸
出版者
名古屋外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

当該研究期間の研究成果を次の4点にまとめることができる。(1)複数言語環境で育つ言語形成期の幼児・児童・生徒が、どの言語の接触量も不十分な生育・家庭・学校環境に置かれたときに一時的に生じる言語性発達遅滞をセミリンガル現象と言う。幼児の場合は言語全体の発達遅滞、学齢期の場合は認知力を必要とする特定の言語領域(読解力、作文力、抽象語彙など)の発達遅滞につながる。現象面では子どもの生得の機能障害と共通するところが多いため誤解されることが多い。愛知県の外国人児童生徒調査と東京のNew International Schoolの会話力・読解力調査を通して、マジョリティー言語を母語とする子どもよりも、マイノリティー言語を母語とする子どもがセミリンガル現象に陥る可能性が高いことが確認された。(2)主な要因は、親の国を越えての移動による教育の断絶、突如強要される使用言語・学習言語の切り替え、劣悪な言語・文字環境から来る第一言語(母語)の未発達などである。(3)教育的処置としては、日本語と英語、日本語とポルトガル語、日本語と中国語のように言語体系が異なる2言語間でもL1→L2、L2→L1の双方向の転移があることから、幼児の場合は第1言語を強め、文字環境を改善すること。学齢期の場合は、a)心理的セミリンガル現象から自ら抜け出せるように、心のケア(=アイデンティティー育成)をすること、b)最大限の認知活動を促進する学校環境を整えることなどである。(4)国内の外国人児童生徒教育では、セミリンガル状況で入学する小学1年生が急増しており、また学習言語能力の発達遅滞のために中学1,2年で中退する生徒が増えていることに鑑み、セミリンガル現象に対する行政、学校当局、教師、保護者の認識を高める必要がある。本研究で立ち上げた「母語・継承語・バイリンガル教育研究会」がその面で大きな貢献をしてきている。
著者
黒木 康之 麻生 勤 中島 和子 堀 駿郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5-6, pp.163-169, 1975-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11

今回, われわれは, 22~29才の男子被験者18名を対象にして, 一般道路上の通常走行実験を行ない, 連続記録したEEG, ECGおよびEOG等より意識水準低下の出現傾向を調べた. その結果, 18名中6名の被験者に意識低下を表わす8~13Hzのα波の出現をみた. とくに, 昼食後に最も多く出現した精神的疲労, 慣れの現象による運転意欲の低下および日内生体リズム等が関与し, 一時的な精神弛緩状態を作り出すことが起因と考えられる. したがって, 運転者はこうした要因の複合化しないよう心掛ける必要があり, 運転態様の影響も重視してゆくべきだと考えられた.