著者
中野 隆 相沢 慎一 桃園 聡 平野 元久
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,べん毛モーターの構造について研究している協同研究者の一人(相沢)の協力により、彼が構造解析によって明らかにしたべん毛モーターの部品の構造を用い,具体的にべん毛モーターの実際の構造に近いモデルを作り上げ、流体古典的な潤滑理論の手法を用いてべん毛モータの軸受けが潤滑可能であるかを調べた.べん毛の運動を推進力に変換する機構を流体力学的に研究するべん毛のスケールを考えると通常の流体力学的計算のみでは不十分で分子の大きさの効果やブラウン運動の影響も考えた運動解析が必要である.今年度は流体力学的計算は研究分担者の二人が(中野,桃園)が担当し、まず古典的な数値解を得た.その結果古典的な理論からは潤滑が困難であるとい結果を得た.べん毛モータの場合にはマクロな系では問題にならなかった分子間力の効果も重要になるが、この効果はさらに潤滑状況を悪化させることもわかった.従ってなんらかの非古典的潤滑機構の存在が示唆された.このような潤滑機構として考察した機構には電荷の離散性の効果,拡散電気2重層の効果,超潤滑の効果などがある.来年度においてここに述べた効果の定量的評価をおこなう.またべん毛モーターの軸受け部分の摩擦に関する理論的な解析を目的としてべん毛モータの表面粗さを特徴づける量を由出するためウェーブレットを用いた.今年度はウェーブレットをべん毛の表面粗さ解析に用いるための数学的枠組みを構成した.流体古典的な潤滑理論の手法を用いてべん毛モータの軸受けが潤滑可能であるかを調べた去年の結果から、べん毛のスケールを考えると通常の流体力学的計算のみでは不十分で分子の大きさの効果やブラウン運動の影響も考えた運動解析が必要であることがわかったので,今年度は拡散電気二重層の効果を取り入れ、この効果によってどの程度の潤滑性能を達成することができるか似ついて研究分担者の二人が(中野,桃園)が担当し、まず古典的な数値解を得た.その結果拡散電気二重層によって分子間力を相殺するために十分な反発力を得ることができるという結果を得た.この他の非古典的潤滑機構の存在として考察した機構には電荷の離散性の効果がある.電荷の離散性の効果も定量的評価をおこなった.バクテリア内部で妥当と思われるイオン濃度において,この離散性の効果もまた、分子間力と拮抗する反発力を得ることができることが分かった.またべん毛モーターの軸受け部分の摩擦に関する理論的な解析を目的としてべん毛モータの表面粗さを特徴づける量を抽出するためウェーブレットを用いた昨年度構成したウェーブレットをべん毛の表面粗さ解析に用いるための数学的枠組みを用い分子の大きさと同じ程度の領域における粗さと形状の分離を試みた.
著者
村上 真一 川村 智浩 二村 文章 打矢 聡 天白 竜一 谷治 行夫 中柴 康隆 摺澤 雄治 川上 幸也 中野 隆 武藤 信彦 繊原 弘三 河野 明啓 織田 英嗣
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.23, pp.49-54, 1996-03-19
被引用文献数
2

A 2/3-inch 760k pixel interline transfer CCD (IT-CCD) image sensor has been developed, which includes twice as many vertical pixel numbers as the conventional 380k pixel CCD image sensor within the same image format, and independent 8 vertical bus lines. These features enable the sensor to be applicable not only to NTSC system (525-line interlace mode), but also to vertical high resolution TV system (525-line progressive mode and 1049-line interlace mode). Furthermore, various application, such as dynamic range expansion mode and smear elimination mode, can be realized for its high driving flexibility.
著者
倉田 征児 植田 茂紀 野田 俊治 山本 隆一 角屋 好邦 中野 隆 田中 良典 馬越 龍太郎
出版者
大同特殊鋼株式会社
雑誌
電気製鋼 (ISSN:00118389)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.239-244, 2008-08-25 (Released:2008-12-26)
参考文献数
7

Advanced 700 ℃ class steam turbines require using Ni-based superalloys instead of conventional ferritic 12Cr steel which is insufficient in creep strength and oxidation resistance above 650 ℃. The superalloys, however, possess quite higher coefficient of thermal expansion (CTE) than the 12Cr steel. So far authors examined the influence of alloying elements on CTE and the high temperature strength of the Ni-based superalloys. Consequently “LTES700R” was developed for steam turbine, which has low CTE and sufficient creep strength. LTES700R is corrected Mo amount to inhibit the Laves phase and added W to reduce CTE instead of Mo within the range that alfa-tungsten does not precipitate. In addition, Al and Ti, which form gamma-prime, were increased to make up for deteriorating of the strength by Laves phase free. The creep rapture strength of LTES700R manufactured by laboratory forging is higher than that of advanced 12Cr steel owing to be strengthened by gamma-prime [Ni3(Al, Ti)] phase precipitates. The CTE of LTES700R is lower than that of Refractaloy 26®, and slightly higher than that of 12Cr steel. The phase of LTES700R is stable until 5000 hr heating from 550 ℃ to 750 ℃.
著者
池田 浩二 中野 隆之 藤井 信 侯 徳興 吉元 誠 倉田 理恵 高峯 和則 菅沼 俊彦
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.355-361, 2012-05-15
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

芋焼酎粕の有用成分に着目し,米麹を添加した独自の香味改善と機能性の増強を目的とした製造方法で得られた芋焼酎粕飲料(新飲料)について,生理作用を検討した。その結果,次のことが明らかになった。<br>(1)新飲料には,クエン酸,アミノ酸がそれぞれ約1%,ミネラルではカリウムが多く,ビタミン類ではナイアシン,パントテン酸,ビオチン,ビタミンB2,葉酸などが比較的多く含まれていた。ポリフェノールは約0.1%,食物繊維は0.3%,GABAも含まれており,様々な成分による相乗効果が期待される栄養豊富な飲料であることが考えられた。<br>(2)動物試験において,新飲料はその嗜好性から飼料摂食量が増えたが,体重増に有意差が見られず新飲料摂食により代謝が高まることが考えられた。なお,臓器重量には有意差はみられなかった。<br>(3)新飲料摂食試験の結果,強い血清中性脂質抑制効果,総コレステロール抑制効果,特に悪玉であるLDLコレステロールを大幅に有意に減少させ,善玉であるHDLコレステロールは減少させない結果が得られ,さらに,血糖値を抑制する効果が明らかになった。<br>以上のように,芋焼酎粕を原料とした新飲料の脂質代謝改善作用,高血糖抑制効果などの生理作用や食品機能を明らかにできたことから,生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの予防や改善効果をもたらすすぐれた飲料であると考えられる。