著者
五百蔵 重典 西尾 孝典 野木 兼六
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.199-199, 2007-06-15

ヒープに確保された使用されていないオブジェクトを自動的に回収するガーベジコレクション機能(以下,GC)は,プログラマのメモリ管理の負担を軽減するための重要な機能である.GC アルゴリズムの中には,GC で生き残った古いオブジェクトは若いオブジェクトよりも長く生き残るという経験則を利用して,新しく作成されたオブジェクトのみをGC の対象とすることで,処理速度を向上させる世代別GC アルゴリズムがある.しかし世代別GC アルゴリズムは,古い領域から新しい領域へのリンクを検出する処理(以下,ライトバリア)が必要である.そして,そのライトバリアは実行時間のオーバヘッドになること,処理系を実装するために必要な箇所にライトバリアを配置することは煩雑であることから,世代別GC アルゴリズムを効率良く実装することは難しいのが現状である.そこで本発表では,先頭側の領域をold 領域,末尾側の領域をnew 領域に分断し,old 領域に属しているオブジェクトはすべて古いオブジェクトと見なす新しい世代別GC アルゴリズムを提案する.本発表のアルゴリズムでは,old 領域ではnew 領域へのポインタが存在するかを検査し,new 領域ではGC を行う.本発表のアルゴリズムの特徴として,ライトバリアが必要ない,メジャーコレクションとマイナーコレクションが一体化している,および生きているオブジェクトの移動を必要としないなどがあげられる.本発表では,提案アルゴリズムをオブジェクト指向スクリプト言語であり,マーク&スイープ型の保守的GC を備えるRuby 上に実装した結果,全体の処理時間は最高90.8%に短縮でき,1 回のGC 時間では最高70.8%に短縮することができたことを示す.Garbage collection (GC) algorithms which collect unused objects in heap memory automatically are important technology, because there free programmer from memory management. There are Generation GC algorithms which try to collect unused object in only heap area are which contain new objects (new-area), using the experience that many younger objects tend to be unused object soon after allocate, and used objects after GC tend to keep being used, therefore Generation GC algorithms improvement execution time. But, Generation GC algorithms need program code which search for link from old-area to new-area (hereafter, write-barrier code). Then write-barrier code has over-head at program execution time and needs to set many write-barriers appropriately in language processor. Therefore we are difficult to implement Generation GC algorithm. We propose new Generation GC algorithm which we assume that head-side of heap area is old-area, and tail-side of heap area is newarea. The framework of this algorithm searches pointers from old-object to new-object in old-area, and applies to GC in new-are. The character of this algorithm don't need writebarrier, a distinction of combines major collection and minor collection is a little, and don't move old-objects in old-area. We implement this algorithm in object-oriented script language Ruby which have conservative mark & sweep GC algorithm. We show that execution time is 90.8% at a maximum, and one GC time is 70.8% than original ruby.
著者
小林 誠 黒沼 紀彦 五百蔵 重典
雑誌
研究報告 高度交通システム(ITS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-8, 2012-11-08
被引用文献数
1

屋内で使用するナビゲーションシステムは様々な研究がなされている.我々はタグに地図情報を格納し,それを読み込むことでナビゲーションするシステムを提案している.このシステムで本を探索できるようにするため,本 1 つ 1 つにタグを付け,探している本であるかを判別するというハイブリッド検索方式を採用する.更に,図書館の本棚のように規則的に並んだ場所の案内を,何個分進めばいいか表示するという改良を行った.加えて,従来のシステムは i アプリで実装されていたが,カメラの画面と案内の画面の遷移が頻繁に行われるため利便性が悪いという問題があったため,現在主流となっているスマートフォンを用いた実装により,カメラ画面と案内画面を同時に表示し,利用者の利便性向上を図る.There are many researches with various navigation systems used indoors. We proposed a navigation system using tags include map information and reading it. We propose many revises for book search. In order to be able to search for a book, we propose the hybrid book search system having a judged function whether it is the book added tag currently looked for. For guidance at the place regularly located in a line like the bookshelf of a library, we improve indicating by how many pieces it should progress. The conventional system was implemented by the i-appli. Then, since changes of a camera screen and the screen of guidance were performed frequently, there was a problem that convenience was bad. We are implemented on smartphone which displays a camera screen and a guide screen simultaneously and improvement in user convenience.
著者
村田翔太郎 屋良朝克 金田一将 五百蔵重典 田中博
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1608-1613, 2014-07-02

筆者らはナビゲーション,ロボットの自動走行などへの適用を目標に10cm以下の測位誤差を実現できる超音波を用いた屋内測位システムを開発してきたが,測位対象に専用の超音波送信機を所持・装着する必要があり,一般ユーザ利用展開への課題になっていた.そこで,一般に広く普及し,携帯性も高いスマートフォンを送信器として利用するシステムの検討を行った.しかし,スマートフォンから超音波は発生できないため,発生可能な非可聴音を用いて同様の屋内測位システムの開発に着手した.まず,スマートフォンから非可聴音を発生させるプログラムを作成し,その動作を確認した.次に非可聴音に対応する受信機を試作し,送信信号取得に必要な検波閾値の決定と測位計算に用いるタイマカウント値の取得実験を行った.それらを踏まえて測位実験の環境を構築し,測位実験を行った.その結果,非可聴音で高い測位精度が得られることと,フィルタを用いることで騒音環境でも測位が可能なことを確認し,スマートフォンを用いた測位ステム実現の見通しを得た.
著者
速水 治夫 五百蔵 重典 古井 陽之助
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

