著者
米満 文哉 井隼 経子 山田 祐樹
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.58-61, 2018-06-30 (Released:2018-09-29)
参考文献数
18

Resilience is the capacity to cope with stress, characterized as an activation process that protects one from psychological damage in adapting to personal and situational changes. Resilience is related to emotional processes including the attentional system and has been studied with spatial attention tasks. However, the relationship between resilience traits and temporal attention to emotional stimuli has not been studied. We investigated this relationship using an attentional blink (AB) paradigm. Observers searched two target upright faces (T1 and T2) inserted in a rapid serial visual presentation (RSVP) stream of inverted pictorial faces. The T1 and T2 tasks involved gender judgment and facial expressions (neutral, anger, and happy) judgment, respectively. A multivariate regression analysis showed that resilience scale score significantly predicted AB magnitude in response to negative stimuli, suggesting that resilience is related to temporary attentional bias toward negative information within a second.
著者
山田 祐樹 河邉 隆寛 井隼 経子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.55-55, 2010

非人間的対象の人間らしさが増大すると,ある時点でその対象への評価が急激に低下するといわれる (不気味の谷現象).本研究は,この評価の低下が,対象を2つのカテゴリに分類する困難さと関係しているかを検討した.実験1では,実際の人物と漫画の人物の画像を0%から100%までの10%ずつのモーフィング率で合成した11枚の画像を用いた.観察者は各画像に対しカテゴリ判断 (実際-漫画) を求められ,その潜時をカテゴリ化困難度の指標とした.また,各画像の好意度について-3 (嫌い) から3 (好き) の7段階で評定させた.結果として,モーフィング率とともに潜時と好意度評定値が変化し,最も潜時の長かった画像と最も評価の低かった画像が一致した.実験2では,犬の画像 (実際,ぬいぐるみ,及び漫画) を用いても同様の結果を得た.これらの結果は,カテゴリ化困難な画像における処理流暢性の低さが評価の低下を引き起こすことを示唆する.
著者
井隼 経子 中村 知靖
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.134, 2010

レジリエンスとは,我々が精神的な困難に対してうまく対処するのに必要な能力である。本研究では,井隼・中村 (2008) によって作成されたレジリエンスの四側面を測定する尺度に項目反応理論を適用し,識別力と境界特性値の項目パラメタから項目の詳細な検討を試みた。その結果,全体的な傾向として,項目の境界特性値に関しては中・低程度のものが多く,識別力に関しては高い項目が多かった。これらの結果に基づき,我々はレジリエンスの四側面における項目レベルの特徴について議論した。
著者
井隼 経子 中村 知靖
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.39-49, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
11
被引用文献数
7 10

Resilienceとは,有害な出来事によるダメージを和らげるパーソナリティ特性の一種である。本研究は,Resilienceにおける4つの側面を個別に測定する4つの尺度を作成することを目的とした。資源の所在とその処理の観点から,Resilienceを(1)個人内資源の認知,(2)個人内資源の活用,(3)環境資源の認知,(4)環境資源の活用の4つの側面に分類した。447名の大学生を対象とした調査から各側面を測定する尺度を作成した。SDSとの有意な相関により各尺度は妥当であることが確認された。このモデルにより,従来よりも詳細にResilienceを検討することが可能となるだろう。