著者
中田 博也 加藤 順 井上 泉 玉井 秀幸 井口 幹嵩 前北 隆雄 一瀬 雅夫
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.383-388, 2015 (Released:2015-06-15)
参考文献数
13

潰瘍性大腸炎(UC)においてHelicobacter pylori(H.pylori)感染率が有意に低いとの報告が以前よりある。我々はUCとH.pyloriおよび胃粘膜萎縮との関連を検討しABC分類に分けて比較した。UC群74人と, 年齢・性をマッチさせたControl群148人を検討した。H.pylori感染はControl群27.7%, UC群12.2%とUC群で, 胃粘膜萎縮の陽性率はControl群12.8%, UC群2.7%とUC群で有意に低かった。ABC分類に分け検討するとControl群(A:69.6%, B:17.6%, C:10.1%, D:2.7%), UC群(A:86.5%, B:10.8%, C:1.35%, D:1.35%)と, A群でUC群が, C群でControl群が有意に多く, H.pyloriとUCは, 逆相関することが示された。胃粘膜萎縮進展を介して, おそらく腸内細菌叢を変化させることにより, UCが減少することが推測された。
著者
堀江 正知 中田 博文 上野 しおん 川波 祥子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.671-678, 2016 (Released:2017-01-01)
参考文献数
50

健康診断は、19世紀のアメリカ合衆国で、移民の感染症スクリーニングや保険加入者の資格審査として始まり、その後、健康志向のある会社役員の疾病予防対策として発展した。わが国では各種の法令で規定された結核対策として発展し、現在は、事実上、がんや循環器疾病のリスクに対する保健指導の機会となっている。科学論文のレビューによれば、対象疾病を特定せずに多項目の健康診断を行っても総死亡率が下がる確証はない。受診者に有益となる科学的根拠がなくても、一般市民、医療職、行政担当者は健康診断に大きな期待を寄せている。一方、本来の語意である健康度を診断する検査法は普及していない。労働衛生分野の健康診断は、「職場環境による曝露や影響を監視するサーベイランス」又は「職業性疾病を発見するスクリーニング」の機能を果たすべきである。生体試料を用いるサーベイランスは生物学的モニタリングとも呼ばれ、ILOや学術団体が示すガイドラインに準じて、心身への侵襲性がなるべく低い検査法を選択し、その結果は作業環境測定結果とも合わせて総合的に評価する。労働者に症状や所見を認めた場合は、職場や作業の実態を調査して関連性を評価し、職業性疾病を見逃さないように留意する。なお、雇入れ前に採用候補者を選別する健康診断は実施すべきでない。健康診断の関係者は、その企画、実施、結果報告、情報管理の各工程で、バイオエシックスに配慮して、受診者の自律、利益、安全、公平性を侵害しないように努める。特に、法定項目でない検査を行う際は本人の同意を取得する仕組みを確立する。また、安易に過剰な検査を実施しないように配慮し、ミスや誤診の防止対策を徹底する。適切な質を保障するには、健康診断を専門とする医療職が企画する段階から参画して、最新の科学を適用し、検査の精度を維持し、受診者がその結果を疾病予防や健康増進に役立てるよう促すことが望ましい。
著者
中田 博 大澤 智徳 横山 勝 石田 秀行
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.198-203, 2006-04-30
参考文献数
16
被引用文献数
3

クローン病に肝膿瘍・下大静脈血栓を合併した稀な1例を経験したので報告する。症例は20歳, 男性。5年前より小腸大腸型クローン病と診断されていた。今回, 小腸-小腸間の瘻孔に対する手術目的で入院した。術前CTで右下腹部に腹腔内膿瘍と, 肝S6-7に大きさ5.3cm×6.0cmの肝膿瘍が疑われた。また, 腎下極の下大静脈に造影されない部位を認めた。クローン病に伴う肝膿瘍・下大静脈血栓と診断した。手術を延期し, 抗菌薬投与とヘパリンによる抗凝固療法を行ったところ, 4週間後のCTで肝膿瘍・腹腔内膿瘍は著明に縮小し, 下大静脈血栓も消失した。開腹所見では, 回腸末端と口側回腸との間に瘻孔形成を認めるのみで, 肝膿瘍や腹腔内膿瘍は確認できなかった。回盲部切除を施行した。術後6カ月経過した現在, 腹痛・発熱の症状を認めていない。
著者
海崎 純男 赤井 智子 城谷 大 中田 博保 佐藤 久子 山崎 鈴子 中田 博保 松村 竹子 梶原 篤 城谷 大 岩松 雅子 加藤 由美子 戸屋 圭子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

マグネシウムケイ酸塩セピオライト(SEP)のMgイオンをランタニドイオンとイオン交換して光増感配位子を配位して得た研究目的の視認性発光についてはSEPとベンゾフェノン系とポリピリジン及びβ-ジケトン配位子を含むSEP:Euが実用化レベルの紫外光励起の蛍光灯下視認性赤色発光を示すことがわかった。これらの紫外部と4f-4f発光強度比を視認性発光の基準とすることができた。さらに配位子による光安定性の違いに基づき、高耐光性強発光体の合成に成功した。紫外光照射によって、発光強度が30分で20%近く増大することを見出した。この原因はSEP内トラップ電子による熱ルミネッセンスが関連していると考えられる。