著者
小池 恵介 太田 淳 大島浩太 藤波 香織 郡 信幸 竹本 正志 中條拓伯
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.2740-2751, 2012-12-15

Android端末におけるJava実行の高速化とともに,さまざまなネットワークプロトコルへの対応や,種々のセンサへの柔軟な接続が求められている.そのために,FPGAを活用したReconfigurable Androidを提案し,その有効性,可能性を検証することを目指す.本稿では,Reconfigurable Androidの概念について述べ,FPGAボードにプロセッサカードを搭載したシステムにAndroidを移植し,FPGAによるアクセラレータを実装し,ハードウェア実行可能なJavaのソース部分をFPGA上で実行することにより全体の性能向上を実現する.Dalvik VMが稼働するIntel AtomプロセッサとFPGAとの間において,PCI Expressインタフェースの実装を完了し,DMA転送により150 MByte/secの通信性能を確認した.さらに,FPGAアクセラレータによるAndroidの高速化手法について述べ,実験環境および,プロセッサとFPGA間の通信性能について報告し,アクセラレーションによる性能評価を示す.
著者
野牧央 佐藤真 藤波香織
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.89-90, 2014-03-11

近年普及しているスマートフォンは,従来の携帯電話と違い,画面を見ながらタッチして操作するので,ユーザが画面を注視し続けてしまう.それにより,駅ホーム上で歩きながらスマートフォンを操作することで線路へ転落する事故も発生している.線路への転落の防止策としてホームドアが挙げられるが,コストがかかることや,車両扉位置の相違による技術的課題から,未だ十分に普及していない.本研究ではユーザの線路への転落を防止するため,ホーム上の点字ブロックを用いて転落危険場面の検出を行う.スマートフォンのカメラから点字ブロックを認識し,端末の傾きを用いてユーザが立っている位置を推定し,転落危険場面にあるか判定する.
著者
高橋 リサ 川戸 美輝 藤波 香織
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.161-162, 2020-02-20

イラストレーションのメイキング動画は初学者にとって優れた学習教材である一方で,全過程を視聴するために多くの時間を要し.ユーザが自身の視聴目的に沿った映像を探索することが困難である. そこで,動画要約手法の1つであるキーフレーム要約と動画再生プレーヤーを組み合わせたシステムの設計及び開発を行った.イラストレーションのメイキング動画において発生する緩やかなフレーム情報の変化に対応するために,動画の差分と動画時間をクラスタリングに使用する特徴量として採用した. 本システムを用いて既存手法におけるキーフレーム生成方法との性能比較及びメイキング動画の静的要約に適した特徴量の検証実験を実施した.
著者
高橋 リサ 藤波 香織
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.163-164, 2020-02-20

イラストレーションのメイキング動画は初学者にとって優れた学習教材である一方で,全過程を視聴するために多くの時間を要し.ユーザが自身の視聴目的に沿った映像を探索することが困難である. そこで,ユーザが完成イラストの任意の部分を選択すると選択部分が描画されている時間帯のフレームを動画内から幾つか抜粋し,更にいずれかを選択すると対応する時間まで動画を遷移させる処理を行う情報提示システムの開発を行った.提案システムに関して定量的および定性的な評価実験を実施し,システムの有用性および有効な情報提示手法に関しての調査を行った.
著者
佐伯翼 細川茂樹 岡崎侑哉 藤波香織
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.87-88, 2014-03-11

近年,スマートフォンにユーザが強く依存する傾向がみられ,画面を見続けることで周囲への注意が散漫になる状況が増えている.この結果として,歩きながらスマートフォンを使用する行為が多発し,不注意歩行による死亡事故も増加した.本研究では,交通事故の多発する道路・踏切横断時をスマートフォン使用の危険場面と定義し,位置情報などを利用して端末の持ち主の挙動から周囲の危険状態を推定する手法を提案する.
著者
宗官 祥史 江木 啓訓 藤波 香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1269-1277, 2015-04-15

教育現場におけるICTの活用は進んでいるが,依然として大学初年次における化学実験中の事故は後を絶たない.その原因の1つに,安全学習の場と実践の場の時間的・空間的な分離があると考えられる.実験の最中に安全作業を支援するシステムが有効であると考えられるが,実験教育という背景を考えると作業者を重大な危険から回避させるだけでなく,将来の独立作業のためにシステムへの依存を避ける必要がある.我々は,危険の内容や発生源,対処方法などを学習者が能動的に思考することが必要であると考え,提示された情報の解釈における多義性の活用を提案する.本論文では,警告情報の内容と提示場所に関する多義性が学習者に対して与える効果を,危険回避と技能獲得(学習)の観点から明らかにすることを目的として,ユーザ調査を通じて多義的な情報提示の効果を明らかにした.その結果,危険回避と学習の2つの目的に応じて意味的な多義性と空間的な多義性の組合せを使い分ける必要があることを明らかにした.A chemistry experiment in a school should be conducted safely, yet provide an effective education. In this paper, we explore the impacts of nondirective presentation on on-site safety training for avoiding prospective danger and learning safe experimental operations in chemistry experiment. The nondirective presentation is intended for a student's future independent operation by facilitating active-thinking, which is realized by two aspects of presentation ambiguity: multiple interpretations in the content of a message (semantic ambiguity) and its positioning on a table (spatial ambiguity). Based on a preliminary experiment to define the two types of ambiguous presentations, we conduct comparative experiments with high and low level of ambiguity to see their impact on safe and learning aspects. As a result, we show design suggestions to determine an appropriate level ambiguity for avoiding danger or learning safe way of experiment.
著者
荒川祐実 河内智志 藤波香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.273-275, 2011-03-02

