著者
齊藤 崇子 中村 知靖 遠藤 利彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.517-522, 2005-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
15
被引用文献数
5 7

The present study examined whether scores on big five personality factors correlated with face-recognition response time in visual search paradigm. Sixty adjectives were used to measure personality scores of 60 participants along the five factors of Extroversion, Neuroticism, Openness to Experience, Agreeableness, and Conscientiousness. Picture of human faces or geometrical figures in a 4×4 array were used as stimuli. The sixteen faces or figures were either identical (absent condition) or one randomly placed target with 15 identical distracters (present condition). Participants were asked to respond ‘present’ or ‘absent’ as fast and accurately as possible. Results showed that the response time differed significantly between high and low groups of each personality factor except Agreeableness. For Extroversion, Neuroticism, and Conscientiousness, the response time difference was observed only for human face recognition. The results suggested that personality differences and face recognition were related.
著者
山田 奈津子 箱田 裕司 中村 知靖 湯田 恵美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.563, pp.29-33, 2000-01-20
被引用文献数
1

本研究では, 視覚的刺激(顔)と聴覚的刺激(声)という複数の手掛かりを情報として用いた場合の印象形成と, 単独の情報(顔または声)による印象形成との間に違いがあるのかを, 因子分析によって抽出された共通のパーソナリティ因子である「活動性」「社会的望ましさ」の2次元において観察し, 知覚の分野で有力な視覚的刺激優位仮説(マガーク効果)と印象形成との関連性を調査した.また, 顔と声という異なるモダリティーの評定尺度をそろえることで, マルチモダリティー間の印象形成の相違を直接比較した.その結果, 顔と声による印象形成においての視覚的刺激優位性は頑強なものではなく, とりわけ, 顔と声のパーソナリティ的属性(高-低)が不一致である場合において, 聴覚的刺激(声)が人物の印象に強い影響を与えていたことが示唆された.
著者
井隼 経子 中村 知靖
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.134, 2010

レジリエンスとは,我々が精神的な困難に対してうまく対処するのに必要な能力である。本研究では,井隼・中村 (2008) によって作成されたレジリエンスの四側面を測定する尺度に項目反応理論を適用し,識別力と境界特性値の項目パラメタから項目の詳細な検討を試みた。その結果,全体的な傾向として,項目の境界特性値に関しては中・低程度のものが多く,識別力に関しては高い項目が多かった。これらの結果に基づき,我々はレジリエンスの四側面における項目レベルの特徴について議論した。
著者
中村 知靖 前川 眞一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.22-30, 1993-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24

According to the Thurstonean point of view, a usual two-parameter normal ogive model can be derived as a special case of the Law of Categorical Judgement, where all subjects have common dispersion parameter. The generalized item response (GIRT) model, first proposed by Torgerson (1958), is an extension of the IRT model, in which each subject is characterized not only by the ability parameter (θ) but also by the dispersion parameter (Φ). For a subject characterized by (θ, Φ), the probability that he/she answers the item correctly is given by Pr (U=1|θ, Φ) =φ ((θ-b)), where φ is the standard normal or logistic distribution function and (a, b) constitutes the set of usual item parameters. In this article, an item parameter estimation method maximizing the marginal likelihood where the subject parameters (θ, Φ) are integrated out, is presented.
著者
井隼 経子 中村 知靖
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.39-49, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
11
被引用文献数
7 10

Resilienceとは,有害な出来事によるダメージを和らげるパーソナリティ特性の一種である。本研究は,Resilienceにおける4つの側面を個別に測定する4つの尺度を作成することを目的とした。資源の所在とその処理の観点から,Resilienceを(1)個人内資源の認知,(2)個人内資源の活用,(3)環境資源の認知,(4)環境資源の活用の4つの側面に分類した。447名の大学生を対象とした調査から各側面を測定する尺度を作成した。SDSとの有意な相関により各尺度は妥当であることが確認された。このモデルにより,従来よりも詳細にResilienceを検討することが可能となるだろう。
著者
高橋 登 中村 知靖
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.258-268, 2015
被引用文献数
5

In the present study, we newly developed a kanji writing subtest of ATLAN (Adaptive Tests for Language Abilities), which is based on item response theory (Takahashi & Nakamura, 2009; Takahashi, Otomo, & Nakamura, 2012) and can be administered via the Internet. In Study 1, we evaluated two parameters, difficulty and discrimination, of 244 kanji characters based on the results of 1,306 children from 2nd to 9th grade. In Study 2, we analyzed kanji reading and writing subtests of 283 children from 3rd to 6th grade, including their error patterns and stroke order while writing kanji. The results of hierarchical regression analysis showed that more than 60% of the variance of kanji writing is explained by grade, kanji reading, and accuracy of forms and stroke order while writing kanji. The practical significance of the test is discussed.
著者
高橋 登 大伴 潔 中村 知靖
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.343-351, 2012-09-20

筆者らはこれまで,インターネットで利用可能な適応型言語能力検査(ATLAN)として,語彙,漢字の2つの検査を開発してきた。本研究ではその下位検査として新たに作成した文法・談話検査について,その特徴と妥当性を検討した。最初に本研究で測定しようとする文法・談話の能力について先行研究に基づき定義を行った。研究1では,この定義をもとに小学生を対象とする課題として8種類の問題タイプについて計67課題を作成,これを2つの版に分けて小学1〜3年生309名に実施した。また幼児を対象とする課題として12種類の問題タイプについて計67課題を作成,これを2つの版に分けて幼稚園児258名に実施した。項目特性曲線のデータとの当てはまりの程度を考慮し,最終的に128項目を項目プールとして選定し,文法・談話検査としてATLANに追加実装してインターネットを介してWebで利用できるようにした。次に研究2において,妥当性を検討するために,ATLAN語彙,文法・談話検査とLCスケール(大伴・林・橋本・池田・菅野,2008)を幼稚園児59名に実施した。ATLAN2検査を説明変数,LCスケール得点を目的変数とする重回帰分析を行った結果,2課題で目的変数の分散の48%が説明されることが示された。最後に,ATLAN文法・談話検査について残された課題について論じ,ATLANの今後の拡充方針について解説した。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。