著者
斎藤 秀俊 河野 隆二 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.93, no.234, pp.33-39, 1993-09-17

畳込み符号器を用いた多次元符号化変調の中で,カタストロフィックな符号器を選択した時に,自由ユークリッド距離d_free>が大きくなるものが存在することを示す.さらに,時変符号器を用いた多次元符号化変調の中で,補助情報を用いる方式を示す.この方式では,符号化部分のd_free>が時不変の符号器を用いたものより大きくなる特徴がある.この結果,補助情報の伝送を組合せた多次元符号化変調では,低SNで誤り率特性が良くなる.それ故に,符号器の持つカタストロフィック性を除去する等化器及び,記憶のある通信システムと組み合わせることで,有効な多次元符号化変調方式が実現できる.
著者
井坂 元彦 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.98, no.441, pp.1-18, 1998-12-02
参考文献数
64
被引用文献数
42

1993年の発表から5年を経て, "Turbo codes" 及びその関連分野は符号理論研究の主役に踊り出た感がある.その成果は, 単に特性の良い符号化復合法を与えるに留まらず, 様々な形で拡張され従来の符号理論, 通信理論の研究成果と融合しながら発展を続けている.また深宇宙通信, 移動通信, 磁気記録などへの応用が検討されるなど実用に供される日も遠くはないようである.本稿では, "Turbo codes"或いはその関連分野における主な研究成果を概説する.
著者
花岡 裕都子 花岡 悟一郎 四方 順司 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.323, pp.83-90, 2002-09-13
参考文献数
17

本稿においては、IDに基づく暗号系(暗号、鍵配送および署名)における秘密鍵の更新について議論を行い、特に、鍵更新を考慮した場合、IDに基づく暗号系と従来の公開鍵暗号系の通信コストはほぼ等しくなることを示す。つまり、実用的なシステムにおいては、IDに基づく暗号系の最も重要な利点が大きく損なわれることとなる。本研究においては、さらに、IDに基づく暗号系における一般的な鍵更新の手法を提案する。提案方式はいかなるIDに基づく方式に対しても適用可能であり、また、通信コストに関して最適である。基盤となるIDに基づく方式が安全であれば、鍵更新が可能となるよう提案方式を適用しても安全性は維持される。
著者
馬場 健介 古原 和邦 岩村 恵市 鄭 玉良 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.48, pp.61-69, 1998-05-15

ディジタルコンテンツの著作権保護システムを実現する手段として、電子透かし技術が数多く研究されている。一般に、画像の販売者のみが購入者情報を生成し、電子透かしを用いてその埋め込みを行なうようなシステムでは、流出画像が購入者が流出させたものか、販売者から流出されたものかを厳密に区別することはできず、何らかの方法で販売者のコンピュータから、ある購入者情報が埋め込まれた画像が漏洩されれば、不正行為を行なっていない購入者が不正であるとみなされる可能性がある。そこで本稿では、購入者情報の埋め込みに購入者自身が参加し、販売者側から購入者情報が漏洩しても購入者が不正とみなされないプロトコルを提案する。このプロトコルはディジタル画像だけでなく、音声や動画像といったディジタルコンテンツにも応用できる。
著者
繁富利恵 大塚玲 KeithMartin 今井 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.75, pp.359-366, 2004-07-21

現状のサービスにおいて、サービス提供者における利用履歴の収集は、よりきめ細やかなサービスを行う上においては、非常に重要な位置を占める。しかし、現状のプライバシ保護の匿名性における研究は、ユーザのlinkabilityを持たない匿名性のみを含んだものが多く、サービス提供者における情報収集を加味している研究が少ない。そこで本稿では、ユーザが認めた場合にのみ、サービス提供者が、匿名性を保ったままlinkabilityをつけることのできる方式について提案を行う。As more service are provided digitally and digital service providers collect more information about users, potential privacy problems are on the increase. This is particularly true when users have to present some form of electronic token in exchange for a digital service. One way to address privacy problems is to provide digital services anonymously. The problem with many previous anonymous token services is that once a token is issued, for a particular value, it cannot be modified in any way other than to decrease the amount of credit associated with the token as it is spent. In this paper we propose a system for "refreshing" tokens anonymously which allows the holder of a token to request that the issuing organization reissues a modified token in an anonymous way. the new (refreshed) token includes the same embedded user identification as the original token. Unlike most previous schemes, this allows anonymous tokens to be used for applications such as foreign exchange, where tokens may need to be exchanged for refreshed tokens issued in a different monetary value. This scheme also allows anybody to check the validity of the token (not just the token)

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著者
今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.725, pp.61-66, 2002-03-11

筆者の40年近い研究の中で,今から思えば失敗と思えることは数多い.連接符号,2次元系列と2次元巡回符号,CDMA方式およびその他局間干渉除去方式,BCH符号の復号法,マルチレベル符号化と多段復号法,多変数多項式に基づく公開鍵暗号,KPS(Key Predistribution System),ターボ符号と繰返し復号などの研究の中で,これらの失敗について述べる.
著者
繁富 利恵 大塚 玲 小川 貴英 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.212, pp.9-16, 2002-07-12

現在、情報の電子化が進んでいることは周知の事実である。こういった電子情報は、非電子情報に比べ、情報の収集、検索や統合などが容易となるため、蓄積情報に対する配慮がより重要となっている。こういった中、貸し出しサービス(図書館、レンタルビデオ、借金など)は情報の電子化が非常に進んでいるサービスの一つである。また、貸し出しサービスにおける情報は、個人の趣味指向だけではなく、生活レベルさえも推測できるような情報を含んでいる。つまり、貸し出しサービスの情報の管理者は貸し出し情報を手にいれることができるだけでなく、各個人の個人的な情報を手にいれることもできる。また、情報が全て電子化されているため一度上記の情報がユーザの意図に反して貸出機関から流出してしまうと、電子情報の持つ特徴により、サービス利用者に関連する他の情報との統合が進む可能性が高く、このような電子化された情報が持つプライバシ問題は大きい。こういった問題を解決するため、"匿名貸し出し"を提案する。この"匿名貸し出し"は、貸し出しの際には匿名で貸し出し、返却期限を過ぎても未返却だった場合にはその匿名性を破るようなシステムである。この論文では、貸し出し機関が匿名で貸していた場合でもユーザ一人当たりの権利の数を制限することができ、(つまり図書館であれば何冊貸しているかを制限できること)しかも、ユーザのプライバシは保たれるような新しいシステムを提案し、耐タンパーデバイスおよびオフライン電子マネー方式を利用してこれを実現した。