90年代のインターネットや携帯電話のような携帯機器の普及により,たまごっち等の仮想ペットが世間に広まった.近年では,SNSのアプリケーションによって再び仮想ペットが流行しつつある.<br />そこで仮想ペットを単に楽しむだけでなく,何らかの問題解決の手段として利用することを考えた.すなわち,仮想ペットを飼う理由の1つであるユーザの愛情に注目し,それを利用してユーザの困難タスクの完遂を支援することを提案する.困難タスクとは,行動認識のためのデータ収集とラベル付けといったものである.本発表では,ユーザが愛情を持つ仮想ペットを設計し,その利用有無とタスク遂行率の関係についての実験結果を述べる.
著者
河口 信夫 西尾 信彦 角 康之 藤波 香織 寺田 努 井上 創造 川原 圭博 酒造 正樹 大村 廉 羽田 久一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

大規模データベースの構築を実現するための検討を進め,データ収集のための技術チャレンジであるHASC Challengeを継続的に開催した.また,年齢・性別でバランスさせた被験者を含む行動データ及び構造物内移動データ(HASC-IPSC)を公開した.その結果,当初の目標であった500名を超える被験者のコーパス構築が実現できた.センサ信号処理研究を支えるツールとして,行動信号処理ツール HASC Tool, HASC Logger の開発を行った.国際ワークショップHASCA2013をUbicomp2013の併設ワークショップとして開催した.
著者
村田 哲史 加賀爪 翔太 田口 宏明 藤波 香織
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.2, pp.1-8, 2012-07-07

近年のエネルギー問題や環境問題の深刻化の影響は家庭部門にも波及し,一般家庭における省エネルギー化の推進がますます必要とされている.それに伴い,情報提示により省資源行動を促進させることを目的とした研究が盛んに行われている.既存研究では提示情報の情報源として,機器の利用量のみが用いられることが多かったが,本研究では資源消費時の「無駄」に着目し,利用者の無駄行動を情報提示に反映させる手法を提案する.無駄の反映により,利用者は自身のどの行動を改善すべきかを具体的に把握でき,より強い省資源の動機づけになることが期待できる.本稿では,ケーススタディとして,家庭用冷蔵庫における省資源行動促進のための情報提示システム PerFridge を実装し,実際の家庭への導入実験を行った結果について報告する.In recent years, researchers in a HCI community try to achieve resource saving by information presentation. However, an utilization volume of electricity or water is only utilized as information resource in a traditional studies. In this paper, we present a new eco-feedback system design that reflects the behavior of wasteful usage. A PerFridge that persuades a user to conserve energy resource on a refrigerator is implemented. We examine an user study in a standard home and compare effectiveness of information reflecting wasteful usage with traditional simple amount of the resource.
著者
榎戸 健二 三好 健文 小池 恵介 船田 悟史 藤波 香織 中條 拓伯
雑誌
組込みシステムシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.144-153, 2012-10-10

FPGA 搭載の Android 機器の一形態として Reconfigurable Android を開発し, Android における FPGA によるアプリケーションの高速化を試みている.そのハードウェア・アクセラレーションを設計・開発する上で, Java 言語で記述されたソースコードを直接 VHD Lコードに変換する JavaRock に着目し,その利用可能性の検討を進めている.本研究では JavaRock により合成された回路をさまざまな視点で分析することによって JavaRock の持つ特徴,性能の評価を行い,今後 Reconfigurable Android 上において開発環境として利用する上での課題について検討を行う.
著者
村田 哲史 藤波 香織
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.39, pp.1-8, 2011-02-28

本論文では介護予防の望まれる高齢者やパーキンソン症候群等の歩行障害を有する患者を対象にした,歩行能力の低下防止,歩行障害の緩和・回避を実現させるための小型プロジェクタを情報提示手段としたウェアラブル歩行支援システムを提案する.また,システム実現に際して問題となる歩行時の床上での投影画像の揺れを軽減する方法について検討を行い,投影画像安定化を組み込んだプロトタイプを用いて定量的・定性的な評価実験を行った.定量評価実験の結果,安定化処理を施すことで歩行時の投影画像の位置誤差を48.7%改善することができた.また,定性評価実験ではユーザからの主観評価によって定量評価実験の結果が裏付られた.In this paper, we propose a concept of walking support system for elderly people who need preventive care and patients with gait disorder, for example, parkinson's syndrome. The system presents visual information for gait support to a user by a wearable projector. The information is determined based on a user's walking condition and physical function. We propose a method to reduce vibration that is found in a projection image on the floor while walking. This is because the projected image on the floor is shaking with the walking. Such unstability of projected image not just affects the visibility, but also makes it difficult to present spatial information. An implementation of stabilizer functionarity is presented. As a result of quantitative experiment, we found that an error in the position of a projected image was reduced by 48.7%. The result of a qualitative experiment also supported the improvement.