図書館は図書を一定数冊購入し,その範囲内で利用者に貸し出すことによって人類の知識の共有など文化の発展を担っている.そして,図書館でデジタルコンテンツ(以下コンテンツ)を扱いたいという要求は強い.しかし,デジタルコンテンツは不正コピーが作られやすいため,図書館のような貸し出し業務には向いていない.本研究では,デジタルコンテンツに対しても図書館的共同利用を可能にすることで,本研究の意義である図書館本来の目的を達成させる.具体的には,利用者はネットワークを通じてコンテンツを借りられ,利用期間内であればネットワーク接続なしでコンテンツを閲覧できるシステムを提案する.利用期間内のみ閲覧可能であり,コンテンツの不正コピーも防いでいる.本研究の要となる携帯機器に求められる要件は,一般利用者が使用できない時計および記憶域を持ち,CPUを内蔵していることである.このような機器(以下,トークン)は存在しないため開発を行った.平成17年度では,トークンの実機を作る際に必要な要件をまとめるためにトークンエミューレータおよび図書館システムのプロトタイプを作成した,平成18年度では,トークンおよび図書館サーバ間の通信および同期が安全に行われるためのプロトコルについて研究開発を行った.また,トークンを使った応用例として,パスワードなどの秘密情報を送信する方法を提案した.平成19年度には,ICカード型としての量産も視野に入れたトークンの試作品を作成した.また,トークンを使った応用例として,オンライン試験システムなどを提案した.我々は、利用者側の利便性を確保しながら,権利保持者の権利を守ることが出来るシステムを提案した.本システムの要は、ネットワークでの貸し出しが可能で,ネットワーク非接続で利用期間を厳密に管理した閲覧が可能である点にある.本研究は,今後のコンテンツのデジタル化に向けて,非常に重要であると思われる.
著者
秋山 征己 須永 光 五百蔵 重典 田中 博
出版者
The Institute of Positioning, Navigation and Timing of Japan
雑誌
測位航法学会論文誌 (ISSN:21852952)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2012
被引用文献数
1

超音波センサを用いた測位システムは,測位エリアの制約はあるものの高精度な測位が可能であり,一般に屋外に比べて高い測位精度が要求される屋内での利用に有利である.本論文では逆GPS 法とよばれる手法による超音波測位システムを実用的なものとすることを目的に,測位エリアの広域化と複数の測位対象の収容を可能とするための方法と構成について検討し,検証のための試作と評価を行った結果を述べる.静止物体および移動物体を用いた測位精度評価実験の結果,測位誤差が最大でも100mm以下に抑えられており,要求精度を十分に満足していることを示す.さらに応用例として移動ロボットを用いて歩行者ナビゲーションを想定した模擬実験を行い,システムの有用性を確認した結果を示す.
著者
木村 竜 新巻 洋一 五百蔵 重典 田中 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.252, pp.17-22, 2008-10-15

本論文では,GPS機能を内蔵する携帯電話を用いて得られる位置情報とモバイルネットワーク,インターネットそして家電ネットワークを統合した知的環境実現のためのアーキテクチャを提案し,その具体的一例として,エアコン制御へ適用したシステム構成とその結果を示す.まず,携帯電話サービスの加入事業者に依存しない位置情報共有・表示システムとして,データベースマネージメントシステムとGoogleMapsを用いて地図上にGPS携帯電話所有者の移動履歴を図示するとともに,その位置精度を評価,確認した.そして,その位置情報と携帯電話所有者の行動パターンを考慮して,所有者の居室のエアコンを自動的に制御するシステムを構築し,その有用性を実証した結果を述べる.
著者
新巻 洋一 服部 哲 五百蔵 重典 田中 博 速水 治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.133-138, 2009-01-15
被引用文献数
1

前年までの研究では, GPS 機能付きの携帯電話を用いて取得した位置情報をデータベースに格納し, Web を介して移動履歴として地図情報とともにパソコン上に表示するシステムを実現した.しかし,その場所に関する情報やその場所での行動などを記録として残すことができなかった.本研究では,その場所で取得した情報をグループ間で共有することを目的に GPS 携帯電話の測位機能や撮影機能などを利用し,その場所で撮影した写真やメモなどのテキスト情報を位置情報とともに一括して送信することを提案する.そして,場所に付随する情報の収集とそれらの共有を可能とするシステムのアーキテクチャを検討するとともに実利用に供することが可能なシステムとして構築し,基本動作を確認した結果を述べる.We have developed the display system of moving log obtained by GPS embedded cell phones with GoogleMaps. It seems to be desirable that the picture data and text information describing the place information are added to the location information. The system which gathers location information including picture data and text information is investigated in this study. The requirements for the information system linking places are considered at first. The system configuration and sequences are clarified to satisfy the requirements and the system is constructed with Web, Mail, SQL servers. The system function and its usefulness are verified by the basic system experiment.