著者
越智 知子 木下 葉子 太田 千穂 丸山 武紀 新谷 〓 菅野 道廣
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.275-283, 1996-03-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

輸入品及び国産品のビスケット類に含まれているトランス脂肪酸量について調査した。1) 総トランス酸含量には輸入品及び国産品ともかなりの幅があった。主たるトランス酸は輸入品及び国産品ともt-18 : 1 であった。また, 輸入品の1銘柄と国産品の3銘柄から魚油硬化油に由来する少量の t-20 : 1, t-22 : 1が検出された。2) 輸入品の多くの試料はトランス酸を20%以上含み, 国産品の多くの試料のトランス酸は 15% 以下で, トコトリエノールが検出された。このことは輸入品は植物硬化油を多く配合し, 国産品はパーム油と植物硬化油を混合して用いることが示された。3) 各試料の1サービング当たりのトランス酸含有量は輸入品では 0.26~1.78, 国産品では 0, 40~1, 05 と算出された。日本人の1人1日当たりのビスケット摂取量から求めたトランス酸の摂取量は230 (輸入品) ~140 (国産品) と見積もられた。
著者
丸山 武紀
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.259-266, 2013 (Released:2016-02-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

トランス脂肪酸を摂取すると心疾患のリスクが高くなることが明らかになってきた。そのため,米国などではトランス脂肪酸を表示している。デンマークやスイス,オーストリアでは使用を規制している。 我が国では,食品安全委員会が日本人の摂取量はWHOが勧告した量を下回るので,通常の食生活では健康への影響は小さいと発表した。これにより国民のトランス脂肪酸に対する関心は薄らいだ。しかし,すべてが解決したわけではないので,本報告はトランス脂肪酸の現状を解説した。
著者
深澤 透 堤 崇史 東海林 茂 荏原 絋 丸山 武紀 新谷 イサオ
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.247-251, 1999-03-20
参考文献数
11
被引用文献数
18

5種類の有機リン系農薬 (ジクロルボス, パラチオンメチル, マラチオン, クロルピリホス及びクロルフェンビンホス) を大豆油に添加し, 脱ガム, 脱酸, 脱色及び脱臭工程を行った後の精製油中の農薬残留量を測定した。得られた結果は次のとおりである。 (1) 脱ガム処理では原油中の各リン系農薬はわずかに減少した。 (2) 脱酸処理では脱ガム油中のジクロルボスは明らかに減少したが, 他の農薬は約80%以上残存した。 (3) 脱色処理では吸着剤による脱酸油中のジクロルボス及びクロルフェンビンホスの減少率はそれぞれ約70%及び60%であった。一方マラチオン及びクロルピリホスの減少率はそれぞれ約30%及び5%であった。パラチオンメチルは活性炭を含む吸着剤を用いると極端に減少した。 (4) 260℃の脱臭処理により全農薬が完全に除去された。 (5) 原油中のリン系農薬 (ジクロルボス, パラチオンメチル, マラチオン, クロルピリホス及びクロルフェンビンホス) は一般の精製処理により完全に除去されることを確認した。
著者
松崎 寿 太田 千穂 木下 葉子 丸山 武紀 新谷 イサオ 菅野 道廣
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.195-199, 1998-02
被引用文献数
1 5

1996年に購入したポルトガル, ベルギー, オランダ, イギリス, アメリカ及び日本産の家庭用マーガリン類のトランス型脂肪酸含量について分析した。<BR>1) ポルトガル及びベルギー産マーガリンは全銘柄とも3%以下, オランダ産のマーガリン類は1銘柄を除き3%以下であった。イギリス産ではカートン包装品は3~17%, カップ包装品は1~18%で, 19銘柄中8銘柄が3%以下であった。アメリカ産ではカートン包装品が20~34%, 平均で24.8%, カップ包装品は6~23%, 平均14.2%であった。日本産マーガリン類の総トランス酸はマーガリンではハードタイプは15~28%。ソフトタイプでは総トランス酸が3%以下のものは5銘柄で, 20%を超えるものが1銘柄あった。ファットスプレッドでは総トランス酸が5.2~17.3%, 平均12.2%であった。<BR>2) イギリス, アメリカ及び日本産マーガリンの総トランス酸は, 1990~93年調査時とかわりがなかった。<BR>3) トランス酸の少ないマーガリンは飽和脂肪酸が多い傾向を示した。総トランス酸と総飽和脂肪酸量の総和はいずれの国とも類似した値である。いずれの国においても, カートン包装品のトランス酸と飽和脂肪酸の合計は, カップ包装品よりも多かった。この合計値は基本的に5カ国において同様であった。
著者
丸山 武紀
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.107-114, 2008-03-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
19
被引用文献数
4 2

最近, わが国でも食品中のトランス脂肪について, 食品メーカー, 小売業者および消費者はそれぞれの立場から大きな関心を寄せている。日本人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量について2007年6月に食品安全委員会から, 日本人1人, 1日当たりの摂取量は, 積み上げ方式で0.7g (0.3エネルギー%), 生産量からの推計では13g (0.6gエネルギー%) であると報告された。後者の推計値は1999年の生産量からの推計よりも0.26g (0.1エネルギー%) 減少した。この量は西洋諸国およびWHO/FAOおよびFDAの勧'告値よりも低い。これは, 伝統的な日本食は総体的に脂肪量が少ないからである。日本では現時点におけるTFAの摂取量は少ないので重要な問題ではないが, 若い年代層では西洋型の食事を好むので, 注意することが必要である。
著者
村上 千秋 高橋 次郎 新保 國弘 丸山 武紀 新谷 〓
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.423-427,460, 1997-04-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

