著者
吉川 貴浩 井出 幸介 窪田 康男 中村 好宏 武部 寛 草桶 秀夫
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.117-127, 2001
参考文献数
18
被引用文献数
1

ゲンジボタルのミトコンドリアND5遺伝子をコードする塩基配列を用い, 地域個体間の遺伝的類縁関係を調べた.108地域から得られた307個体について909bpの塩基配列を調べたところ, 131のハプロタイプが検出された.次に, 塩基配列に基づき, 分子系統樹を作成したところ, これらのハプロタイプは大きく4つのグループに分けられることが明らかとなった.これらのグループのうち, グループIとIIの分布はフォッサマグナ地帯を境界として東日本地域と四国を含む西日本地域に分かれた.本州における両者の分布は, ほぼフォッサマグナを境に, 発光間隔が約2秒間隔の西日本タイプと約4秒間隔の東日本タイプに分かれることと一致した.九州では, 中央構造線を境に, 南側のグループIIIと北側のグループIVに分かれた.
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 米田 千恵 風見 由香利 西成 勝好 中村 好宏 馬場 康維 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.488-502, 2007-11-15 (Released:2007-12-31)
参考文献数
19
被引用文献数
4 8

前報2)の調査データを用いて,性別,年齢層別,調査地点別に消費者のテクスチャー語彙およびその中核となる用語を求めた.また,ロジスティック回帰分析によって用語の認知度に及ぼす人の属性の影響を調べた.その結果,以下の結果を得た.(1)各属性の各区分における消費者のテクスチャー語彙およびその中核となる用語を得た.(2)日本語テクスチャー用語445語について,用語の認知度に及ぼす人の属性の影響が明らかになった.(3)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,男性よりも女性の方が多かった.女性の方がテクスチャーを表現する語彙が豊富であることが示唆された.女性の方が認知度の高い用語には“もそもそ”,“もったり”等がみられた.(4)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,高い年齢層の方が低い年齢層に比べて多かった.時代による影響と世代による影響が考えられた.年齢層の高い方が認知度の高い用語には“かゆ状の”,“ぶりんぶりん”等,一方,年齢層の低い方が認知度の高い用語には“ぷにぷに”,“シュワシュワ”等がみられた.(5)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,首都圏の方が多かった.首都圏の方が認知度の高い用語には,“ぼそぼそ”,“ぽくぽく”等,一方,京阪神地区の方が認知度の高い用語には“にちゃにちゃ”,“もろもろ”等がみられた.これらには方言の影響が推察された.以上の結果は,消費者を対象とした官能評価,質問紙調査および面接調査の設計の際に,また,消費者への情報発信を計画する際に重要な情報を提供する.さらに,食嗜好調査や食文化研究の考察の際にも有用な知見であると考えられる.