著者
バトラー後藤 裕子 バトラーゴトウ ユウコ Butler Goto Yuko
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育研究会(MHB研究会)
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.42-58, 2010-03-31

本研究は、国立国語研究所が開発中の小学校・中学校の教科書コーパスを用いて、日本語学習児童生徒、および日本語を母語とする児童生徒が、教科学習を行うにあたり必要だと考えられる学習語のリストの作成を試みたものである。リストの作成は、基本的にCoxhead(2000)によって行われた英語における新学習語リスト(NAWL)の選出手順に従ったが、頻度だけでなく、日本語教育実践者による重要度の判断も加味し、最終的に1230語が選出された。ただ、このリストは現段階では試案としての位置づけである。今後、教育現場で使用してもらうことにより、妥当性や有効性の検討を行い、教科による特殊な意味や使い方などの情報を付加する必要があるのかなども吟味することで、質・量ともに、修正を重ねていく必要がある。
著者
櫻井 千穂
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育研究会(MHB研究会)
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-26, 2008-03-31

外国人児童の学びの場を考える際には、従来からの研究対象である取り出し授業や日本語教室だけではなく、最も重要であるはずの在籍学級のあり方をも視野に入れるべきである。本研究では中島(2007)が示す「ダブル・リミテッド/一時的セミリンガル現象を阻止する学校環境」を基盤とした「在籍学級と取り出し授業の連携モデル」の実践を行い、その有益性を検証した。そして、外国人児童の学びを促す在籍学級の仕組みとして、児童中心且つ探求型の「全員発表」という授業形態が機能することが確認できた。また、その仕組みを十分に活かすには、他の目本人児童たちの言語意識(Hélot&Young2006)への働きかけが重要であることもわかった。外国人児童は、日本人児童たちの助けを得ながら全員発表に参加することで、在籍学級の中での自分の居場所と、母語を使って思考する機会を確保することができ、母語の力を伸ばすことが可能となった。またその在籍学級での活動は児童の日本語のインプットの場としても機能していることが確認できた。
著者
バトラー後藤 裕子 Butler Goto Yuko バトラーゴトウ ユウコ
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育研究会(MHB研究会)
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.42-58, 2010-03-31

本研究は、国立国語研究所が開発中の小学校・中学校の教科書コーパスを用いて、日本語学習児童生徒、および日本語を母語とする児童生徒が、教科学習を行うにあたり必要だと考えられる学習語のリストの作成を試みたものである。リストの作成は、基本的にCoxhead(2000)によって行われた英語における新学習語リスト(NAWL)の選出手順に従ったが、頻度だけでなく、日本語教育実践者による重要度の判断も加味し、最終的に1230語が選出された。ただ、このリストは現段階では試案としての位置づけである。今後、教育現場で使用してもらうことにより、妥当性や有効性の検討を行い、教科による特殊な意味や使い方などの情報を付加する必要があるのかなども吟味することで、質・量ともに、修正を重ねていく必要がある。
著者
奥村 三菜子 オクムラ ミナコ Okumura Minako
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育研究会(MHB研究会)
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.80-95, 2010-03-31

近年、日本語補習授業校幼児部の在籍率は増加の傾向にあるが、就学前児童は在外教育の対象には含まれていない。本稿では、補習校幼児部が在外教育の対象外に位置することから生じている問題を示し、その改善を目指して行った実践とその成果について、主に実践者側の視点から報告している。実践の結果、補習校と家庭とが「意識的」かつ「密に」連携することの意義が再認識できたと同時に、目的を明確にした活動を継続的に実践することが成果を生みだすためには重要であることが示唆された。しかし、補習校において継続的な実践を行うには困難を伴う現状があることも新たな課題として浮かび上がってきた。小学部や中学部へとつなげていけるような幼児部実践のためにも今後の問題改善に期待したい。
著者
中島 和子
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-31, 2006

グローバル化とともに幼児期から一つ以上の言語に接触しながら育つ子どもの数は増加の一途を辿っている。このような環境で育つ子どもたちの読みの力はどのように獲得され、その獲得過程はモノリンガルの子どもとどのように異なるのであろうか。またその過程で、それぞれの言語の読みの力が互いにどのように関わり合うのであろうか。さらに、学校教育の中で多言語を育てる場合、テスト・評価は避けられないが、多言語にわたる読書力はどのように評価したらよいのであろうか。特に日本語が一言語であるバイリンガル読書力テストの場合は、どのような特殊な問題が生じるのであろうか。これら一連の課題に対して、New International School(以下NewIS)の取り組みを通して、先行研究を踏まえながら模索してみたい。
著者
穆 紅
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.4, pp.27-47, 2008