有機培養及び無機培養におけるクロレラの脂質について調べた。1) 中性脂質量は乾物量当たり2~3g/100gであった。これらには両培養方法ともワックスエステルが 80%, トリアシルグリセリンが20%含まれていた。2) リン脂質は有機培養では8.6g/100g, 無機培養では6.2g/100gであった。これらの組成 (PG, PC, PE, PI) は両培養とも類似していたが, 脂肪酸組成は著しく異なっていた。3) 糖脂質は両培養とも5.7g/100gであった。これらの組成 (MGDG, DGDG, SQDG) 及びその脂肪酸組成は両培養で異なった。4) C16 : 4及び C18 : 4 の両脂肪酸は糖脂質及び PG を除くリン脂質で検出されたが, トリアシルグリセリンには検出されなかった。5) C16 : 1のトランス酸は PG のみ含まれていた。その含有量は有機培養で1.6%, 無機培養で2.3%であった。
著者
深澤 透 堤 崇史 東海林 茂 荏原 紘 丸山 武紀 新谷 〓
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.247-251,261, 1999-03-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4 18

5種類の有機リン系農薬 (ジクロルボス, パラチオンメチル, マラチオン, クロルピリホス及びクロルフェンビンホス) を大豆油に添加し, 脱ガム, 脱酸, 脱色及び脱臭工程を行った後の精製油中の農薬残留量を測定した。得られた結果は次のとおりである。 (1) 脱ガム処理では原油中の各リン系農薬はわずかに減少した。 (2) 脱酸処理では脱ガム油中のジクロルボスは明らかに減少したが, 他の農薬は約80%以上残存した。 (3) 脱色処理では吸着剤による脱酸油中のジクロルボス及びクロルフェンビンホスの減少率はそれぞれ約70%及び60%であった。一方マラチオン及びクロルピリホスの減少率はそれぞれ約30%及び5%であった。パラチオンメチルは活性炭を含む吸着剤を用いると極端に減少した。 (4) 260℃の脱臭処理により全農薬が完全に除去された。 (5) 原油中のリン系農薬 (ジクロルボス, パラチオンメチル, マラチオン, クロルピリホス及びクロルフェンビンホス) は一般の精製処理により完全に除去されることを確認した。
著者
分部 麻希 村上 千秋 丸山 武紀 新谷 〓
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.221-228, 2000-05-20
被引用文献数
3

1)AsA及びDAsA標準水溶液の温度による安定性を比較すると、5〜50℃ではAsAの方が安定性が悪く90℃ではDAsAの方が悪かった。2)AsA及びDAsA標準溶液のpHによる安定性を比較すると、AsAはpH4〜pH7の範囲で安定だが、DAsAはpHが高いほど不安定であった。3)野菜ジュース中のAsA及びDAsAの挙動は野菜の種類によって異なり、保存中にAsAがほとんど酸化されない者、ジュース調製中にすべてDAsAに酸化され、保存中に総VCが著しく低下するものまで様々だった。4)ジュース調製後の加熱の影響は、加熱により総VCは低下するが、高温または電子レンジ加熱では、24時間保存後の残存率は未加熱に比べて高かった。5)ピーマンジュースのpHによるAsAの安定性はpH4以下またはpH7以上で良く、pH5.5付近で最も悪かった。6)ピーマンジュースの場合、食酢、レモン汁、牛乳の添加が効果的だった。パセリ、キャベツ、セロリ、にんじん及びレタスの各ジュースではレモン汁が特に効果的であったが、牛乳の添加で、無添加に比べ総VCの残存率が低下した。
著者
松崎 寿 青山 稔 馬場 明 丸山 武紀 新谷 〓 柳田 晃良 菅野 道廣
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.625-630, 2000-06-20
被引用文献数
1 2

13カ国で製造された菓子類に含まれるトランス酸含有率を, ガスクロマトグラフィーと銀イオン薄層クロマトグラフィーを併用して分析した。<BR>総トランス酸含有率はアメリカ (27.1%) が最も高く, 次いでカナダ (22.3%), スイス (18.7%) 及びベルギー (15.0%) であった。オランダ, ノルウェー, スウェーデン及びイギリスの総トランス酸含有率は11~12%であり, デンマーク, フィンランド及びドイツのそれは6~8%であった。オーストラリア及びイタリアの総トランス酸含有率はそれぞれ3.5%及び3.1%であり, イタリアは最低値を示した。<BR>菓子類に含まれていた主要なトランス異性体はC18 : 1トランス異性体であったが, C20 : 1及びC22 : 1トランス異性体も7銘柄でみられた。<BR>菓子類の総トランス酸含有率と家庭用マーガリンのそれを比較したところ, カナダ, アメリカ及びイギリスでは菓子類と同程度の値であった。対照的に, ベルギー, デンマーク, ドイツ及びオランダでは家庭用マーガリンよりも菓子類が高い値を示した。