著者
二宮 祥一
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.8-15, 2020-12-22 (Released:2021-03-31)
参考文献数
25

Numerical calculation of E[f(X(1,x))] where {X(t,x)}t≧0 is a diffusion process defined by a stochastic differential equation (SDE) is called weak approximation of the SDE. The author discusses higherorder discretization algorithms based on Kusuokaʼs theory. The fundamental theorem by Kusuoka and three algorithms are explained.
著者
水野 眞治 小島 政和 比嘉 邦彦 二宮 祥一 尾形 わかは 中川 秀敏 中田 和秀 中野 張 北原 知就 高野 祐一 高橋 幸雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

数理ファイナンス/金融工学に関連する数理技術、特に「最適化・オペレーションズ・リサーチ」「確率数値解析」「情報ネットワークセキュリティ」という3つの要素技術に関して理論的研究を行った。また、それらを実装したソフトウェアをインターネット上で公開した。さらに、金融数値計算を行うシステムの設計と構築を行った。その結果、高度な専門的数理技術を容易にアクセスできるようになった。
著者
二宮 祥一 楠岡 成雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、拡散過程X(t)のと関数fが与えられた時に期待値E[f(X(T))]の値を数値的に求める問題(弱近似問題)を、楠岡近似と呼ばれる新しい近似手法によって解決する方法を確立することであった。楠岡の研究により楠岡近似は既存の近似手法である、Euler-丸山近似に比して非常に少ない次元の数値積分によって近似を実現することが可能であることが示されていた。積分次元はMonte Carlo法を用いる限りにおいては、計算量に対して中立的であるので劇的な高速化は期待出来ない。しかし、quasi-Monte Carlo法は積分次元が小さくなると非常に高速になることが知られている。これらの事実から楠岡近似をquasi-Monte Carlo法と組み合わせることにより計算の高速化が期待されるが、現実の問題に適用する為には以下の様な未解決の問題が在った。1.汎用的な楠岡近似オペレータの構成の困難2.楠岡近似にquasi-Monte Carlo法を適用する方法の確立3.現実の問題に適用しての実証例の不在本研究は全ての問題を解決することに成功した。1.に関しては、本研究の開始時点に於いては計算機による記号計算によりオペレータを記号的に求めてそれを計算機上のプログラムに変換するというアプローチを考えていたが本研究で記号計算を経ずに常微分方程式の数値解法を用いる方法が発見された。これにより、非常に汎用性の高いプログラムライブラリが可能となるので、楠岡近似の実用化については決定的な成果であると考えられる。更にこの方法は、高次元正規分布とBernoulli列によって実現されるのでquasi-Monte Carlo法が自然に適用可能である為、2.も同時に解決している。3.については、この新しいアルゴリズムをファイナンスの問題に適用し、800倍という驚異的な高速化を実現した。