本研究は、二言語環境にいる子どもたちが直面している母語の低下・喪失、及びそれによりもたらされる発達の中断などの問題に注目するものである。日本の公立小中学校に在籍している、中国語を母語とする子どもを対象に、来日年齢、滞日年数及び母語保持努力の中でどれが母語会話力の認知面と最も関係が深いかを検討した。その結果、全体でも、小学生・中学生のカテゴリー別においても、母語保持努力、特に母語による読み書きを行うことが母語会話力の認知面と最も関係が深いことがわかった。このことから、二言語環境に置かれても、母語で読み書きを行うことは母語の認知面の保持・育成を促す可能性が高いことが示された。
著者
倉田 尚美
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究 (ISSN:21868379)
巻号頁・発行日
no.8, pp.57-76, 2012-03-31

オーストラリアでは近年の日本人永住者数の上昇にともない、永住者の子女を対象とした継承日本語教育への関心が高まりつつある。本稿ではメルボルン在住の高校・大学レベルの継承日本語話者11名を対象に行ったアンケート結果を主な資料として、彼らの学習ニーズ分析を行った。その結果、4技能の中で特に読み書きの力を伸ばし、また将来、語学力を生かした専門職につけるよう日本語能力を伸ばす必要性があることが明らかになった。また、どの技能においても、フォーマルな場面にふさわしい言語的知識を含めた年齢相応の日本語をマスターし、自信を待って家庭でもアカデミックな場面でも日本語を使えるようになることが期待されていることがわかった。この様なニーズに応えるべく筆者の所属する大学で行ったコースデザイン、またこのコース一期生のコース内容に対する評価を紹介する。
著者
奥村 三菜子
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.80-95, 2010

近年、日本語補習授業校幼児部の在籍率は増加の傾向にあるが、就学前児童は在外教育の対象には含まれていない。本稿では、補習校幼児部が在外教育の対象外に位置することから生じている問題を示し、その改善を目指して行った実践とその成果について、主に実践者側の視点から報告している。実践の結果、補習校と家庭とが「意識的」かつ「密に」連携することの意義が再認識できたと同時に、目的を明確にした活動を継続的に実践することが成果を生みだすためには重要であることが示唆された。しかし、補習校において継続的な実践を行うには困難を伴う現状があることも新たな課題として浮かび上がってきた。小学部や中学部へとつなげていけるような幼児部実践のためにも今後の問題改善に期待したい。
著者
奥村 三菜子 オクムラ ミナコ Okumura Minako
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育研究会(MHB研究会)
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.80-95, 2010-03-31

近年、日本語補習授業校幼児部の在籍率は増加の傾向にあるが、就学前児童は在外教育の対象には含まれていない。本稿では、補習校幼児部が在外教育の対象外に位置することから生じている問題を示し、その改善を目指して行った実践とその成果について、主に実践者側の視点から報告している。実践の結果、補習校と家庭とが「意識的」かつ「密に」連携することの意義が再認識できたと同時に、目的を明確にした活動を継続的に実践することが成果を生みだすためには重要であることが示唆された。しかし、補習校において継続的な実践を行うには困難を伴う現状があることも新たな課題として浮かび上がってきた。小学部や中学部へとつなげていけるような幼児部実践のためにも今後の問題改善に期待したい。
著者
柳 美佐
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.5, pp.22-41, 2009-03-31

日本語を母語とする在日コリアン3世、4世のうち朝鮮学校で学ぶ児童は、入学して一年後には継承語である朝鮮語のみで学校生活をほぼ支障なく送れるようになっている。家庭では日本語で生活する児童が、どのような指導を通して朝鮮語で授業を理解するバイリンガルになるのかを探るため、小学校1年生の教室で参与観察を行った。観察の結果、入学直後における第二言語教授法では児童の日常に即した教科書を用いて実用的な口語表現を多くインプットしていることがわかった。また母語である日本語の助けを借りて教科内容の理解を優先し、同時に言語形式にも意識を向けるフォーカスオンフォーム(Focus on form)の指導法が用いられていた。そして教師は児童の第二言語レベルを正確に把握し、エラーに対しても適切なフィードバックを与えるなど、あらゆる場面を言語学習の機会として活用していることが確認された。