- 著者
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久保 徹
- 出版者
- 日本西洋古典学会
- 雑誌
- 西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, pp.63-75, 1999
『パノレメニデス』第II部の意義をめぐっては,とりわけ第I部のイデア論批判との関連でこれまでさまざまに論じられてきた.近年では,C.C.Meinwald らの論考が口火となって再びさかんに論じられている.しかし多くの解釈が試みられてきたにもかかわらず,いまだに研究者らの見解は大きく分かれており,基本的な合意さえ得られていない.だがこの第II部をどのように理解するかは,第I部のイデア論批判の解釈にも関わり,その意味は大きい.本稿は,あらためて第II部の意義をとらえ直し,そこから第I部のイデア論批判の議論に対するプラトン自身の応答を読み解こうとする一つの試みであり,このようなアプローチから『パルメニデス』におけるイデアの分有について考察することを意図する.