著者
中間 玲子 杉村 和美 畑野 快 溝上 慎一 都筑 学
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.85.13074, (Released:2014-11-11)
参考文献数
34
被引用文献数
3 13

The Dimensions of Identity Development Scale (DIDS) provides a new method of researching identity development based on the dual-process model pertaining to lifespan development. This study developed and evaluated the Japanese version of this scale (DIDS-J). Two surveys of undergraduate and high school students showed that the DIDS-J had good reliability and validity and that it consisted of 25 items with five factors: commitment making, identity with commitment, exploration in breadth, exploration in depth, and ruminative exploration. Through cluster analysis of the DIDS-J, five identity statuses were found that were not clearly distinguished by previous scales: foreclosure, achievement, searching moratorium, diffused diffusion, and carefree diffusion. Research using the DIDS-J has two advantages: it enables us to examine the process of identity development among adolescents with a wider age range, and to compare results cross-culturally in future research. The trial investigations compared student scores with those from previous research in Western cultures, demonstrating that DIDS-J may lead to further explanations of identity development.
著者
中間 玲子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.374-386, 2013 (Released:2014-05-21)
参考文献数
44
被引用文献数
8 3

本研究は, 恩恵享受的自己感との比較を通して, 自尊感情と心理的健康との関連を再考することを目的とした。恩恵享受的自己感とは自己の周りの環境や関係性に対する肯定的感情から付随的に経験されるであろう自己への肯定的感情である。心理的健康としては幸福感および主体性の側面をとりあげた。大学生306名を対象とした質問紙調査(研究1)において、幸福感・内的統制感は自尊感情・恩恵享受的自己感の両方と有意な関係にあることが示され、自尊感情と共に恩恵享受的自己感も心理的健康に関連する重要な概念であると考えられた。大学生173名を対象としたネット調査(研究2)の結果からもその見解は支持された。また、女性は男性よりも自尊感情の得点が低いが恩恵享受的自己感の得点は男性よりも高いこと(研究1)、相互協調性は自尊感情とは負の関係にあるが恩恵享受的自己感とは正の関係にあること(研究2)から、恩恵享受的自己感は、性役割や文化的価値による抑制を受けない自己への肯定的感情であると考えられた。一方、自律性・人生の目的意識との関連(研究1)から、他者との対立を凌駕するような強い主体性とは自尊感情のみが関連することが明らかとなった。
著者
溝上 慎一 中間 玲子 畑野 快
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.148-157, 2016 (Released:2018-06-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究は,青年期のアイデンティティ形成を,自己の主体的・個性的な形成に焦点を当てた自己形成の観点から検討したものである。個別的水準の自己形成活動が,抽象的・一般的水準にある時間的展望(目標指向性・職業キャリア自律性)を媒介して,アイデンティティ形成(EPSI統合・EPSI混乱)に影響を及ぼすという仮説モデルを検討した。予備調査を経て作成された自己形成活動尺度は,本調査における因子分析の結果,4つの因子(興味関心の拡がり・関係性の拡がり・将来の目標達成・将来への焦り)に分かれることが明らかとなった。これらの自己形成活動を用いて仮説モデルを検討したところ,個別的水準にある自己形成活動は直接アイデンティティ形成に影響を及ぼすのではなく,抽象的・一般的水準にある時間的展望を媒介して,アイデンティティ形成に影響を及ぼしていた。自己形成活動からアイデンティティ形成への直接効果は見られたが,小さな値であり,総じて仮説モデルは検証されたと考えられた。
著者
中間 玲子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.79-97, 2017-03-30 (Released:2017-09-29)
参考文献数
139
被引用文献数
3

2015年7月から2016年6月までの1年間の間に発表されたパーソナリティに関する研究の概観を通して, わが国におけるパーソナリティに関する研究の動向をとらえ, 今後の研究の在り方の展望を論じた。諸研究は特定の行動との関連における個人差についての研究, 適応に関する研究, パーソナリティの構成要素や概念の再評価に関する研究, パーソナリティの形成や発達に関する研究, の4つの枠組みから整理され, それぞれの動向について, その特徴と課題が論じられた。パーソナリティ研究全体の動向としては, 一対の両極とされがちな事象を対極ではなく独立した次元においてとらえる研究が少なからず見られたこと, 尺度作成が多いこと, 一方で, 尺度の精選や自記式以外の測定法の探究なども見られたということ, 個人の生活世界の要因を組み込んだ形で検討する研究が多くなっているということ, の3点が挙げられた。今後の研究の在り方として, 研究の問題設定におけるレベルの多様化, 文化的要因を組み込んだ研究のさらなる発展, プロジェクト型の研究の増加, の3点が展望された。
著者
畑野 快 杉村 和美 中間 玲子 溝上 慎一 都筑 学
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.85.13319, (Released:2014-10-01)
参考文献数
35
被引用文献数
3 7

