著者
早川 文代 馬場 康維
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.447-456, 2002

"まったり" について, 京都・滋賀地方でのアンケート調査および京都市内での専門家による聞き取り調査を行い, 前報の首都圏のデータと比較し, 以下の結果を得た.<BR>(1) "まったり" は, 京都高年層には方言として用いられているが, 京都若年層には, 首都圏若年層の流行語と同様に用いられている.<BR>(2) 方言としての "まったり" は, 食物名による尺度化の精度が悪く, 食物名で "まったり" を説明することは困難であるが, "まったり" している可能性が高い食物は, 栗きんとん, 白味噌などである.<BR>(3) 方言としての "まったり" は, 良いイメージをもつ誉め言葉であり, 感覚用語というよりも, 感性を表現する用語である.まろやかで, 口にゆっくり広がる, 穏やかで, 深みがあり, ほのかに甘い感覚である.<BR>(4) 若年層に用いられている流行語としての "まったり" は, 食物名による尺度化が可能で, カスタードクリームやバタークリームなどの, まろやかで, 口にゆっくりと広がる, ねっとり, こってりした感覚である.
著者
馬場 康維
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第25回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.145, 2009 (Released:2009-12-15)

連続型の変数の観測値を離散化することにより大量データを圧縮することができるが、圧縮により情報が失われる。圧縮したデータによる情報の損失が多変量解析においてどれだけの損失になるか評価し、最適な圧縮について考察する。
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 米田 千恵 風見 由香利 西成 勝好 馬場 康維 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.327-336, 2006-06-15 (Released:2007-06-15)
参考文献数
28
被引用文献数
9 12

日本語テクスチャー用語445語について,消費者を対象とした質問紙による調査を行い,以下の知見を得た.1)認知度が0.75以上の用語を消費者の語彙とし,135語を得た.そのうち,認知度0.90以上のテクスチャー語彙の中核となる用語は66語あった.2)“crisp”,“crunchy”,“juicy”,“soft”,“creamy”に相当する用語は,異種の言語間で共通して消費者パネルによく使用されるテクスチャー表現であることが推察された.
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 米田 千恵 風見 由香利 西成 勝好 中村 好宏 馬場 康維 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.488-502, 2007-11-15 (Released:2007-12-31)
参考文献数
19
被引用文献数
4 8

前報2)の調査データを用いて,性別,年齢層別,調査地点別に消費者のテクスチャー語彙およびその中核となる用語を求めた.また,ロジスティック回帰分析によって用語の認知度に及ぼす人の属性の影響を調べた.その結果,以下の結果を得た.(1)各属性の各区分における消費者のテクスチャー語彙およびその中核となる用語を得た.(2)日本語テクスチャー用語445語について,用語の認知度に及ぼす人の属性の影響が明らかになった.(3)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,男性よりも女性の方が多かった.女性の方がテクスチャーを表現する語彙が豊富であることが示唆された.女性の方が認知度の高い用語には“もそもそ”,“もったり”等がみられた.(4)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,高い年齢層の方が低い年齢層に比べて多かった.時代による影響と世代による影響が考えられた.年齢層の高い方が認知度の高い用語には“かゆ状の”,“ぶりんぶりん”等,一方,年齢層の低い方が認知度の高い用語には“ぷにぷに”,“シュワシュワ”等がみられた.(5)消費者のテクスチャー語彙の用語数も,その中核となる用語数も,首都圏の方が多かった.首都圏の方が認知度の高い用語には,“ぼそぼそ”,“ぽくぽく”等,一方,京阪神地区の方が認知度の高い用語には“にちゃにちゃ”,“もろもろ”等がみられた.これらには方言の影響が推察された.以上の結果は,消費者を対象とした官能評価,質問紙調査および面接調査の設計の際に,また,消費者への情報発信を計画する際に重要な情報を提供する.さらに,食嗜好調査や食文化研究の考察の際にも有用な知見であると考えられる.
著者
早川 文代 馬場 康維
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.437-446, 2002-05-15
被引用文献数
3

"Mattari," which is a term for describing food properties, was clarified by a questionnaire to 496 young people in the metropolitan area around Tokyo. The respondents were first asked when and how they had known the term, and the answers reveal that "mattari" is a vogue-word. Second, the association between "mattari" and 52 kinds of food was studied. The panel was asked how "mattari" an item is: very, a little, not at all, and "I've never eaten." The data were analyzed by quantification method III, and their item category values were obtained. Order was apparent among the data categories, showing that there was a common conception of "mattari." Order was also found among the evaluated items, meaning that scaling of "mattari" was possible, so that the intensity of "mattari" for each kind of food could be quantitatively obtained. Sweets or dairy products such as custard cream, fresh cream, butter cream and carbonara sauce were very "mattari." Third, the panel was asked whether 53 kinds of terms-for describing food properties were close to "mattari" or not. The terms close to "mattari" were "sticky," "mild," "spreading slowly in the mouth" and "rich."