著者
金井 遵 須崎 有康 八木 豊志樹 並木 美太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.1383-1393, 2007-06-01
被引用文献数
4

本論文では,モバイル環境をはじめとしたCPUやメモリなどのハードウェア資源が制限された環境でHTTP-FUSE-KNOPPIXによる実用的なシンクライアント環境を実現するために,高速化・負荷分散機構,耐故障性機構を実装したモバイルシンクライアントサーバHTTP-FUSE-KNOPPIX-BOXを開発した.キャッシュサーバはネットワークの遅延やバンド幅を隠ぺいし,高速化するとともに,ブロックファイルを取得する一次サーバがWAN側にあり,インターネット接続がない環境でもOSを起動可能にする。また,ソフトウェアRAIDを導入し,ファイル入出力性能自体を向上させるとともに,RAIDの冗長性により耐故障性を向上させた.更に,DNSであるDNS-Balanceを改良し,サーバの負荷分散を行うとともに,サーバの障害を自動的に検知し,動的にクライアントの接続サーバを切り換えることで耐故障性を確保した.評価により,CPUやメモリなどのハードウェア制限があるサーバ環境においても,従来のシンクライアントと遜色ない性能を実現でき,障害発生時にもユーザが意識することなくシステムの正常動作が継続できることを確認した.
著者
金井 遵 須崎有康 八木 豊志樹 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.44, pp.45-52, 2006-05-13
参考文献数
10
被引用文献数
2

従来のHTTP-FUSE-KNOPPIX では、起動のたびにレイテンシの長いインターネット上のサーバからブロックデバイスのデータを取得するため、OS 起動に長い時間を要した。そこで、本研究では、容易に持ち運びができるモバイル環境をルータ化し、データをHTTP プロキシにキャッシュすることでHTTP-FUSE-KNOPPIX を高速化、およびどこでも起動できるようにし、評価を行った。さらに、NFS ベースでは困難だったシンクライアントサーバの拡張もHTTP-FUSE-KNOPPIX ではキャッシュサーバを追加し、動的に分散することで、複数起動にも強い設計とした。評価より、実際に従来のHTTP-FUSE-KNOPPIX や、CD 起動のKNOPPIX、NFS によるネットワークブートよりも高速に起動できることが確認された。Traditional HTTP-FUSE-KNOPPIX loads system files through high latency internet server every time, therefore it takes long time for bootstrapping. In this research, we improved and evaluated performance of HTTP-FUSE-KNOPPIX by caching data on HTTP proxy at a mobile router. Furthermore we designed the router which can boot up KNOPPIX everywhere. Moreover, we implemented plural cache servers and a dynamic cache server balancer to boot up many client machines. From evaluations, the bootstrapping time of HTTP-FUSEKNOPPIX with cache servers becomes faster than that of bootstrapping with a CD, NFS mount and traditional HTTP-FUSE-KNOPPIX.
著者
関 直臣 ジャオ レイ 小島 悠 池淵 大輔 長谷川 揚平 大久保 直昭 武田 晴大 香嶋 俊裕 白井 利明 宇佐美 公良 砂田 徹也 金井 遵 並木 美太郎 近藤 正章 中村 宏 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.920-930, 2010-06-01

本論文はパワーゲーティング(PG)を使った演算器レベルでの動的スリープ制御による消費電力削減機構の実装及び評価を行う.MIPS R3000のALUからシフタ,乗算器,除算器を分離し,それぞれを動的にパワーゲーティングを行う.省電力化を施したR3000コアと16kByteのL1キャッシュ,TLBを合わせて,ASPLA 90nmで試作チップGeyser-0としてテープアウトした.Geyser-0の性能,電力と面積をポストレイアウト後のシミュレーションにより評価した.この結果,4種類のアプリケーションについてリーク電力は平均約47%減らすことができた.一方,スリープ制御の実装によって生じたエリアオーバヘッドは41%であった.
著者
金井 遵 須崎有康 八木 豊志樹 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.36, pp.155-162, 2007-04-06
被引用文献数
1

本稿では、DNS と P2P 技術を用いた、モバイル可能な小型組込み機器と HTTP-FUSE-KNOPPIX による、負荷分散機構や耐故障性を有するスケーラブルなシンクライアントシステムについて述べる。本研究では、キャッシュサーバ、RAID、DNS などを用いた負荷分散、耐故障性向上技術に加えて、DNS に P2P 技術を組み合わせることにより、小型機器によるサーバにおいても高いスケーラビリティを実現した。特に P2P 技術により、シンクライアントシステムでボトルネックとなりやすいクライアントの同時起動時の性能低下を、クライアントが同時に起動用サーバとなることで緩和した。また、多くのハイブリッド P2P システムでボトルネックとなる検索システムを軽量化することで、組込み機器など資源が制約されるサーバ環境においても十分なスケーラビリティを実現した。これらの機能を実装した組込みシンクライアントサーバ HTTP-FUSE-KNOPPIX-BOX において、クライアント8台で起動時間98秒と多数のサーバを利用したシンクライアントシステムと遜色ない性能を実現した。This paper describes an implementation of mobile thin-client system with scalability and fault-tolerance by DNS and P2P technology for embedded hardwares and HTTP-FUSE-KNOPPIX. DNS-Balance with P2P technology realizes more scalability by embedded servers in addition to cache servers, RAID, and DNS. The P2P system improves bootstrap performance by clients which distribute block files for other clients when many clients boot simultaneously. The mobile embedded servers with limited hardware resources have sufficient scalability by lightweight search system. Evaluation of embedded HTTP-FUSE-KNOPPIX-BOX with the P2P system has shown that it boots up 8 clients in 98 seconds and its performance holds up to existing thin clients.
著者
金井 遵 森 拓郎 荒木 健志 田邊 昇 中條拓伯 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.68, pp.59-62, 2006-06-26
被引用文献数
1

本論文では,分散ファイルシステム(DFS)およびメモリマップトファイル機能を利用してOSに手を加えることなく分散共有メモリ(DSM)を実装し,カーネルに手を加えることができないコモディティOS上でクラスタシステムを実現する方法を提案する.大容量バッファを持った高速なネットワークインターフェースであるDIMMnetF2を用い,Windows上で複数のDIMMnet-2の大容量バッファをまとめて-つのDFSおよび,DSMとして利用するドライバとライブラリを設計,実装した.評価では実際に,DSMを用いていくつかの分散処理実験を行った.特に行列乗算による評価では,2ノードの分散処理において1.99倍の性能向上が予測できた.This paper describes implemention of Distributed Shared Memory(DSM)by using Distributed File System(DFS) and Memory Mapped File without changing souce code of OS in order to implement PC Cluster System for a non-open source commodity OS. We have designed and implemented a DFS device driver and a DSM library by plural high-speed network interface cards named DIMMnet-2 with mass buffer for Microsoft Windows. As a result of matrix multiplication evaluation,up to 1.99 times higher performance has been gained by 2-nodes distributed parallel execution.