This study aimed to develop a 12-item version of the Erikson Psychosocial Stage Inventory (the 5th stage) (EPSI (5th)) and examine its reliability and validity. University students (N = 545) participated in this study. Confirmatory factor analyses revealed that a two-factor model provided a better fit than alternative one-factor models. An analysis of Cronbach’s α coefficients and the test-retest method showed acceptable scale reliability. In accordance with our hypotheses, correlation analyses revealed that the EPSI (5th) subscale scores (i.e., synthesis and confusion) were significantly related to measures of self-esteem, life satisfaction with life, and identity confusion. Implications and suggestions for future research are discussed.
著者
中間 玲子 杉村 和美 畑野 快 溝上 慎一 都筑 学
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.549-559, 2014 (Released:2015-02-25)
参考文献数
34
被引用文献数
5 13

The Dimensions of Identity Development Scale (DIDS) provides a new method of researching identity development based on the dual-process model pertaining to lifespan development. This study developed and evaluated the Japanese version of this scale (DIDS-J). Two surveys of undergraduate and high school students showed that the DIDS-J had good reliability and validity and that it consisted of 25 items with five factors: commitment making, identity with commitment, exploration in breadth, exploration in depth, and ruminative exploration. Through cluster analysis of the DIDS-J, five identity statuses were found that were not clearly distinguished by previous scales: foreclosure, achievement, searching moratorium, diffused diffusion, and carefree diffusion. Research using the DIDS-J has two advantages: it enables us to examine the process of identity development among adolescents with a wider age range, and to compare results cross-culturally in future research. The trial investigations compared student scores with those from previous research in Western cultures, demonstrating that DIDS-J may lead to further explanations of identity development.
著者
中間 玲子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.374-386, 2013
被引用文献数
3

本研究は, 恩恵享受的自己感との比較を通して, 自尊感情と心理的健康との関連を再考することを目的とした。恩恵享受的自己感とは自己の周りの環境や関係性に対する肯定的感情から付随的に経験されるであろう自己への肯定的感情である。心理的健康としては幸福感および主体性の側面をとりあげた。大学生306名を対象とした質問紙調査(研究1)において、幸福感・内的統制感は自尊感情・恩恵享受的自己感の両方と有意な関係にあることが示され、自尊感情と共に恩恵享受的自己感も心理的健康に関連する重要な概念であると考えられた。大学生173名を対象としたネット調査(研究2)の結果からもその見解は支持された。また、女性は男性よりも自尊感情の得点が低いが恩恵享受的自己感の得点は男性よりも高いこと(研究1)、相互協調性は自尊感情とは負の関係にあるが恩恵享受的自己感とは正の関係にあること(研究2)から、恩恵享受的自己感は、性役割や文化的価値による抑制を受けない自己への肯定的感情であると考えられた。一方、自律性・人生の目的意識との関連(研究1)から、他者との対立を凌駕するような強い主体性とは自尊感情のみが関連することが明らかとなった。
著者
溝上 慎一 中間 玲子 畑野 快
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.148-157, 2016

<p>本研究は,青年期のアイデンティティ形成を,自己の主体的・個性的な形成に焦点を当てた自己形成の観点から検討したものである。個別的水準の自己形成活動が,抽象的・一般的水準にある時間的展望(目標指向性・職業キャリア自律性)を媒介して,アイデンティティ形成(EPSI統合・EPSI混乱)に影響を及ぼすという仮説モデルを検討した。予備調査を経て作成された自己形成活動尺度は,本調査における因子分析の結果,4つの因子(興味関心の拡がり・関係性の拡がり・将来の目標達成・将来への焦り)に分かれることが明らかとなった。これらの自己形成活動を用いて仮説モデルを検討したところ,個別的水準にある自己形成活動は直接アイデンティティ形成に影響を及ぼすのではなく,抽象的・一般的水準にある時間的展望を媒介して,アイデンティティ形成に影響を及ぼしていた。自己形成活動からアイデンティティ形成への直接効果は見られたが,小さな値であり,総じて仮説モデルは検証されたと考えられた。</p>
著者
畑野 快 杉村 和美 中間 玲子 溝上 慎一 都筑 学
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.482-487, 2014
被引用文献数
7

This study aimed to develop a 12-item version of the Erikson Psychosocial Stage Inventory (the 5th stage) (EPSI (5th)) and examine its reliability and validity. University students (<i>N</i> = 545) participated in this study. Confirmatory factor analyses revealed that a two-factor model provided a better fit than alternative one-factor models. An analysis of Cronbach's α coefficients and the test-retest method showed acceptable scale reliability. In accordance with our hypotheses, correlation analyses revealed that the EPSI (5th) subscale scores (i.e., synthesis and confusion) were significantly related to measures of self-esteem, life satisfaction with life, and identity confusion. Implications and suggestions for future research are discussed.