著者
大井 一浩 井上 農夫男 金子 真梨 道念 正樹 松下 和裕 山口 博雄 戸塚 靖則
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR JAW DEFORMITIES
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-7, 2010-04-15 (Released:2012-03-02)
参考文献数
26
被引用文献数
1

The purpose of this study is to evaluate the incidence, risk factors and postoperative nausea and vomiting (PONV) in patients who underwent orthognathic surgery.The subjects were 139 patients aged 17-52 years (47 males and 92 females) who underwent orthognathic surgery in the Hokkaido University Hospital from January 2001 to December 2003. Ninety-four Sagittal splitting ramus osteotomy (SSRO), 34 Le Fort I osteotomy and SSRO (Le Fort I+SSRO), and 11 surgically assisted rapid palatal expansion (SARPE) were performed. Anesthesia was maintained with sevoflurane and nitrous oxide in oxygen. There were no cases of maxillomandibular fixation. The factors investigated included age, gender, type of surgery, amount of bleeding, operation time, anesthesia time, anesthesia induction drugs, fentanyl dose and incidence of PONV. A statistical study was performed using logistic regression analysis to confirm the statistical significance among age, gender, amount of bleeding, operation time, anesthesia time, difference of anesthesia induction drugs, fentanyl dose, and incidence of PONV. A Chi-square test for independence was used to confirm the statistical significance between the type of surgery and incidence of PONV. Differences were considered significant for a P<.05.Nausea was observed in 44.6% females and 17.1% males. The incidence of nausea was significantly higher in females. A significantly higher amount of vomiting was observed in 23.5% of Le Fort I+SSRO compared with 7.4% of SSRO and 9.1% of SARPE. Statistically significant differences for vomiting were also noted in the operation time and anesthesia time.
著者
北川 善政 村松 真澄 井上 農夫男
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.133-138, 2007-08-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
22

死亡率の高い老人性肺炎のほとんどが不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎で,口腔常在菌が原因になることが多い.多くは嚥下反射や咳反射が低下し不顕性誤嚥を繰り返している.日常生活活動(Activities of Daily Living;ADL)の低下とともに口腔内環境が悪化すると免疫力も低下し,結果的に肺炎が重篤化する.口腔ケアは老人性肺炎を防止する最後の砦といわれている.口腔機能と全身との関係,経口摂取の重要性について概説し,口腔ケアを通して呼吸器感染症の予防,摂食・嚥下障害の改善,ADL,QOLの向上に歯科が貢献できることをお伝えしたい.
著者
由良 晋也 戸塚 靖則 大井 一浩 馬渕 亜希子 由川 哲也 出山 文子 大廣 洋一 後藤田 章人 松樹 隆光 岡田 和樹 山口 泰彦 小松 孝雪 井上 農夫男
出版者
The Japanese Society for Temporomandibular Joint
雑誌
TMJ : journal of Japanese Society for Temporomandibular Joint : 日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.200-204, 2002-08-20

咬合力と関節内圧との相関関係を明らかにする目的で, クローズド・ロック症例と顎関節症状のないボランティアの咬合力と関節内圧を同時に測定したので報告する。<BR>対象は, クローズド・ロック症例4名4関節と顎関節症状のないボランティア4名4関節である。プレスケール50HタイプRを用いて咬合力を測定し, 動脈圧モニタリング用のトランスデューサーを用いて関節内圧を測定した。<BR>咬合力と関節内圧との間の相関係数は, クローズド・ロック症例とボランティアのいずれも0.7以上 (0.710~0.954), 決定係数は0.5以上 (0.504~0.910) であった。これらの結果から, 咬合力と関節内圧との関係は, 直線的な正の相関関係であることが示された。回帰係数は, 被験者により差のあることが示された (15.3~270.9)。<BR>関節内圧は咬合力の増加に伴って上昇することから, 強い噛みしめが顎関節に負荷を加える因子の一つであることが明らかとなった。
著者
岡田 和隆 柏崎 晴彦 古名 丈人 松下 貴惠 山田 弘子 兼平 孝 更田 恵理子 中澤 誠多朗 村田 あゆみ 井上 農夫男
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.61-68, 2012-10-15 (Released:2012-10-19)
参考文献数
31
被引用文献数
2

サルコペニア(筋肉減少症)は 80 歳以上の高齢者の約半数にみられる加齢変化であり,顎口腔領域にも現れるといわれている。本研究ではサルコペニア予防プログラムに参加した自立高齢者を対象とし,介入前調査として栄養状態と口腔内状態および口腔機能との関連を明らかにすることを目的とした。自立高齢者 62 名(69〜92 歳,男性 27 名,女性 35 名)を対象者とした。口腔内状況と口腔機能に関する聞き取り調査は事前に質問票を配布して行い,口腔内診査と口腔機能評価は歯科医師が行った。聞き取り調査質問項目,口腔内診査項目,口腔機能評価項目と血清アルブミン値(Alb)との関連を検討した。Alb は 4.3±0.3 g/dl であり,対象者の栄養状態は良好であった。口腔機能に関する2つの質問項目,主観的口腔健康観,下顎義歯使用の有無において Alb に有意差が認められた。残根を除く現在歯数,現在歯による咬合支持数およびオーラルディアドコキネシス(ODK)の/ka/の音節交互反復運動において,Alb と有意な関連が認められたが弱い相関関係であった。義歯満足度,口腔清掃状態,上顎義歯使用の有無,口唇閉鎖力,RSST,ODK の/pa/および/ta/,口腔粘膜保湿度,唾液湿潤度では関連は認められなかった。自立高齢者では現在歯数,咬合支持,義歯の使用の有無,口腔の健康や機能に対する自己評価が良好な栄養状態と関連する可能性が示唆された。
著者
飯田 順一郎 藤森 修 井上 農夫男 佐藤 嘉晃 金子 知生
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1、機械的刺激に対する微小血管の即時的な応答性、特に血管内皮細胞と白血球との相互作用における加齢変化の解明。若齢、老齢のゴールデンハムスター頬袋の微小血管(毛細血管後細静脈)を生態顕微鏡下で上皮の上から加工した微小ガラス棒で刺激し観察した。すなわち持続的および間歇的(10分毎)な圧迫刺激を加え、生態顕微鏡下で白血球の血管外遊走の出現様相を経時的に評価すると同時に、組織定量学的に白血球の種類を同定した。その結果、若齢において持続的刺激において刺激部位直後の部位に多形核白血球、単球の血管内皮への接触・接着が有意に増加した。2、機械的刺激に対する微小血管の長期的な形態変化の加齢による変化の解明。マウス背部皮下の微小血管床を用いたdorsal skin chamber法を用い、若齢、老齢のハムスターの背部皮下組織に、持続的および間歇的(12時間毎)な圧迫刺激を加え、顕微鏡下で刺激開始から7日間、血管透過性亢進反応、毛細血管の太さの変化、および血管新生の様相を定量的に計測した。若齢においては持続的刺激において持続的に血管透過性が亢進した。間歇的刺激の5から7日後に血管新生が同一動物で観察され新たな血流が生じた。さらに毛細血管の直径は徐々に増加し7日目に2倍以上の太さに変化していることが観察された。3、口腔周囲組織の機能に関する加齢変化の基礎データの収集咬みしめることが全身の筋機能(握力)に与える影響をとりあげ基礎的なデータ収集を行った。その結果成人においては最大握力を発揮する場合に咬みしめる者(A)と歯を接触させないもの(B)の2群に分類できること、またAの方が筋力が高い傾向にあること、さらにAは咬みしめた時、Bは歯を接触させない時の方が高い筋力を発生することが明らかとなった。